対話(1)(脚本)
〇大きな箪笥のある和室
『桃栗三年俺一秒♪桃栗三年俺一秒♪』
MEGU「・・・」
『それじゃ、次は新曲いくぜ!』
『インポッシブルヶ島!』
MEGU「・・・」
MEGU「つまんね」
MEGU「・・・」
MEGU「・・・ここって」
MEGU「酒、ないんか」
〇中規模マンション
「だからこれはただの卒業祝いだって言ってるだろう!」
「ああいや、すまん。怒鳴って」
〇散らかった居間
ハンザキ「菜々もまだ24だ。こういうのは、あって困るもんでもないだろ」
ハンザキ「ああそうだ、お前とはもう他人だ!だが娘とはずっと血の繋がった親子だ!」
『菜々はそれを嫌がってるのよ!あの娘にとっては今の父親がこれからずっとパパなのよ!』
ハンザキ「それは・・・」
ハンザキ「それは分かってる」
ハンザキ「分かってるから、会わせてくれなんて言ってない」
ハンザキ「ただ俺は、実の父親として何か出来る事を」
『あなたに出来ることは、あなたの人生を歩くことよ』
『だからもう・・・何もいりません』
ハンザキ「・・・」
『じゃあ・・・もうこれっきりにして』
ハンザキ「俺の人生・・・」
ハンザキ「何を今更・・・」
ハンザキ「今更、何を・・・」
〇祈祷場
MEGU「・・・」
〇空
『下手くそな絵・・・』
〇寂れた雑居ビル
好奇心旺盛ボーイ「見て見て~。リヤカーおじいさーん」
ハンザキ「リヤカーおじさんだ!がおー!」
過保護ママ「ちょっと、話かけないで下さい」
過保護ママ「目を合わしちゃダメ」
ハンザキ「チッ、これ全部不法投棄だぞ」
ハンザキ「お前ら世間様に見捨てられたゴミを引き取ってやってるんだ!文句あるか!」
ハンザキ「見せもんじゃねえぞ!どけどけ!」
〇神社の石段
ハンザキ「くそ、重い。収穫ありすぎたな」
ハンザキ「・・・」
環「観察とかしてる場合じゃないんだけど」
雅「だって近くで見るとますます怪しいし」
環「もう!まどろっこしい!」
環「あの~」
雅「え?マジ話しかけるの?」
樹「やだ!キモイキモイキモイキモイ!」
ハンザキ「・・・?」
環「あのー。弟のカード返して下さい」
ハンザキ「え?」
環「え?じゃなくて返して下さい」
ハンザキ「さあ・・・遊んでてどこかに置きっぱなしにしたんじゃないのか?」
環「きっと地主さんに取られてるって弟がビビってんですけど」
ハンザキ「取らないよそんなの」
環「小学生相手にガチで切れるって、PTAで噂なんですけど」
ハンザキ「知らないよ。帰りなさい」
環「あ!ちょっと!逃げないで下さい!」
雅「もう!ついてかないでよ環!」
樹「エグイエグイエグイエグイ!」
〇古びた神社
勝「とりゃあああ!」
MEGU「おりゃあああ!」
ハンザキ「おい何振り回してる!危ないだろ!」
MEGU「おはよう家主」
ハンザキ「地主だ」
ハンザキ「雇い主でもある」
ハンザキ「仕事だ神様。あいつら追い返せ」
MEGU「あいつら?」
環「こら勝!ここにきちゃダメってお母さんに言われたでしょ!」
雅「そうだよ!イタズラされたらどうすんの?」
ハンザキ「するか!」
雅「やだ。ツッコまれた」
樹「キモイエグイキモイエグイ!」
MEGU「地主、さてはJK苦手だな」
環「ホラ、カード見つかったんなら帰るよ」
「ダメ。まだ決着ついてないから!」
環「なんの決着よ」
環「大体その人神様でしょ」
環「てかそれ以前に大人でしょ」
環「どうかと思いますケド。その非常識な行動」
MEGU「まあまあそう言わずに遊んでいきなされ。神社はみんなの憩いの場じゃて」
MEGU「キミ達も子供なんだからさ」
「え~ちょっと、今ウチら変な人に話しかけられてるんですケド~」
MEGU「ケドで止めない!」
MEGU「言われた方、マジ不愉快なんですケド~」
「・・・」
「シャアアアアアッ!」
ハンザキ「喧嘩なら他所でやってくんねえか」
つづく