武田(脚本)
〇田舎道
御厨「まあその・・・あれだね」
御厨「こんなちいさな村で新興宗教起こしても、変な目で見られて追い出されるだけだよ」
御厨「さあ!限界集落への道が定められた地域の排他性を思い知らせてやりたまえ!」
剣持「あんた私の前だと無茶苦茶強気ね」
剣持「一度、青年団にボコられればいいのに」
剣持「それに、そんな大それた事考えるオッサンじゃないよ」
剣持「むしろ無計画っていうか捨て鉢っていうか自暴自棄っていうか」
剣持「どっちかって言うと見てて痛々しいのよね」
御厨「どういう意味?」
剣持「だって奇行に走る前は普通の会社員だったって話じゃない」
剣持「色々あったみたいよ・・・『元』家族と」
御厨「元・・・か。あの性格なら何をか言わんやだね」
剣持「お、五時だ。お仕事終了」
剣持「お疲れ!」
御厨「ね、ねえ!」
御厨「yumeセンターに新しいレストラン出来たって知ってる?中華の老舗の・・・」
剣持「貴様~ろくに説得も出来なかったくせに、この私を食事に誘うってか」
剣持「挙句、この熟れ熟れボディを弄ぼうとする算段か」
剣持「無能ネギの分際で随分いい度胸じゃないか」
御厨「まあまあそう言わず一度お試し頂ければ、僕のこの外見と中身のギャップに魅了されるかも知れませんぜ」
剣持「なにも試したくないわボケ!」
剣持「大体、何度も言ってるけど私、年下に興味ないから」
剣持「ストライクゾーン、アラ還だから」
剣持「まあアンタの場合は年齢以前の問題ね」
剣持「あと顔、戻して。怖いから」
御厨「ふん。絶賛婚活中でストレスも多いだろうけど、あまりマニアックすぎる性癖を暴露させるのもどうかと思うよ」
剣持「性癖いうな」
剣持「それに町まで出たら、また半崎と会っちゃうかも知れないじゃん」
御厨「そっか、地主だから町に住んでんだっけ」
御厨「てことはあのバイト、ただの社務所の夜警さんじゃないか」
御厨「まあ、御神体も神社を守る警備員みたいなもんか。面白いこと考えるね、半崎氏も」
剣持「さんざん村の神社汚しといて、自分は町でマンション暮らし。そりゃ村の小市民どもも癪に障るわよ」
龍田「おう、剣持君~」
龍田「神主どんもご一緒ですかいのう」
御厨「これはこれは龍田さん。お正月以来です」
龍田「神主どんが出て来たいうことは、本格的に半崎を追い出す働きかけをしてくれとるんですかいのう?」
御厨「はい、そっちの方向で対話を進めていきたいなと思っています」
龍田「対話?」
龍田「もっと具体的に説明してくれんかいや」
剣持「つまり役場としても大変遺憾であり動向を注視しつつ高い緊張感を持って前向きに検討を加速させる方向で動く予定です」
龍田「もうええ。何も分からん事が良く分かった」
龍田「だったら青年団も一層強い行動に出るかも知れんぜよ。特に若い連中がのう」
龍田「ワシはいいけどヤツラはどうだろ?」
龍田「わっはっはっは!」
御厨「げほっ!げほっ!」
御厨「前から不思議に思ってたんだけど、あの人って・・・」
剣持「うん、普通に標準語喋れるよ」
剣持「高知県に旅行に行って、戻って来たらああなってたの」
御厨「鉄○か・・・」
剣持「うん・・・○矢ね」
つづく