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木佐マコ

第6話 『まん丸な花火の作り方』(脚本)

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〇花火職人の作業場
  七蔵は机の上に放置されている花火の残骸を眺めていた。
七蔵「花火らしい形にすらならねぇとはなぁ・・・」
角谷ナナ「おはよう、七蔵さん」
七蔵「おう、おはようさん」
角谷ナナ「七蔵さん。二人で作ろう、花火」
七蔵「いや、まあ、それはいいが・・・この腕でか?」
角谷ナナ「そうだけど、でも・・・」
  ナナが表情を曇らせる。
  七蔵は花火の木箱からすでに完成している花火をいくつか取り出した。
七蔵「こういうマシな花火を手本に・・・」
七蔵「そうだ、おいナナ! いいこと思いついたぜ!」
角谷ナナ「いいこと?」
七蔵「この花火を作った職人に、作り方を教わるのよ!」
角谷ナナ「・・・!」

〇職人の作業場(店名あり)
久間田和樹「出て行くんだよ。お前が来たから」

〇花火職人の作業場
七蔵「な? 名案だろ?」
角谷ナナ「それは絶対に嫌!」
七蔵「んん? なんでだよ?」
角谷ナナ「あの人たちには・・・和樹には頼れない」
角谷ナナ「・・・頼りたく、ない」
七蔵「・・・・・・」
角谷ナナ「七蔵さ・・・七さん」
七蔵「ん? 七さん?」
角谷ナナ「お願い、私を助けて」
七蔵「お前・・・」
角谷ナナ「私が作り方を教えるから。だから──」
角谷ナナ「七さんに、尺玉を作ってほしい」
七蔵「・・・・・・」
七蔵「何か事情があるみてぇだな」
角谷ナナ「・・・・・・」
七蔵「まあ・・・一宿一飯の恩ってやつだ」
角谷ナナ「・・・え?」
七蔵「いっちょ、二人でやってみるか!」
七蔵「なんでぇ、その鳩が豆鉄砲を食ったような顔は」
角谷ナナ「だ、だって、そんなにあっさり・・・。 何も聞かないの?」
七蔵「聞いてほしいなら聞くが・・・」
角谷ナナ「・・・・・・」
七蔵「それに、元をたどりゃあ俺のせいだしな」
角谷ナナ「元っていうか・・・そもそも全部、七さんのせいだよね」
七蔵「はっはっは」
角谷ナナ「・・・ふふ。 ビシバシ指導するからね」
七蔵「おう、大船に乗ったつもりでいていいぜ!」

〇花火職人の作業場
七蔵「なんかこの花火、小さくねえか?」
角谷ナナ「最初からあんな大きいの作るの大変でしょ。 まずは、5号玉で慣れるの」
七蔵「慣れる・・・ってことは、でけえのも、作り方は一緒なんだな?」
  七蔵はにやりと笑うと、箱の中から大きな尺玉の玉皮を取り出す。
角谷ナナ「ちょっと勝手に・・・!」
七蔵「ケチケチすんなぃ」
七蔵「やってみりゃ、案外すぐにできるかもしれねえぜ」
角谷ナナ「もう、しょうがないなあ・・・」

〇花火職人の作業場
角谷ナナ「まずは、隙間なくこの火薬──いわゆる星を並べます」
七蔵「星・・・全部黒いが、これがあの綺麗な色になんのか」
角谷ナナ「わかってると思うけど、色変えられるのは、この作業の時だけだからね」
七蔵「よしよし、それなら・・・」
角谷ナナ「うんうん、七さん、上手い!」
七蔵「まかせろっての」

〇職人の作業場(店名あり)

〇花火職人の作業場
  七蔵が半球状の花火の包皮二つを慎重に組み合わせる。
  しかし、その拍子に中に入っていた火薬が零れ落ちてしまう。
七蔵「どぁ!!」
角谷ナナ「あー・・・失敗」

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