第10話 『お父さんと花火の記憶』(脚本)
〇花火職人の作業場
七蔵「・・・親父が花火で死んだ?」
七蔵「そういえば・・・」
〇農村
七蔵「おい、そんな離れた場所にいねぇで、こっち来(き)ねぇ!」
「ううん、ここでいい!」
〇村の眺望
「ここで見てるからー!」
七蔵「ったく・・・近くで見りゃいいのに。 なんだってんだ・・・?」
〇花火職人の作業場
七蔵「打ち上げ場所に近づこうとしねえのは、そういうことか・・・」
〇作業場の全景(店名あり)
〇花火職人の作業場
七蔵が天日干しをした花火を木箱に詰めて、作業場の中にやってきた。
そのとき、机に置かれていた書類の山に木箱をぶつけて書類を崩してしまう。
七蔵「どあっ、やっちまった!」
七蔵は慌てて書類をかき集めるが、そこで一枚の古い紙の束が目に入る。
七蔵「んー? き、ら・・・しちへんげ?」
七蔵がさらに紙をめくると、古い紙の束の間に子供の描いた絵がはさまっていた。
七蔵「おとうさん・・・なな?」
七蔵「こりゃあ、ナナの絵か?」
〇村の眺望
角谷ナナ「私、花火嫌いだからさ」
〇花火職人の作業場
七蔵「・・・あいつ」
〇一人部屋
ヒュウ・・・パンッ
角谷ナナ「!」
角谷ナナ「まさか・・・」
ナナは慌ててベッドがから起き上がり、カーテンを開けて窓の外を見る。
ヒュウ・・・パンッパンッパンッ
〇農村
角谷ナナ「七さん、何考えてるの!?」
角谷ナナ「せっかく作った花火、こんなに上げちゃって」
七蔵は黙ってナナに一枚の絵を掲げる。
七蔵「好きだったんじゃねえか、お前も!」
角谷ナナ「え?」
七蔵「花火、好きだったろ!」
角谷ナナ「・・・その、絵・・・私の」
〇花火打ち上げ場
角谷ナナ「一回くらい一緒に花火、見たい・・・」
角谷信吾「お父さんが打ち上げなかったら、誰が上げるんだ?」
角谷信吾「わがまま言うなよ、ナナ」
角谷ナナ「でも・・・」
角谷信吾「ほら、これ」
角谷信吾「今日の花火は、ナナの描いた花火をお父さんが作ったんだ」
角谷信吾「だから、半分はナナの花火だぞ」
角谷ナナ「ナナの花火!?」
角谷ナナ「ナナもお父さんと一緒に打ち上げたい!」
角谷信吾「まだだめだ。大人になったらな」
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