劇列伝桃太郎

栗スナ

第2部 冒険の旅立ち(脚本)

劇列伝桃太郎

栗スナ

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〇体育館の舞台
「ナレーター「にくたろう第二幕が始まります。 肉太郎は大きくなり、オニ退治に向かうことにしました・・・」」
「ナレーター「それでは始まり始まり!」」
桃太郎「おじいさんおばあさん。行ってきます!」
おじいさん「待ちます。肉太郎。これ・・・持っていきます、先祖伝来のとてもいい包丁です とてもとても切れます」
おじいさん「ほら」
桃太郎「・・・ありがとう、おじいさん!」
宮本「待つよん。肉太郎。きびだんごを持っておゆきなさい」
桃太郎「ありがとう、おばあさん」
桃太郎「それでは行ってきます!」
宮本「うふふっ」
宮本「はいっ!行ってらっしゃいまし!! ごきげんよーん!!!!!」
宮本「ケッ」
桃太郎「さあ出発!」
桃太郎「・・・ふう、だいぶ歩いたな。ここらで少し休もう」
いぬ「わんわん・・・」
桃太郎「(あ。松下さんが犬の役をやるのか! 大丈夫かな、この人)」
桃太郎「(年に二回しか稽古に来ないユーレイ会員だからな・・・)」
いぬ「わ・・・わん・・・わ・・・わん」
桃太郎「(めっちゃくちゃ恥ずかしそうにやるなぁ・・・)」
桃太郎「お、犬だ」
いぬ「わ・・・わ・・・わ・・・」
桃太郎「どうした?」
いぬ「き・・・・・・・・・・・・・・・・・・き・・・・・・・・・・・・」
桃太郎「え?」
いぬ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
桃太郎「(観客が騒ぎ出した! やばいな。  ・・・う!!松下さんフリーズしてないか?)」
桃太郎「(松下さん、大丈夫?)」
いぬ「・・・・・・」
桃太郎「む?」
いぬ「・・・」
桃太郎「(泣いてるぅー!)」
桃太郎「(やばい、やばいな)」
桃太郎「(セリフを忘れたのかな。 さっき「き・・・」  って言ってたな・・・  まさかきびだんご?・・・いや、そんなわけない)」
桃太郎「(何だ彼女のセリフは・・・ 木?そんなはずはない! 記?日記のこと?いやいや・・・! 危?危険を知らせて・・・いやいや!)」
いぬ「き・・・・・・き・・・・・・」
桃太郎「だ、大丈夫だよ。泣かないで犬さん。さあ、このきびだんごをお食べ」
いぬ「?」
いぬ「!!」
いぬ「きびだんご!一つください!」
桃太郎「それかい!」
桃太郎「ほら!あげる。それを食べたら私の家来になってね」
いぬ「もぐもぐ・・・おいしー!!」
いぬ「家来になります・・・わん」
桃太郎「はい。じゃあ出発しよう!」
いぬ「わん」
桃太郎「(もー。超大根じゃないか)」
桃太郎「ふう、ふう、ふう・・・だいぶ歩いたな」
桃太郎「ここでちょっと一休みしよう」
いぬ「いいよ」
桃太郎「(セリフ間違えてる・・・)」
いぬ「じゃない!」
桃太郎「・・・」
いぬ「わん!」
桃太郎「(そう、そのセリフだ)」
桃太郎「(さて、次はさるが現れるシーンか)」
桃太郎「(そろそろ出てくると思うが)」
桃太郎「・・・(待とう)」
桃太郎「!!」
いぬ「!!」
山本「やばっ!私の出番まだか・・・戻ろう!」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
「プロデューサー「だからあんたはそれ着たらダメだろ!」」
桃太郎「・・・」
「山本「いや、そんなこと言わないでくれよー!何時間かけたと思ってるんだよ」」
いぬ「・・・」
「プロデューサー「何度言ったらわかるんだよ!」」
桃太郎「・・・」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
桃太郎「!!」
いぬ「!!」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
桃太郎「(やばい。さとる君。  なぜ何も言わない?)」
桃太郎「(くっ。この沈黙、耐えられん)」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
さとる「・・・・・・ふっふっふっふっ」
桃太郎「(さとる君何かセリフにないこと言ってるな。  えーと、何と答えたらいいんだ)」
さとる「ここでずっと見ていたぞ」
さとる「お前たちのその不審な動き」
桃太郎「(そりゃこっちのセリフだよ!)」
さとる「む。その腰にあるは きびのだんご! いただきだ!」
さとる「キキキ! ウィー---ッ!」
桃太郎「いつの間に?」
さとる「ウキキ!そのきびだんご、よこしてもらおうか!」
さとる「俺はそれが食いたいのだ」
さとる「その腰にある物を」
桃太郎「(う、うわ。正面から腰にかぶりついたよ!)」
桃太郎「(・・・や、やめいっやめいっ)」
さとる「やめたぞ」
さとる「ふふふ」
さとる「この猿飛の技、よう見切った!」
桃太郎「(何か違うキャラになってないか)」
桃太郎「きびだんごが食べたいならあげるよ」
さとる「我は誇り高き猿飛軍団。敵のほどこしなど受けん」
桃太郎「・・・・・・(いや、それじゃ話進まないんですけど・・・)」
桃太郎「猿飛。お前の望みは何だ」
さとる「それは猿飛軍団の名を天下にとどろかすこと」
桃太郎「・・・」
桃太郎「(えーと。どうしようかな。  セリフにないことを言うから困るじゃないかー)」
桃太郎「鬼ヶ島へ行かないか?」
さとる「鬼ヶ島?はて?」
桃太郎「そこへ行き、オニを倒せば天下に名をとどろかすことができるぞ」
さとる「そんなところには興味はない。この猿飛、狙うは家康の首」
桃太郎「・・・」
いぬ「(さとる君、あなたいい加減にしなさいよ!)」
いぬ「セリフにないことを想像して言わないでくれる?」
桃太郎「ど、どうした。猿飛」
さとる「あ、仲間になりまーっす・・・」
桃太郎「そうか。それはよかった。では出発!」
さとる「ウキ・・・」
いぬ「わん!」
桃太郎「さて、ずいぶんまた歩いたよ」
桃太郎「ここで一休みしよう」
さとる「何か俺寒くなって来た!」
桃太郎「そんな格好してるからな」
さとる「あの、すぐ戻るんでちょっと洋服を取りに行ってもいいですか?」
桃太郎「え」
桃太郎「あ・・・」
いぬ「あ・・・」
いぬ「(仕方ありません。お芝居を続けましょう・・・)」
桃太郎「(そうですね・・・)」
桃太郎「(次はキジか・・・配役決まったかな。もう不安だ・・・)」
いぬ「(沈黙多いなー。あたしの役、やりにくい・・・)」
桃太郎「・・・」
桃太郎「(まだ現れないよー・・・)」
桃太郎「ん?」
いぬ「え」
桃太郎「ま、まさかキジ?」
いぬ「いえ。そんなはずは・・・」
いぬ「だってどう見ても蛇じゃないですか」
キジ「・・・」
桃太郎「何も見なかったことにしよう」
いぬ「そうですね」
桃太郎「あ」
いぬ「ん」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
キジ「・・・キジ」
桃太郎「・・・何も見てない、何も見てないぞ」
いぬ「何も来てない、来てない・・・・・・」
キジ「・・・」
桃太郎「まだかなーキジ」
いぬ「きびだんごあるのにね・・・」
桃太郎「・・・」
桃太郎「そろそろ目を開けていいかなー・・・」
桃太郎「開けようかなー・・・まだかなー・・・・・・・・・・・・開けるぞ!」
キジ「キジです」
キジ「仲間にして」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
キジ「う・・・」
キジ「プロデューサー!」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
「プロデューサー「もう手は尽くしたぞ」」
「プロデューサー「これ以上何を出せと言うんだ」」
桃太郎「・・・」
いぬ「・・・」
「プロデューサー「また行ってくれる?」」
「キジ「はい」」
桃太郎「キジまだかなー」
いぬ「キジさん、来てください。お願い・・・」
キジ「ご安心ください。キジです。到着しました」
桃太郎「さっきと声が同じだなー、まだ来てないなー」
いぬ「目を開けることはできませんか・・・」
桃太郎「ええ。まだのようです」
キジ「・・・・・・・・・キジです(裏声)」
桃太郎「くうううう」
いぬ「・・・」
桃太郎「(もうこれで行くしかないか・・・)」
いぬ「・・・」
桃太郎「う・・・」
桃太郎「き。き・・・・・・き・・・キジだー、キジだ、キジがいるうううう! キジだー!」
いぬ「・・・」
桃太郎「見てよ犬。ほら、キジだよ!」
いぬ「・・・・・・ほんと。キジさん初めまして」
桃太郎「さあ出発だー(棒)」
いぬ「わん!」
キジ「ケーン!」
「ナレーター「こうして肉太郎たちはついに海まで来ました。向こうにあるのは鬼ヶ島です」」
桃太郎「見ろ。あそこに浮かぶのはオニのいる島だ」
いぬ「ほんとだわん」
キジ「あ、あれが鬼ヶ島。俺たちついにここまで来たってか?」
さる「オニどもめ。我ら、これからどう攻める?」
鬼が島「わしが鬼ヶ島だ!」
鬼が島「来るなら来てみろ!」
鬼が島「帰り討ちにしてやるぞ!わあっはっはっはっ!わあっはっはっはっ!」
桃太郎「よし、出発だー」
「ナレーター「ここで第二幕を終わります。今から10分の休憩をします」」
「ナレーター「次はいよいよ決戦です。肉太郎たちの活躍が楽しみですね」」

〇体育館の舞台
こうき「高校生の肉太郎、いろんなモンスターを仲間にしてたなー。すごい」
みずき「あのへんしつしゃの動きは風のようだったわ」
こうき「けど、キジってあのロボットのことだったのか」
みずき「鬼ヶ島ってしゃべるのね。心を持っているんだ・・・」
みずき「途中で出てきたあのカッパは何だろう・・・」
こうき「じゃがいものあだ名はきびだんごって言うんだな」
こうき「・・・肉太郎かっこいー」
みずき「うん。女の人を犬と呼んで泣かしていた時はむかついたけど」
こうき「あの女の人、「き・・・き・・・」とか言っていたけど何のこと?」
みずき「こうき君知らないの?子供ね。キスのことに決まってるじゃない!」
こうき「え?そうなの?」
みずき「じゃあ他に何があるって言うの?」
こうき「うーん」
こうき「きかん車?」
みずき「そうかもしれない・・・」
しゅん「・・・このお芝居おかしいよ」

〇体育館の舞台
  その頃、舞台裏では・・・
ロボコン会学生A「お、終わった・・・」
ロボコン会学生C「ロボット操作しんどい・・・」
ロボコン会学生B「・・・」
プロデューサー「いやー 君たち ありがとう! 本当に助かったよ!」
プロデューサー「いろいろ機転を利かせてくれて!!」
ロボコン会学生A「いちよう教授に言われて 震災用の蛇型ロボットと ロボコン大会に出したロボットを 持ってきてよかったです・・・」
ロボコン会学生C「私のロボットがほめられた・・・」
芸谷「それあたしのこと?毎度のことだからさ!」
プロデューサー「ああ、ありがとう。いいナレーションだったよ」
山本「いいって。次の出番も任せておいてよ」
プロデューサー「いや、次からは呼ばれてもいないのに 舞台に出ないで」
宮本「名演技だったよーん!今日のあたくしは 誰よりも輝いていた」
プロデューサー「セリフ長いから。次からは役に合った演技して」
いぬ「お疲れ様ですわん。皆さん」
桃太郎「ふう、芝居が何とかなってよかった」
プロデューサー「なってないよ。さっき子供がいろいろ勘違いしてたよ」
桃太郎「まあ多少は仕方ないですよ」
プロデューサー「あれ?あのバカは?」
桃太郎「誰ですか」
プロデューサー「さとる君は?さっきから見かけないんだけど」
いぬ「え。戻ってないんですか」
プロデューサー「うん、舞台上で服を取りに行くと言ってから行方不明なんだ」
桃太郎「えっ!」
いぬ「だから私の愛馬のシシィがさるの代わりをつとめていたのね」
桃太郎「え。松下さん馬に乗れるの?」
いぬ「私、乗馬教室に通ってるから。今日もここまで馬で来たんです」
プロデューサー「まあとにかく助かった・・・ しかしさるの役は今後松下さんのシシィに 出てもらうしかないようだな」
いぬ「私とシシィは相性はバッチリです!」
桃太郎「安心ですね!」
おじいさん「ローニンです。どうですか。演技はいいでした」
プロデューサー「そうか。なら言うことはない」
桃太郎「ははは。自己完結してる・・・」
おじいさん「今日私は台本通り言えましたね?」
プロデューサー「あんなセリフ書いた覚えはないが・・・」
桃太郎「ん?」
プロデューサー「どうしたね」
桃太郎「いえ。何でも」
山本「ん?どうしたどうした。桃太郎さん顔色悪くないかね」
桃太郎「いえ。大したことないです」
プロデューサー「そうか・・・ならいいが。まああと少しだからな」
桃太郎「ちょっと休んできます」
山本「・・・」
山本「さて、そろそろ始まるな・・・次は私の場面だな。ふふふふふふふふふふふふふふふふ」
プロデューサー「もう不安しかないな・・・」
  続く

次のエピソード:第3部 自由の果てへ

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