魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

第20章 火種(脚本)

魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

今すぐ読む

魔道士は虹色の夢を見る
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇山中の川
シグバート・フォン・ブラッドショット(・・・これでよかったんだ)
ヴィオラ・コーディエ「・・・シグバート」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なにか言いたいことがあるのか」
ヴィオラ・コーディエ「あるに決まってるだろ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・言ってみろ」
ヴィオラ・コーディエ「あのさ・・・」

〇森の中
ノエル・エンジェライト「ミモザさん・・・」
ノエル・エンジェライト「シグバートさんの言ったこと ・・・気にしないでください」
ノエル・エンジェライト「ぼくだけならともかく・・・ 貴方にまであんなことを言うとは」
ミモザ・クラリティ「・・・いえ」
ミモザ・クラリティ「シグバート様のおっしゃったことは 正しいです・・・」
ミモザ・クラリティ「わたしは皆さんに助けていただきました」
ミモザ・クラリティ「だからこそ、自分にできることを しなければならないのに・・・」
ミモザ・クラリティ「わたし・・・皆さんの優しさに 甘えすぎていました」
ノエル・エンジェライト「・・・正論だったとしても あの言い方は許せません」
ノエル・エンジェライト「誰が父親であろうと、貴方は貴方です」
ノエル・エンジェライト「・・・それに、記憶を失って不安でしょう」
ノエル・エンジェライト「不安なとき、周囲に頼ることは 責められることではありませんから」
ミモザ・クラリティ「あの・・・」
ノエル・エンジェライト「はい」
ミモザ・クラリティ「あなたは・・・どうして」
ミモザ・クラリティ「わたしにそこまで してくださるのですか・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇山中の川
ヴィオラ・コーディエ「さっきのさ・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルのためだろ?」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルはすげー頑固で めんどくさい奴だけど」
ヴィオラ・コーディエ「あれでちょっとは素直になるだろ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザの記憶を取り戻せる そう信じてるけど」
ヴィオラ・コーディエ「もし・・・もしだぜ? 記憶が戻らなくてもさ」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザはシグバートより ノエルを頼るようになったんじゃない?」
ヴィオラ・コーディエ「婚約者じゃなくなったんだもんな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえ・・・ なぜ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルが先に怒ったから 逆に冷静になったっつーか」
ヴィオラ・コーディエ「それに、シグバートの言ったこと 間違ってるとは思わないし」
ヴィオラ・コーディエ「言い方はムカつくから ノエルの気持ちもわかるけど」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、おやすみ!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・鈍感バカのくせに こんなときは気づきやがって」
「シグバートも早く寝ろよー」
シグバート・フォン・ブラッドショット「わかっている!」

〇森の中
ノエル・エンジェライト「・・・迷惑だったでしょうか」
ミモザ・クラリティ「そんなことはありません!」
ミモザ・クラリティ「うれしいです・・・とても」
ミモザ・クラリティ「でも・・・わたし あなたを覚えていないのに」
ノエル・エンジェライト「・・・そうですね」
ノエル・エンジェライト「それでもいいと言えるほど ぼくは強くはない」
ノエル・エンジェライト「でも・・・もし 貴方の記憶が戻らなくても」
ノエル・エンジェライト「ぼくは覚えています」
ノエル・エンジェライト「貴方の優しさも、哀しみも」
ミモザ・クラリティ「ノエルさ・・・」
ミモザ・クラリティ「・・・ああっ!?」
ノエル・エンジェライト「ミモザさん!」

〇謁見の間
  ・・・めて
  やめて!
  彼に手を出さないで!

〇森の中
ノエル・エンジェライト「だいじょうぶですか」
ミモザ・クラリティ「は、はい・・・」
ミモザ・クラリティ(今の記憶・・・わたしの?)
ミモザ・クラリティ(父上に逆らったことなんて 今までなかったはず・・・)
ミモザ・クラリティ(・・・もしかして・・・ ノエル様のために・・・?)
ミモザ・クラリティ「・・・あっ」
ミモザ・クラリティ「ご、ごめんなさい!」
ノエル・エンジェライト「・・・ミモザさん」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・ ・・・いえ」
ノエル・エンジェライト「もう休みましょう テントまで送ります」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ(もし、そうだとしたら・・・ 記憶を失う前のわたしは・・・)
ミモザ・クラリティ(ノエル様のことが・・・)
ノエル・エンジェライト「・・・ミモザさん どうしましたか」
ミモザ・クラリティ「あっ・・・ごめんなさい!」
ノエル・エンジェライト「・・・行きましょう」
ミモザ・クラリティ(・・・絶対に記憶を取り戻したい)
ミモザ・クラリティ(助けてくれたみんなのために ノエル様のために)
ミモザ・クラリティ(そして、わたし自身のために)
ミモザ・クラリティ(そのためにすべきことは・・・)

〇綺麗な港町

〇教会の中
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・なんだと!?」
ヴィオラ・コーディエ「父さんの遺体がないって どういうことですか!?」
神官「昨日の夕方 お父様が引き取りに来られましたよ」
ヴィオラ・コーディエ「お父様・・・って」
神官「ご子息に頼まれたと おっしゃっていましたが」
シグバート・フォン・ブラッドショット「まさか、学園長か!?」
ミモザ・クラリティ「どうしてそんなこと・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「理由はどうあれ、油断は禁物だ」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇綺麗な港町
ミモザ・クラリティ「学園長がエレンに来ていたなんて・・・」
ヴィオラ・コーディエ「今もエレスティアにいるのかな」
ノエル・エンジェライト「その可能性は高いですね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園長はオレたちがプルウィルストーンを 入手したことを知らないはずだ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「報告がないことに痺れを切らして 自ら捜索に乗り出したのか?」
ヴィオラ・コーディエ「けどなんで父さんを連れてったんだ?」
ヴィオラ・コーディエ「また悪いことするつもりなら 絶対に許さない!」
ノエル・エンジェライト「今ならまだ近くにいるかもしれません」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園の教師は携帯ポータルを持っている」
シグバート・フォン・ブラッドショット「急がなければ遠くへ逃げられるぞ」
ヴィオラ・コーディエ「よし、行こう!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ではまず王都で聞き込みをするぞ ふたりずつに分かれて・・・」
ノエル・エンジェライト「ミモザさん、行きましょう」
ミモザ・クラリティ「えっ、あ、はい・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「まだ怒ってるっぽいな」
ヴィオラ・コーディエ「ま、無理もないか」
ヴィオラ・コーディエ「あたしらも行こうぜ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ああ」

〇城の廊下
デアネイ・フォン・スペサルト(・・・グレゴリー なにを考えてるの?)
デアネイ・フォン・スペサルト(昨日はあれから姿を見なかったけど 今日は話を聞かなきゃ)
デアネイ・フォン・スペサルト(それに父上とも ちゃんと話をしなくちゃ)
スペサルト兵「殿下、大変です!」
デアネイ・フォン・スペサルト「どうしたの?」
スペサルト兵「陛下が・・・!」
スペサルト兵「プレーン侵略へ向けて 出撃したとの知らせが・・・!」
デアネイ・フォン・スペサルト「えっ!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・グレゴリーは!? 父上を止めなかったの?」
スペサルト兵「それが、挙兵を進言したのは 宰相閣下とのことです!」

〇西洋の円卓会議
宰相グレゴリー・シーン「ヘンリー王とレオナ王女」
宰相グレゴリー・シーン「どちらの陣営が優勢であろうとも 内乱による打撃を受けているはず」
ナギット・フォン・スペサルト「そこを突けば双方を潰すことはたやすい ・・・と」
宰相グレゴリー・シーン「ご明察のとおりです」
宰相グレゴリー・シーン「大陸の支配者にふさわしいのは 陛下に他なりませぬ」
宰相グレゴリー・シーン「ただ、僭越ながら プレーン侵略に全勢力を投入すべきかと」
宰相グレゴリー・シーン「プレーンを支配下に置けば 他国への侵攻の足がかりになります」
宰相グレゴリー・シーン「姫様がたのことは プレーンを片付けてからでよろしいかと」
ナギット・フォン・スペサルト「・・・やむを得んな」
ナギット・フォン・スペサルト「ガキどもは一時捨て置くぞ」
宰相グレゴリー・シーン「ご心配は無用です」
宰相グレゴリー・シーン「しょせんは子ども すぐに捕らえることができましょう」
ナギット・フォン・スペサルト「では、すぐに挙兵の準備にかかれ」

〇城の廊下
デアネイ・フォン・スペサルト「グレゴリー・・・どうして」
デアネイ・フォン・スペサルト「父上がプレーンへ侵攻すれば 国民の不信感はさらに募る」
デアネイ・フォン・スペサルト「そう言ったのはグレゴリーなのに」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・あっ!」
デアネイ・フォン・スペサルト「まさか・・・!」
スペサルト兵「殿下、どちらへ!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「城のみんなを呼びなさい!」
デアネイ・フォン・スペサルト「それと、城下町の広場に民を集めなさい!」
デアネイ・フォン・スペサルト「早くっ!」
スペサルト兵「はっ、はい!」

〇綺麗な港町
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園長の目撃情報はなし・・・か」
ヴィオラ・コーディエ「しっかし、わかんないよな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なにがだ?」
ヴィオラ・コーディエ「なんで学園長は神に復讐したいんだろ?」
ヴィオラ・コーディエ「復讐ってことはさ なにかされた仕返しだろ?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・そうだな」
ヴィオラ・コーディエ「うーん・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・学園長って堕天使だったりして?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「は?」
ヴィオラ・コーディエ「ほら、授業でやったじゃん」
ヴィオラ・コーディエ「神に逆らった天使が 天界から追い出されたって」
ヴィオラ・コーディエ「堕天使だったら神に恨みがあるだろ?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「堕天使は今も地底に封じられている」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それに、なぜ堕天使が 学園で魔法を教えるんだ」
ヴィオラ・コーディエ「うーん・・・?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「納得できる理由があったら 学園長と戦わないのか?」
ヴィオラ・コーディエ「そうじゃないけど・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なら、理由を考えても仕方ないだろう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「逆恨みという可能性もある」
シグバート・フォン・ブラッドショット「余計なことを考えていないで 目の前のことに集中しろ」
ヴィオラ・コーディエ「まあ、そうだけど」
ヴィオラ・コーディエ「・・・シグバートさ 昨日のことどう思ってる?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なんの話だ」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザを傷つけて ノエルを怒らせただろ」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルが胸ぐらつかむなんて すっげーキレてるぜ」
ヴィオラ・コーディエ「ちょっとビビっちゃったよ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「嘆いていても仕方ないだろう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「やるべきことをやらなければ 前には進めない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレは間違ったことを 言っているつもりはない」
ヴィオラ・コーディエ「そうだけどさ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ちょっとは相手の気持ちも考えろよな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「感情に基づいた判断では 真実を見定めることはできない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレはこれまで ノエルを理性的だと思っていたが」
シグバート・フォン・ブラッドショット「認識を改めたほうがよさそうだな」
ヴィオラ・コーディエ「・・・あたしが父さんを殺したあと」
ヴィオラ・コーディエ「もし・・・立ち直れなくて ずっと落ち込んでたら」
ヴィオラ・コーディエ「そうやって正しいことだけ言って 無理矢理にでも立ち上がらせたのか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・それは」
ヴィオラ・コーディエ「国に帰れば両親が待ってるおまえに あたしの気持ちがわかるわけない」
ヴィオラ・コーディエ「あたしがそう言ったら ・・・なんて答える?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ヴィオラ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・なんてな」
ヴィオラ・コーディエ「さ、行こうぜ! 聞き込み再開だ!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ああ・・・」

〇中世の街並み
「あの悪魔が生きてたなんて」
「ディアマンテを滅亡させるって ほんとなのか?」
「王都も氷漬けにされてしまうの?」
「クルラナみたいにはなりたくない!」
「悪魔を殺せばいいんだ」
「殺せ、悪魔を!」
「クルラナの悲劇を忘れるな!」
「ディアマンテを守るんだ!」
キープレート学園長(見事に踊らされたな)
キープレート学園長(どれほど綺麗事を言おうが)
キープレート学園長(自らに危険が迫れば 平気で他者を踏みつける)
キープレート学園長(しょせんは下等生物)
キープレート学園長(学園へ戻るために 奴らはディアを通過するはず)
キープレート学園長(これでノエルも 犯した罪を思い出すだろう)
キープレート学園長「・・・さて」
キープレート学園長(アイオは切り札だ ここで使うわけにはいかない)
キープレート学園長(奴らが到着する前に もう一手打つ必要があるな)
キープレート学園長「・・・すべてはこの世界のために」

次のエピソード:第21章 近づいて、遠ざかる

コメント

  • 一つ前のお話でも思ったのですが、やっぱりシグバート恰好いいですね。理性的で合理主義、口は悪いけど本当は仲間想い。ヴィオラの言葉に詰まったのも優しいからなんだろうな、と。
    ミモザが記憶を思い出せそうなのに、今度は学園長の摩の手がノエルに😱ノエルは正気のまま、乗り越えられるのでしょうか?🤔 学園長の方にはアイオもいるし……ハラハラしながら続き待ってます!

成分キーワード

ページTOPへ