〇パチンコ店
　　『神社の周りの木って、桜？』
ハンザキ「・・・チッ」
ハンザキ「こっちの桜は咲きゃあしねえ・・・」

〇ネオン街
ハンザキ「・・・」
ハンザキ「おいこら危ないだろ！歩道だぞここは！」
ヤカラ「ああ？」
ヤカラ「なんか言った？」
ハンザキ「あ、ああいや。ここは歩道なんで・・・」
ヤカラ「だから？」
ハンザキ「二人乗りも危険だなと・・・」
ヤカラ「大きなお世話なんだけど」
ヤカラ「・・・」
ハンザキ「・・・」
ヤカラ「やるの？」
ヤカラ「喧嘩したいの？」
ハンザキ「いえ別にそういうわけじゃ」
ヤカラ「買うよ喧嘩。やろうよ。マジで」
ハンザキ「・・・」
ヤカラノツレ「もー何やってんのよー」
ヤカラノツレ「行こうよ面倒くさい。つか超腹減ってんだけどー」
ヤカラ「とっとと死んどけ、ジジイ」
ハンザキ「・・・」

〇古びた神社
ハンザキ「・・・」
ハンザキ「所詮はゴミだ・・・」
ハンザキ「どんなに頑張っても最後はゴミだ・・・」
　　『ありがとね、地主』
　　『私の神社、キレイに飾ってくれて』
ハンザキ「・・・」
「半崎さん？」
剣持「こんなお時間まで見回り御苦労さまです」
剣持「それとも、一人暮らしの豪華マンションは寒すぎますか？」
ハンザキ「アンタにだけは言われたくないな」
「・・・」
「・・・チッ！」
剣持「御神体ちゃんは社務所ですか？」
ハンザキ「さあな。もう寝てんじゃねえか？」
ハンザキ「それかどっかウロウロしてるか」
剣持「ウロウロ？」
ハンザキ「それがどうした？」
剣持「龍田さんとか青年団とか、今結構苛々してるみたいだから」
剣持「万が一ってこともあるし・・・」
ハンザキ「・・・」

〇大きな箪笥のある和室
剣持「いないみたいですね」
ハンザキ「出かけたか。あるいは逃げたか」
剣持「ちょっと探してきます」
ハンザキ「放っとけ、ああ見えて大人だろうあいつも」
剣持「若い女性が見知らぬ村で一人歩きなんて」
ハンザキ「知ったことか。自己責任だ」
剣持「娘さんもそう言って放ったらかしてきたんですか？」
ハンザキ「なに？」
剣持「同じ年くらいでしょう？」
剣持「年頃の女の子に変なコスプレさせて。ガラの悪い青年団の目の敵にさせて」
剣持「それで放っとけるんですかアナタは！」
ハンザキ「・・・」
剣持「捨てられて当然ですね」
ハンザキ「アンタに何が分かる・・・」
ハンザキ「俺は必死で・・・妻と娘のために必死に働いて」
ハンザキ「・・・」
ハンザキ「定食屋だ！定食屋にいるよ！」

〇たこ焼き屋の店内
ミユキ「あら奈美恵ちゃん。もう終わりだよ～」
ミユキ「・・・ハッ！」
ミユキ（アラ還好きもここに極まったかッ！）
剣持「違う！」
ミユキ「まだ何も言ってないよ」
剣持「おばちゃん。ここに見かけない女の子来なかった？」
剣持「妙なコスプレして『女神よ～ん』とか言ってるような」
ミユキ「ああ、あの娘ね」
ミユキ「青年団の連中と河原で飲み直すって」
剣持「しまった！遅かったか！」
剣持「どいて！」
ハンザキ「お、おい待てって！」
剣持「待てないわよ！お爺ちゃん！」
ハンザキ「お、お爺ちゃん」
ハンザキ「ジジイより傷つくな・・・」

〇河川敷
ハンザキ「コラァ！何やってんだ手前ら！」
剣持「やめなさい！警察を呼ぶわよ！」
東山「うあああああ～ん！」
西川「もう勘弁してくださあああい！」
ＭＥＧＵ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ！」
ＭＥＧＵ「飲んで～ッ！もっと飲んで～ッ！」
ＭＥＧＵ「このモヤシっ子どもがあああッ！」
東山「無理っす！もうこれ以上飲めませ～ん！」
西川「明日があるんで！自分、明日があるんで！」
ＭＥＧＵ「明日はね・・・」
ＭＥＧＵ「誰にでもあるんじゃいゴルァァァッ！」
ＭＥＧＵ「ぷは～っ！」
ＭＥＧＵ「おーぴーあい♪あそ～れ、おーぴーあい♪」
ハンザキ「・・・」
ハンザキ「おいコラ」
ＭＥＧＵ「あ、半ちゃんだ～」
ＭＥＧＵ「半ちゃん来たよ～」
ＭＥＧＵ「青年団として言いたいことあるんでしょ～」
東山「あ、アンタねえ・・・」
西川「あの神社の・・・ゴミ・・・」
西川「うっぷ・・・」
「おえええええええっ！」
ＭＥＧＵ「フン、男のくせに情けない。じゃあ代わりに私がガツンといってあげるわ」
ＭＥＧＵ「アンタねえ！」
ハンザキ「バカ野郎！いつまでほっつき歩いてんだ！」
剣持「半崎さん、一応心配してたのよ」
ハンザキ「だ、誰が心配なんか」
ハンザキ「パチンコに負けてイライラしてるだけだ！とっとと社務所に戻れバカ！」
ＭＥＧＵ「勝手にしろっつったのそっちじゃんバカ！」
ハンザキ「バイトの分際で口ごたえするなバカ！」
ＭＥＧＵ「バカバカ言うなこちとら神様だぞバカ！」
「おえええええええええええええええッ！」
剣持「・・・」

〇雷

〇空
「ああああああああもおおおおおおお！」
「どいつもこいつもうるさいのよバカ！」
「帰るわよバカ！」
「っていうか今、０時じゃ！バカ！」
　　つづく