エピソード23(脚本)
〇高層ビルのエントランス
真田紅音「明陰大学法学部四年、真田紅音です」
受付嬢「あ、はい、すべりこみセーフですね」
受付嬢「承りました。 エレベーターにて、最上階にどうぞ」
〇エレベーターの中
紅音が最上階のボタンを押すと、扉が閉まり、エレベーターが動き出す。
真田紅音「・・・・・・」
紅音は拳を固く握りしめた。
〇大ホール
ホールには食べ物や飲み物がテーブルに並び、立食パーティの雰囲気である。
藤原一茶「!」
藤原一茶「なんや、自分受か──」
藤原一茶「なにしとんねん、自分」
真田紅音「ふざけんなよ」
藤原一茶「なにがや」
真田紅音「百万貸す気なんてなかったんだろ」
藤原一茶「・・・あったゆうても、嘘や言うやろ、自分」
戸川仁「どうもどうも、お待たせいたしました」
「!」
戸川仁「皆さま、お疲れさまでした。 お金は合計で三億円集まりました」
戸川仁「ということは、300名の方がお金を持って来られたということです」
戸川仁「うーん、ちょっと例年より少ないかなー」
真田紅音「・・・・・・」
戸川仁「さて、本日は皆さま、お疲れのことと存じますので、これにて解散とさせていただきたいと思うのですが・・・」
戸川仁「その前に一つ、チーム分けをさせていただきたいと思います」
真田紅音「チームなんて・・・」
藤原一茶「なんや自分、チーム作るの嫌いなんか」
真田紅音「・・・っ」
戸川仁「次の三次選考は、三人一組のチームとなって選考試験に挑んでいただきます」
戸川仁「この場を借りてチーム分けをさせていただくことにしました」
戸川がリモコンを操作すると、天井から巨大なスクリーンが降りてくる。
戸川仁「肝心のチームについてですが、実はもう決まっています」
戸川仁「百万円を早くに集めてきた先着百名の方に、自分のチームに入れたい二人を選んでいただきました」
戸川仁「知り合いがいればそれでもいいし、履歴書の特技だけは表にまとめてお渡ししたので、役に立ちそうな人を選んでもいい」
藤原一茶「瑚白、だいぶはやかったけど、百人にはいっとったんかな」
戸川仁「では、チームを発表いたします、これです」
スクリーン上に、三人一組のチーム名簿が映し出される。
中園瑚白「よろしく」
真田紅音「それって・・・」
藤原一茶「おお、また仲良うやろうや」
スクリーン上の名前を探す紅音。
そこには、紅音、瑚白、一茶の名前が同じ枠の中に書かれていた。
〇開けた交差点
藤原一茶「また一緒に頑張ろうや、なあ紅音」
真田紅音「・・・・・・」
藤原一茶「しっかし自分、よう百万集められたな」
真田紅音「・・・・・・」
中園瑚白「ねえ、何があったか知らないけど、こんな状態で三次選考に臨むのは危険だし、気分が悪いんだけど」
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