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木佐マコ

第5話 『花火屋の娘の本気』(脚本)

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〇黒
  パンッ・・・ヒュウ・・・ッ

〇農村
角谷ナナ「うそでしょ・・・この大きさ」
七蔵「おー!! でっけえ!!」
七蔵「見ろ、ナナ!」
角谷ナナ「もしかして、大きい方上げた!?」

〇花火倉庫
七蔵「せっかく上げるならでっけぇのじゃなきゃ、つまんねえだろ?」
角谷ナナ「つまんないとか、つまるとかそういう問題じゃない!」
角谷ナナ「よりによって予備のない尺玉上げちゃうなんて・・・」
角谷ナナ「そもそもここ、5号玉より大きい尺玉は上げちゃいけないの」
七蔵「へえー」
角谷ナナ「はあ、せっかく納品分そろってたのに・・・」
七蔵「細けぇこと言うない、綺麗だったじゃねえか」
角谷ナナ「・・・上げちゃった花火、七蔵さんに作ってもらうからね」
七蔵「おう!」
七蔵「とうとう作れるんだな、夢にまで見たまん丸の花火」
角谷ナナ「夢にまで見た・・・?」
七蔵「さっきの景色が頭から離れねぇぜ。 あんな色は初めて見た・・・」
角谷ナナ「初めて・・・?」
七蔵「おい、ナナ。 早く、あの花火の作り方を教えてくれ!」
角谷ナナ「・・・え?」
角谷ナナ「七蔵さん、花火作れるんじゃ・・・?」
七蔵「ああ。でも、あんな丸いのは無理だ」
角谷ナナ「む、無理? 丸いのは無理って・・・作れないってこと?」
七蔵「でもお前が教えてくれりゃ、すぐ作れるようにならぁ」
角谷ナナ「・・・え? 無理?」
角谷ナナ「どういうこと? 確か・・・」

〇花火職人の作業場
角谷ナナ「つまり七蔵さん、花火作れるんだよね!?」
七蔵「まあな、城前屋の七蔵っていやぁ、花火狂いで有名だったんだぜ?」

〇花火倉庫
角谷ナナ「って言ってたじゃん!」
七蔵「ああ、あれか」
七蔵「城前屋は花火屋だが、おもちゃ花火の店でよ」
角谷ナナ「おもちゃ・・・? 線香花火とか?」
七蔵「そうだ、ちっちぇえ花火しか作らねえその店で、打ち上げまで作ろうってんだから、みんなが俺のこと面白がって」
角谷ナナ「うそ、うそ・・・!」
角谷ナナ「そうだ、この、花火筒!」
角谷ナナ「花火大会で打ち上げるために、打ち上げ筒作ったって言ってたのは!?」
七蔵「ああ、俺の夢だったからな。 先走って筒だけ作っちまった」
角谷ナナ「ゆ、夢・・・」
角谷ナナ「じゃあ、花火大会で花火を打ち上げたことはない・・・?」
七蔵「そういうこった」
角谷ナナ「そういう大事なことは、早く言ってよ! 今更・・・!」
七蔵「なに怒ってんだ?」
七蔵「花火屋の娘なら、お前だって作れねぇわけじゃねえだろ?」

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