〇古びた神社
ハンザキ「よっ！」
御厨「ええと、この神社はですね」
ハンザキ「どけ」
ハンザキ「これはこの辺に置くか」
御厨「江戸時代に半崎さんのご先祖が私財をなげうち建立された、それはそれは由緒正しき神社でありまして」
ハンザキ「知ってるよ。どけ」
ハンザキ「こりゃいい。目立つとこに飾ろう」
ハンザキ「誰の貰いもんか知らんけどよ」
御厨「御祭神は天探女命。御神体は小さな木札でありましたが、戦争中に消失してしまったと言われています」
ハンザキ「・・・」
ハンザキ「それで？」
御厨「・・・以上です」
御厨「ごきげんよう」
剣持「じゃねーよ」
剣持「半崎さん。御神体の不在にかこつけて若い女性アルバイトにコスプレさせて神を名乗らせるなど社会通念上問題があります」
ＭＥＧＵ「だってさ！」
剣持「しかも記憶喪失ときた」
ＭＥＧＵ「ときた！」
剣持「いくらこのゴミ神社の存在意義を正当化したいからと言って、これ以上非常識な真似を続けるようでしたら」
ＭＥＧＵ「でしたら！」
ハンザキ「でしたら何だ？」
ＭＥＧＵ「そうだ！何だ！答えろネーチャン！」
剣持「ちょっと黙ってて」
ＭＥＧＵ「オッケー！」
ハンザキ「黙らなくてもいいぞ。御神体サマがここを飾り付けて構わんと言ってるんだ？」
ハンザキ「だろ？」
ＭＥＧＵ「うん。とってもいいと思うよ♪」
ＭＥＧＵ「実にサイケデリックじゃないか、家主君」
剣持「お話しになりませんね」
剣持「大体あなた、本当に記憶喪失なの？半崎氏の知り合いじゃないの？」
剣持「記憶喪失だって、調べればすぐ分かるのよ」
ハンザキ「御神体の調査は禁止させて頂きます」
ＭＥＧＵ「イヤ～ン。エッティ～」
怒りの剣持！「ミクリヤ！コノイカレヤロウドモヲダマラセロオオ！」
御厨「わ、私も神主としてこの方を御神体と認めるわけにはいきません！」
ＭＥＧＵ「ま、普通そうよね」
ハンザキ「そうか・・・」
ハンザキ「神聖なる大神官様のご高説はよく分かった」
ハンザキ「ならその無くなった木の札とやらを見つけてこい！そしたらここを片付けてやらあ！」
御厨「ひいいっ！暴力反対！」
剣持「覚えてらっしゃい！」
ＭＥＧＵ「やーいやーい。おとといきやがれー」
ＭＥＧＵ「ブース！」
ハンザキ「・・・」
ハンザキ「おい。お前、本当は何モンなんだ？」
ハンザキ「その・・・病院、行かなくてもいいのか？」
ハンザキ「知り合いとか親とか、本当に何も思い出せないのか？」
ＭＥＧＵ「あんだって～？私が何者かだって～？」
ＭＥＧＵ「決まってるじゃん。わたしゃ神様だよ」
ＭＥＧＵ「神様～。あいよ～。なんつって～」
ハンザキ「・・・神様か」
ハンザキ「だとしたら、とんだ邪神だな」
ＭＥＧＵ「聞こえとるぞジジイ！」
　　つづく