第7話 『嵐の予感』(脚本)
〇実家の居間
七蔵「たいむす・・・何だって?」
角谷ナナ「タ、イ、ム、ス、リ、ッ、プ」
角谷ナナ「だから、七さんは昔の人なんじゃないかってこと」
七蔵「昔の人? 俺が?」
角谷ナナ「そう、私が星に願ったのがきっかけでタイムスリップしてきたの」
角谷ナナ「それなら七さんの、その髪型も納得できるし・・・」
角谷ナナ「ほら、七さんが作ったって言ってた、打ち上げ筒のことだって説明つくでしょ」
七蔵「へー、そうなのか?」
角谷ナナ「そうだよ」
角谷ナナ「昔、七さんが作ったあの打ち上げ筒を、古道具好きのおじいちゃんが買ったってことで・・・運命的な?」
七蔵「よくわけんねえけど、それにしたって俺はもう・・・」
角谷ナナ「あ、七さん、カレー冷めちゃう! 食べて食べて」
七蔵「ん? ・・・おう、わかった」
七蔵「・・・・・・」
角谷ナナ「どう? どう?」
七蔵「・・・・・・」
角谷ナナ「・・・・・・」
七蔵「・・・美味い!」
角谷ナナ「やったー! 本当!?」
七蔵「ああ。 みょうちきりんな味だが、案外食える」
角谷ナナ「よかった。 いっぱい食べてね、おかわりもあるから」
〇職人の作業場(店名あり)
それから1週間後──
〇花火職人の作業場
角谷ナナ「尺玉、で、出来た~!」
七蔵「さっそく打ち上げようぜ、ナナ!」
〇山道
〇車内
角谷ナナ「このボロ橋、壊れそうで渡るとき緊張するんだよね」
七蔵「何言ってんでぇ。 鉄で出来た、立派なもんじゃねえかよ」
七蔵「しっかし、すげぇからくりだ・・・本当に、馬が下に入ってるんじゃねえんだよな?」
角谷ナナ「ちょっと七さん、変なボタン押さないでね」
〇村の眺望
七蔵「ここは?」
角谷ナナ「尺玉を試し打ちするのに、いつも使わせてもらってる場所」
七蔵「ふーん。 なんで前みたいに、店で打ち上げねぇんだ?」
角谷ナナ「あそこは大きい花火・・・尺玉を上げちゃいけないの」
七蔵「へー、そうだったのか」
角谷ナナ「これ、前も言ったからね? 人の話、何にも聞いてないんだから」
〇村の眺望
七蔵「よし、これであとは打ち上げるだけ──」
七蔵が振り返ると、ナナは遠くの畑の端まで避難している。
七蔵「遠! ・・・またかよ!」
「ここで見てるからー!」
七蔵「ったく・・・近くで見りゃいいのに、なんだってんだ・・・?」
〇花火職人の作業場
角谷ナナ「私、花火嫌いだからさ」
〇村の眺望
七蔵「・・・・・・」
七蔵「いくぞ!」
七蔵が点火用の火薬に火をつける。
・・・ドォン!
「上がった・・・!」
「すごい色・・・!」
七蔵「ははっ・・・上がったなぁ! 俺の花火だ!」
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