卒論提出まで あと14時間

オカリ

卒論提出まであと14時間(脚本)

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オカリ

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〇散らかった研究室
  時刻 22:00
  卒論提出まで
  あと14時間
  カチャカチャ
  カチッ
  カタカタ
  ス─・・
  ・・ッタ──ン!
Y崎くん「完成!ギリ間に合った!」
ポニテ先輩「お?ようやく?」
Y崎くん「先輩!」
Y崎くん「すいません、こんな遅くまで お付き合い頂き」
ポニテ先輩「いいよ、明日は卒論の締切だもん」
ポニテ先輩「キミの卒業がかかってるんだ お安いご用だよ」
Y崎くん「先輩っ!」
ポニテ先輩「それにキミ 就活長かったよね?」
Y崎くん「はい! 2年の時から始めたので」
Y崎くん「単位も何個か落としました!」
Y崎くん「内定が出たのは4年の秋ですね」
ポニテ先輩(予想より苦戦してた)
ポニテ先輩「──正直ね 中間発表で進捗を聞いたとき」
ポニテ先輩「「卒業は無理だな」って思ってた」
ポニテ先輩「でも研究室にこもって頑張って・・」
ポニテ先輩「数カ月でよく持ち直したね!」
Y崎くん「いや〜ギリギリでした」
Y崎くん「全部先輩のおかげです!」
ポニテ先輩「そうだぞ〜?感謝しろよ〜?」
ポニテ先輩「初任給、期待してるからね? なに食べよっかな〜」
Y崎くん「お手柔らかに・・」
ポニテ先輩「さ、あとは提出だ」
ポニテ先輩「期限は明日の何時までだっけ?」
Y崎くん「正午っすね 今日中に印刷します」
Y崎くん「でも紙で提出って面倒ですね メールでいいのに!」
ポニテ先輩「昔から続く慣例だよ 窓口も大学の事務局だし」
Y崎くん「うーん・・」
ポニテ先輩「文句言う前に卒論卒論!」
ポニテ先輩「もう完成したんでしょ?」
Y崎くん「はい!最後に保存して終わりです!」
Y崎くん「やっと家に帰れます」
ポニテ先輩「早く帰りな 予報だと今晩から雨らしいし」
ポニテ先輩「さて今のお天気は──?」
  ガラッ
  ポツポツッ
ポニテ先輩「おや?もう降りはじめた?」
  ゴロゴロ
ポニテ先輩「雲行きも怪し・・」
  ピシャッ
  ドーーン!!
ポニテ先輩「うひゃ!!?」
  バチンッ
  フッ──

〇黒
ポニテ先輩「停電だ!」
  ザアアアッ
ポニテ先輩「ひゃー降り出した!」
ポニテ先輩「ライトライト・・」
ポニテ先輩「スマホでいっか」
  パッ
ポニテ先輩「うわ!キミか!」
ポニテ先輩「急に出ないでよ 心臓に悪い」
Y崎くん「──先輩」
ポニテ先輩「ん?どした?」
  スッ──
ポニテ先輩「え?まさか卒論のデータ?」
  カチカチッ
ポニテ先輩「なんだ、あるじゃん」
ポニテ先輩「黙ってるから全部飛んだのかと・・」
  カチッ
  ! ファイルが破損しているため開けません
ポニテ先輩「・・」
  カチッ
  ! ファイルが破損しているため開けません
ポニテ先輩「まさか」
  カチッ
  ! ファイルが破損しているため開けません
ポニテ先輩「今の停電で全滅!?」
Y崎くん「・・・」
Y崎くん「オワタ」
  バターーン
ポニテ先輩「気絶した!?」
ポニテ先輩「しっかりして──!」

〇散らかった研究室
  時刻 23:00
  卒論提出まで
  あと13時間
  カチカチッ
Y崎くん「どうすか」
ポニテ先輩「うん」
ポニテ先輩「ダメだ 物理的に壊れたっぽい」
ポニテ先輩「業者に頼めば復旧できるかもだけど」
ポニテ先輩「明日の締切には間に合わない」
Y崎くん「そんなぁ〜」
ポニテ先輩「なに諦めてるの!まだ終わりじゃない!」
Y崎くん「え?」
ポニテ先輩「期限は明日12時、今は23時過ぎ つまり──」
ポニテ先輩「あと半日ある!」
Y崎くん「データ全部消えたのに?」
ポニテ先輩「半日なめるな!」
ポニテ先輩「海外ドラマなら首相の暗殺犯から 意外な裏切り者まで判明するぞ?」
Y崎くん「なんの話ですか」
ポニテ先輩「現状確認! どうせバックアップないでしょ?」
Y崎くん「うっ、はい」
ポニテ先輩「クラウドは?」
Y崎くん「全部USBとPCに保存してて」
ポニテ先輩「で、まるごと飛んだと」
ポニテ先輩「オッケー まだ希望はある」
Y崎くん「え?」
ポニテ先輩「卒論の下書き、何度か先生に メールで送ったよね」
ポニテ先輩「それがあれば・・」
Y崎くん「その時点まで復元できる!」
ポニテ先輩「問題はそれ以降、だね」
ポニテ先輩「結果や考察は覚えてる?」
Y崎くん「卒論完成直後なので、ある程度は・・」
ポニテ先輩「なら記憶があるうちに全部書き出す!」
ポニテ先輩「先生には私から連絡する」
ポニテ先輩「私のPC貸すから!作業急いで!」
Y崎くん「ありがとうございます!」
ポニテ先輩(さてと 深夜に先生へ電話、か)
ポニテ先輩(・・怒鳴られるのヤダなぁ)

〇散らかった研究室
  時刻 01:00
  卒論提出まで
  あと11時間
ポニテ先輩(2週間前の下書きは 見つけたけど)
ポニテ先輩(厳しいな ホントにギリギリだったんだ)
ポニテ先輩「でも・・」
  チラッ
Y崎くん「うおおお!」
  ガタガタッ
  ッターン!
  ・・ッターン!
  ・・・ッタ───ン!!
ポニテ先輩「──凄い集中力! 特にエンターキーへの圧が強いッ!」
ポニテ先輩「・・あれ私が貸したPCだけど」
ポニテ先輩「ま、いっか!」

〇散らかった研究室
  時刻 03:00
  卒論提出まで
  あと9時間
Y崎くん「ふひ、ふへへ」
ポニテ先輩「手が止まってるよ?」
Y崎くん「先輩!僕は元気ですよ! 元気・・」
Y崎くん「うっ、う゛ぅ〜」
ポニテ先輩「うん、キツいよね」
ポニテ先輩「そんな君に差し入れだ」
Y崎くん「なんすかコレ」
ポニテ先輩「赤の雄牛(中ジョッキ)」
ポニテ先輩「英訳したらわかるかも!」
Y崎くん「えーっと・・ 赤はレッドで、雄牛はブル?」
Y崎くん「それエナジードリ」
ポニテ先輩「さ、飲んで」
ポニテ先輩「飛べるよ」
Y崎くん「いえ結構で・・ うわああ!」

〇散らかった研究室
  時刻 05:00
  卒論提出まで
  あと7時間
Y崎くん「全然眠くない!カフェイン最高!」
Y崎くん「この全能感!フウウゥ!」
ポニテ先輩(あちゃー効きすぎたか)

〇散らかった研究室
  時刻 09:00
  卒論提出まで
  あと3時間
Y崎くん「OSの更新が! PC動きません!」
ポニテ先輩「貸して!」
  時刻 11:00
  卒論提出まで
  あと1時間
Y崎くん「プリンタのインク切れました!」
ポニテ先輩「隣の研究室に話つけた! そっちで印刷するよ!」
Y崎くん「はひぃ!」
  時刻 11:55
  卒論提出まで
  あと5分
Y崎くん「もう時間がぁ!」
ポニテ先輩「グチャグチャでも出す!」
ポニテ先輩「・・書類不備で後日修正できるかもだし」
Y崎くん「そんな裏技が!?︎」

〇桜並木
  時刻 12:00
  卒論提出から
  ──1カ月後
ポニテ先輩「もう春か」
「先輩!」
Y崎くん「お久しぶりです!」
ポニテ先輩「キミか 卒業式終わった?」
Y崎くん「それなんですが・・先輩!」
Y崎くん「折り入って伝えたいことが!」
ポニテ先輩「なんだい改まって・・緊張しちゃうな」
ポニテ先輩(どうしよ この熱い視線、まさか)
Y崎くん「実はですね」
Y崎くん「えっと・・」
Y崎くん「非常に言いにくいのですが」
ポニテ先輩(なんか様子が・・?)
ポニテ先輩「あっ!?」
ポニテ先輩「キミ・・卒業証書は?」
Y崎くん「あ、えーっとですね」
Y崎くん「お陰様で卒論は提出できたのですが」
Y崎くん「その・・単位が・・」

〇散らかった研究室
  時刻 22:00
  卒論提出から
  14時間前
ポニテ先輩「それにキミ 就活長かったよね?」
Y崎くん「はい! 2年の時から始めたので」
Y崎くん「単位も何個か落としました!」

〇桜並木
  ──現在
ポニテ先輩「うん」
ポニテ先輩「もう知らん」
ポニテ先輩「頑張れ!」
Y崎くん「先輩! 待ってください!」
「見捨てないでぇ〜!」
  時刻 12:00
  卒論提出まで
  ──あと+1年

コメント

  • フルコースを美味しく頂くために未収を総ざらいするためにやって来ました。卒論がない学科でしたし、データはマメにクラウド保存派なのでここまでやられることはありませんでした。が、同期の悲鳴は聞いたことがありますので卒業のかかったデータとなればその悲劇はかなりのものだと思いました。微妙に恋愛に至らない二人も楽しいですね。

  • 卒論も大事だけど単位もね✨
    ってオチを某所で先に読んだ私ですが
    卒論完成までの鬼気迫る表情の変化すごい!
    私もこの先何かの機会(?)で単位と卒論が必要な時には気を付けたいと思いました。

  • 僕は学生時代何とか留年とかは回避しましたね。両親に言わせれば「お情けで単位をくれたんだしお前を追い出したかった」とのことです。

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