〇花火職人の作業場
角谷ナナ「今までありがとう。 ・・・七さんには感謝してる」
七蔵「諦めるって・・・お前、それでいいのかよ！」
角谷ナナ「・・・・・・」
七蔵「一人で勝手に決めんじゃねえや」

〇職人の作業場（店名あり）
七蔵「おい、待てっての！」
角谷ナナ「もういいんだってば！」
角谷ナナ「今からいくらやったって、借金はどうにもならないし──」
七蔵「借金なんざ、どうでもいいんだよ！」
角谷ナナ「な・・・っ」
角谷ナナ「・・・それじゃ花火作る意味、本当にないよ」
七蔵「ある」
角谷ナナ「ない！」
角谷ナナ「借金があるから、嫌いな・・・やりたくもない花火作りしに帰ってきたのに──」
七蔵「お前が花火を好きだろうと嫌いだろうと、今は関係ねえ！」
角谷ナナ「・・・！」
角谷ナナ「あっそ。じゃあ七さんはなんのために花火作ってるわけ？」
角谷ナナ「丸いの作りたいだけ？」
七蔵「花火大会のためだ」
角谷ナナ「だから、それって借金を返すためじゃん」
七蔵「そうじゃねえ！」
七蔵「花火を、楽しみにしてる奴らのためだ！」
角谷ナナ「・・・！」

〇花火打ち上げ場
角谷信吾「お父さんは、楽しみにしてる人たちのために花火を上げる大事な仕事をしてるんだから」
角谷ナナ「・・・でも、一回くらい一緒に花火、見たい」
角谷信吾「お父さんが打ち上げなかったら、誰が上げるんだ？」
角谷信吾「わがまま言うなよ、ナナ」

〇花火職人の作業場
角谷ナナ「・・・だから嫌い、花火なんて」