1章-04.状況整理④(脚本)
〇シンプルなワンルーム
橘 優人「・・・・・・」
次に、家族のグループチャットを確認してみた。
橘 絵梨奈「『マサオ君の家に電話したけど、時間通り帰宅したみたい💦部屋にスマホ置きっ放しでどこ行ったんだろう💦』」
橘 貴也「『俺、近くのコンビニ付近探してくるよ!』」
橘 結奈「『私、近くの公園探してみる!』」
橘 絵梨奈「『父さんがさっき警察に捜索願い出しに行ったついでに街の中を車で捜索するって。母さんはユウトの同級生に電話かけてみるね。』」
僕は、ポロポロと・・・
涙が流れて止まらなかった。
他にも、家族が朝早くから夜遅くまで捜索しながら、僕の安否を心配しているメッセージがずっと続いている。
そして、昨日の捜索途中に異変が起きて、避難する。
・・・との連絡が最後の内容だった。
少なくても昨日まではネットやスマホが使えたみたいだ。
橘 優人「・・・・・・ 皆に会いたいな・・・」
橘 優人「あっ!!!! スマホの電池が切れた!!!!」
橘 優人(【空間収納《アイテムボックス》】)
ユウトは電池の切れたスマホを【空間収納《アイテムボックス》】へと収納していた。
〇シンプルなワンルーム
橘 優人「・・・ それにしても・・・」
橘 優人「異変・・・・・・か・・・」
ユウトは涙を拭い、現状の把握をするため、気を引き締めることにした。
橘 優人「・・・ 異変、とはなんだろう・・・」
その異変のせいで家族皆は避難しているみたいだ。
つまり、この家には今僕以外誰もいないということになる。
橘 優人「よし!!!! 外の気配を探る魔法を使おう!!」
この魔法は一度使うと基本自動発動しているんだけど・・・
地球に戻ってきた影響か・・・
はたまた異世界《ノアン》で死んでしまった影響か・・・
今は発動していないようだ。
ま、なぜ切れてしまったのかはもとから不明だから気にしないようにしよう・・・。
そう考えながら再度発動してみる。
橘 優人(【気配探知《ディレクション》】)
橘 優人「・・・・・・・・・・・・???」
橘 優人「な、なんだこれは・・・・・・??」
本来地球では感じるはずのない気配・・・・・・だったのだ。
家の中に異常はないが・・・
家の周りに・・・何かがウロウロしていた――。
・・・人間に害がある気配だ。
橘 優人「これは・・・ 魔物・・・・・・!?!?!?」
橘 優人「い、いや!!!!!! ここは地球の・・・はずだ!」
こっそりと窓のカーテンをめくって外を見てみる。
〇一戸建て
――車が電柱に衝突して煙が上がっている。
――色んなところに血痕が飛び散っている。
――血や臓物が滴りながら、顔色が真っ青な人々が道路をウロウロしている。
異世界《ノアン》に転移する前に、泣きながら観ていたゾンビ映画のような状況が外にはあった。
〇シンプルなワンルーム
これは・・・
いわゆるゾンビパニック化──
橘 優人「え・・・・・・っ!?!?」
橘 優人「ゾ、ゾンビ? あれってゾンビだよね?」
橘 優人「こ、こここここは地球? 地球だよね?」
橘 優人「え?え? ゾンビ?パニック化・・・・・・している?」
ユウトは──
異世界《ノアン》ではゾンビ退治はお手のものだった。
なんせ【光の大賢者】の称号の通り、ゾンビの弱点である光魔法、神聖魔法が大得意なのである。
そんなユウトにとっても、現在の状況は大混乱なのである。
何せ――。
本来地球では起こりえない現象が目の前に広がっているのだから。
橘 優人「なに?なにこれ!?!?」
橘 優人「い・・・一旦落ち着こう・・・!!!!」
さっき、家族のグループチャット確認した時・・・
父さんと母さんは、近くのスーパーマーケット。
タカ兄、ユナ姉は僕の通ってた小学校に避難しているらしい・・・
橘 優人「・・・・・・」
皆、無事だろうか。。。
橘 優人「・・・・・・」
橘 優人「よし・・・!!!!」
橘 優人「この家から近いのは僕の通ってた小学校だ!」
橘 優人「まずは、タカ兄、ユナ姉のいる小学校付近を探してみよう!!!!!!」
いざ――。