HONEY PET DADDY

咲良綾

エピソード2.愛は種族を超える?(脚本)

HONEY PET DADDY

咲良綾

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〇ナースセンター
  猫になっても、
  お父さんはかっこいい。
お父さん「奏」
奏(かなで)「なぁに、お父さん」
お父さん「プリンターの用紙をセットしてくれ」
奏(かなで)「わかった」
ニャッピー「オーナー、これなんて読むんですか?」
お父さん「ああ、これは『常温保存』だ。普通の部屋の温度で置いててもいいってことだよ」
奏(かなで)「ニャッピー、お仕事慣れてきた?」
ニャッピー「ちょっとは・・・でもまだ、全然」
奏(かなで)「あれから1ヶ月かぁ・・・」
  1ヶ月前。
  お父さんは飼い主を亡くして錯乱するニャッピーを保護しようとして事故に遭った。
  その際、何かが混乱したらしく、お互いの中身が入れ替わってしまった。
  最初は戸惑ったが、この状況を受け入れて、わたしたちは家族を再構築しようとしている。
ニャッピー「やっぱり、奏が動物と話せるのは秘密なの?」
奏(かなで)「うん。お母さんにはわたしの中身が猫だって、知られたくないから」
  わたしの中身は、奏じゃない。

〇可愛い部屋
  奏が5歳で命を落としたときに魂が入れ替わった、飼い猫のニャニャ子なんだ。

〇ナースセンター

〇ペットショップの店内
奏(かなで)「どうしたの!?」
ダガー「へ、蛇が俺を絞め殺そうとするんスよ!」
ダガー「なんで・・・」
お母さん「お父さんを呼んできて!」
奏(かなで)「う、うん!」

〇ペットショップの店内
お父さん「スネ美、どうした?」
スネ美「この男は わ た し の よ !」
お父さん「ああ、心配するな」
お父さん「その女は俺の妻で、俺以外眼中にない」
スネ美「嘘よ!あなた猫じゃない!」
スネ美「こんなめっちゃハンサムな男に、人間がよろめかないはずがないわ!」
お父さん「確かに俺は猫で彼女は人間だが」
お父さん「スネ美こそ、愛が種族を越えるってことを よくわかっているだろう?」
スネ美「あ・・・それは・・・」
お父さん「にゃーん」
お母さん「え、スマホ使うの?」
お母さん「はい」
お母さん「・・・」
お母さん「ち、ちょっと新也さん、なんで今・・・」
奏(かなで)「お父さん、なんて打ったの?見せて」
奏(かなで)「『涼香。猫になっても君を愛してるよ』」
スネ美「・・・!」
スネ美「わかったわ。その女はライバルじゃないのね」
ダガー「あ、ゆるんだ」
ダガー「助かったっす~」
紗鳥(さとり)「ダガー、トリミング予約のクッキーちゃんが来たよ」
ダガー「あっ、わかりました」
スネ美「誰よその女あぁ!!」
ダガー「グアアァ!」
お父さん「紗鳥は動物にしか興味ないから大丈夫」
スネ美「違うわよ!犬よ犬!」
スネ美「どう見てもこの男に惚れてんでしょうがあぁ!!」
奏(かなで)「えええええ!?」
紗鳥(さとり)「どうしたの?」
奏(かなで)「あ、いや、蛇の勢いに驚いただけ」
クッキー「ふふ、新参な上に無毛のあなたは知らないでしょうけど、彼は一流のトリマーなのよ」
クッキー「彼がどんな優しい手つきでお手入れしてくれるか体験できないなんて、残念ね」
スネ美「ふん!この男をよく見なさい」
スネ美「毛がないでしょう。毛がない気持ちなら私の方がわかるわ」
クッキー「なんですって!」
スネ美「やんのかコラ!」
ダガー「なんすか?俺悪いことしたんすか?」
ニャッピー「ダガー、モテて取り合いされてる」
ダガー「えええええ!?」
ニャッピー「モテモテ、いいなー」
ダガー「よくないっすー!」

〇ペットショップの店内
お母さん「は~、なんとか落ち着いた」
紗鳥(さとり)「大変でしたね」
「いらっしゃいませ」
礼央(れお)「こんにちはー タロスケのお迎えに来ました」
紗鳥(さとり)「あっ、こんにちはー山田のおじいちゃんとおばあちゃん!」
「えっ」
来人(くると)「僕たちは山田さんの代理です」
紗鳥(さとり)「あ・・・そういえばなんだか小さい」
礼央(れお)「相変わらず人の見分けがアバウトだね」
紗鳥(さとり)「ごめんなさい、動物なら間違えないんだけど」
お母さん「もうタロスケお迎えの時間?」
お母さん「待って、連れてくるから」
奏(かなで)「いらっしゃい、礼央、来人!」
奏(かなで)「最近、いつも一緒だね」
来人(くると)「うん」
礼央(れお)「同学年で兄弟なんて、 仲良くなったが勝ちじゃん!」
奏(かなで)「礼央は新しいお母さんにも慣れた?」
礼央(れお)「そ、それは・・・」
来人(くると)「照れちゃって、まだ母さんって呼べないんだよ」
奏(かなで)「何それ、可愛い」
礼央(れお)「かっ・・・!」
礼央(れお)「やめろ、からかうなよ!」
奏(かなで)「そういえば今日はなんで代理? 山田さん、どうかしたの?」
来人(くると)「えーとね、タロスケ、 このままうちに連れて行くんだ」
奏(かなで)「犬童動物病院に?・・・もしかして」
奏(かなで)「それ、タロスケ大丈夫なの?」
礼央(れお)「そこはオーナーが話つけるって メールで言ってた」
奏(かなで)「お父さんが?」
来人(くると)「あ、タロスケ」
タロスケ「行くぜ!」
礼央(れお)「うわ、やる気満々じゃん」
来人(くると)「オーナー、どんな説得したの」
お父さん「ワクチンの効果について、 しっかり説明したんだよ」
タロスケ「オレは・・・勇者になる!」
タロスケ「この町の人たちはオレが守る!」
ニャッピー「・・・って、言ってます」
礼央(れお)「あ、なるほどそういう方向・・・」
ダガー「クッキーちゃん、前処置終わったんでカットに入るっす」
タロスケ「あっ!クッキーちゃん」
クッキー「タロスケ、相変わらずダサいわね」
タロスケ「オレ、クッキーちゃんを病気にしないために、 注射頑張ってくるよ!」
クッキー「えっ・・・」
クッキー「な、何よ、タロスケのくせに」
スネ美「ヒューヒュー、犬は犬同士仲良くしてな!」
クッキー「はぁ?余計なお世話!」
お母さん「じゃあ、タロスケをお願いね」
「はーい」
お母さん「さてと」
お母さん「新也さん、今月の売上まとまった?」
お父さん「ああ、できてるよ」
お母さん「見に行くわ」
ニャッピー「奏」
奏(かなで)「ニャッピー、どうしたの?」
ニャッピー「今、セキセイインコたちが話してたんだけど」
ニャッピー「あんなことやこんなことって、何?」
奏(かなで)「え?」
奏(かなで)「待って、順番に話して?」
ニャッピー「あのね、お母さんが元気ないんだって。ため息が多いって」
奏(かなで)「そうなの? わたしたちの前では元気にしてるけど」
ニャッピー「それはきっと、オーナーとあんなことやこんなことできなくなったからだって」
奏(かなで)「・・・」
ニャッピー「僕が代わりにできないかな?」
奏(かなで)「いや、それは、ダメだと思うよ?」
奏(かなで)「多分、中身もお父さんじゃないと」
ニャッピー「そうかぁ・・・」
  お母さん、陰でこっそりため息ついてるのか
  やっぱり、猫じゃダメなのかな

〇教室
礼央(れお)「奏、どうたんだ?ぼーっとして」
奏(かなで)「ねぇ、愛に体の関係は必要だと思う?」
礼央(れお)「ぶばっ!!」
礼央(れお)「お前・・・一体何言って」
来人(くると)「そうだね。触れ合うのは大事だと思うよ」
礼央(れお)「来人まで!!」
奏(かなで)「小さかったり毛深かったりすると、違う、こんなんじゃない、ってなるのかな」
来人(くると)「うーん、人それぞれだと思うけど・・・」
礼央(れお)「おい、お前ら、ここ学校だぞ?」
奏(かなで)「学校で愛の話をしたらダメなの?」
礼央(れお)「いや、そういうわけじゃないけど」
奏(かなで)「お母さん、本当はすごくつらいんじゃないかな」
来人(くると)「まあ、つらくないわけはないと思うよ」
礼央(れお)「・・・」
礼央(れお)「なんだ、涼香さんとオーナーの話か。 もっと際どい話かと思っ・・・」
来人(くると)「欲求不満はあるかもね」
奏(かなで)「やっぱりそうなのかなー」
礼央(れお)(やっぱり際どい話なのか!?)
礼央(れお)(わからん! こいつらの目が澄んでて、わからん!)

〇ナースセンター
礼央(れお)(そして何故か一緒に覗き見してる)
奏(かなで)「お母さん、やっぱり変わらないみたいだけど」
お母さん「・・・」
お母さん「はぁー」
奏(かなで)「ため息!」
来人(くると)「ニャッピーを見てため息ついてる?」
奏(かなで)「やっぱり、お父さんの体への未練が」
礼央(れお)「えぇ・・・」
お母さん「ニャッピー・・・」
お母さん「ひとつだけお願いしたいことがあるの」
お母さん「ニャッピーはそういうの、興味ないかもしれないけど」
お母さん「私、新也さんの体が好きだったから、どうしても惜しくて」
お母さん「ちょっと、触っていい?」
礼央(れお)(えええ? 体を、体を求めてしまうのか!?)
礼央(れお)(なんで二人とも、澄んだ目で見てるんだよ!?)
お母さん「やっぱり、やわらかい」
お母さん「こんなの、ダメよ・・・」
礼央(れお)(わー!この作品、年齢制限あったっけ!?)
お母さん「お願い」
お母さん「筋トレして!」
お母さん「新也さんが育てた立派な筋肉が、だんだん落ちていくのがせつないの!」
ニャッピー「筋トレってなんですか?」
お母さん「そこからかー」
ニャッピー「オーナー!」
ニャッピー「オーナーが教えてくれるの?」
ニャッピー「わかった、頑張る」
礼央(れお)「なんだ・・・筋トレか・・・」
奏(かなで)「確かに最近、お腹がぽよんとしてきてた」
来人(くると)「トレーニングは健康にもいいよね」
礼央(れお)(俺は心が汚れてるのかな)
ニャッピー「えーっ、片手で支えるの?」
お母さん「頑張って!」
お母さん「・・・」

〇ナースセンター
お父さん「奏」
お父さん「今、犬童先生からメールが来たんだが」
お父さん「ダガーが動物病院で忘れ物したらしい」
お父さん「受け取りに行ってくれるか?」
奏(かなで)「はーい」
お母さん「・・・」
お父さん「涼香」
お母さん「奏、まるでお父さんの言葉が通じてるみたいね」
奏(かなで)「そんなわけないじゃん、 メール見せてもらったんだよー」
お母さん「そっか、そうよね」
奏(かなで)「いってきまーす」
お母さん「・・・」
お母さん「メールなんか、見てなかったよね」
お父さん「・・・!」
お母さん「私も」
お母さん「新也さんの言葉が、聞きたい」
お母さん「文字じゃなくて、直接」
お父さん「・・・」
お母さん「贅沢だって、わかってるけど」
お母さん「いてくれるだけで嬉しいけど」
お母さん「でも」
お母さん「・・・本当は私、わかってるの」
お母さん「奏は・・・奏じゃないんでしょう?」
お父さん「!」
お母さん「新也さんとニャッピーが入れ替わったとき」
お母さん「ずっとあった違和感が、腑に落ちたの」
お母さん「口の周りを舐める癖、耳の後ろをかく癖、洗濯物が回るのを飽きずに見る姿」
お母さん「ニャニャ子が恋しくて真似してるのかと思った」
お母さん「・・・でもあの子は」
お母さん「私の耳たぶを触らないの」
お母さん「ニャニャ子を亡くした日から、一度も」
お父さん「・・・」
お母さん「考えたくなかった、見ないふりしてた」
お母さん「あの子を愛してるわ」
お母さん「でも」
お母さん「・・・新也さん」
お母さん「私の耳たぶが好きだった奏は」
お母さん「私がお腹で育てた奏は」
お母さん「もう、いないのね・・・」
お父さん「涼香・・・涼香、ごめん」
お父さん「こんな体でごめん」
お父さん「小さくて、君を包めなくてごめん」
お父さん「愛してる・・・愛してるよ」
  涼香
お母さん「!」
お母さん「聞こえた・・・」
お父さん「・・・」
お父さん「言ってること、わかるか?」
お母さん「うん」
お父さん「額をくっつけてると、伝わるのか」
紗鳥(さとり)「オーナー・・・」
紗鳥(さとり)「うわ」
ダガー「なんすか?」
ダガー「うわぁ」
紗鳥(さとり)「ラブラブ・・・」
ダガー「ら、らぶらぶっすね」
紗鳥(さとり)「しばらく二人にさせときますか」
ダガー「そっすね」
お父さん「奏が帰ってきたらちゃんと話そうな」
お父さん「俺たちの新しい形のこと」
お母さん「うん」

〇ペットショップの店内

コメント

  • ペットショップが舞台だから、動物たちとのコミュニケーションが中心なのかなという冒頭から、ラストはしっかりと感動をありがとうございます(;_;)
    途中、R18を心配する子供たちと同じ気持ちになりましたが、ママが筋肉フェチで良かったです。(実は私も同じフェチ)あと耳たぶに触る癖のくだりが、私の幼少期の癖と同じで共感しました。

  • 笑いあり涙あり、たっぷりボリュームで楽しませていただきました❤ 1話だけでも十分でしたが、続きがあるとなんかこう、TVドラマの特別版みたいな? 安定感がありますね。
    スチルも素晴らしかったです👍 (絵が描けるの羨ましい😆)

    スネ美……🤣🤣

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