偽りのトリアーダ

草加奈呼

ex.2 テオドールとゴンドル族の闇 2(脚本)

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〇ラブホテルの部屋
テオドール「パウラは、 この店が非合法だってことは・・・」
パウラ「・・・知ってる」
テオドール「俺なら、この店を訴えられるよ」
テオドール「そうしたら、 君は無理にここで働かなくて済む」
パウラ「やめて!」
パウラ「わかってて、ここにいるの」
パウラ「ここを出たら、 行くところがなくなっちゃうの・・・」
テオドール「そうか・・・」
テオドール「つらいね」
パウラ「やめて・・・同情しないで」
  ぎゅっ
テオドール「パウラは、強いね」
「強くなんかない・・・」
「心を、殺しているだけ・・・」
テオドール「他のゴンドル族たちも、パウラのように 仕方なくここにいるの?」
パウラ「そんなことない。 好きでここにいる人もいる」
パウラ「でも、ゴンドル族は職業を 選べないから・・・」
テオドール(なるほど)
テオドール(そっちの人の声も聞いてみたいけど)
テオドール(さすがに、初日からチェンジは まずいかな・・・)
テオドール「パウラ」
  ぐいっ
パウラ(ちから、つよ・・・)
テオドール「楽しませてくれる?」
パウラ「・・・・・・」
パウラ「まかせて・・・」

〇大学
  翌日
アーベル「テオー、昨日、どうだった?」
テオドール「ああ、あれね! とても有意義な話が聞けたよ!」
アーベル「話?」
テオドール「なんで? 話を聞きに行くって 行ったじゃない」
アーベル「おまえっ・・・! まさか、 本当に話を聞きに行っただけ!?」
テオドール「そうだけど?」
アーベル「聖人君子かよ・・・」
アーベル「そうだ、ゴンドル族! ゴンドル族のおねーちゃんはいたのか!?」
テオドール「アーベル、声が大きいよ」
アーベル「ああ、わりぃ・・・」
テオドール「いたんだけど、 あまり公になってないみたい」
アーベル「そうか・・・まあ、俺もゴンドル族って 実際見たことないもんな」
テオドール(俺も、姉さん以外で見たのは 初めてだよ・・・)
テオドール(もっと、話を聞きたいな・・・)

〇ラブホテルの部屋
  その夜──
ゴンドル族の女性「ご指名ありがとうございまーす」
テオドール「よろしく、俺はテオドール」
ゴンドル族の女性「よろしく〜」
ゴンドル族の女性「やだ、お兄さん、めっちゃ若いじゃん!」
ゴンドル族の女性「モテそうなのに、なんでこんなトコ 来てんの?」
テオドール「その話、必要?」
ゴンドル族の女性「ううん、別に。 言いたくなかったらいいよ〜」
テオドール「君は、好きでここで働いてるの?」
ゴンドル族の女性「別に、好きってわけでもないけど〜」
ゴンドル族の女性「もっと割りのいい仕事があれば、 そっちで働きたいよ」
ゴンドル族の女性「でも、ゴンドル族は職業選べないし〜」
ゴンドル族の女性「ほんと、そこんところ、 なんとかしてほしいよね〜!」
テオドール「なるほど・・・」
ゴンドル族の女性「って、これじゃあ、あたしが愚痴聞いて もらってるみたいじゃん」
ゴンドル族の女性「お兄さんは? 何かないの?」
ゴンドル族の女性「ここは、あたしたちがお客さんを 癒す場所だからね♪」
テオドール「んー、特にないかな・・・」
テオドール「ところで、チェンジってできる?」
ゴンドル族の女性「ちょ、ちょっと待ってよ!」
ゴンドル族の女性「あたしじゃダメってこと!?」
テオドール「そういうわけじゃないんだけど・・・」
テオドール(全員相手してると 財布がピンチなんだよな〜)
ゴンドル族の女性「まあ、別にルール違反じゃないから いいけど!?」
ゴンドル族の女性「ふんっ!」
テオドール「怒らせちゃった・・・」
テオドール「まあ、いいけどね」
ゴンドル族の女性「ご指名、ありがとうございます」
テオドール「よろしく〜」
  数十分後──
テオドール「ありがとう、 とても有意義な話が聞けたよ」
ゴンドル族の女性「そう? よかったわ」
ゴンドル族の女性(何、このお客さん・・・?)
テオドール「チェンジしてもらえる?」
ゴンドル族の女性「はあっ!?」
ゴンドル族の女性「お客さん・・・私、お客さんを満足させられる自信、あるんだけどな・・・」
テオドール「もう、充分満足したよ」
ゴンドル族の女性「本当にチェンジしちゃうの?」
テオドール「ごめんね。 みんなから話を聞きたいんだ」
ゴンドル族の女性(本当に何しに来たの、この人・・・?)
テオドール「さて、次は・・・」
ゴンドル族の女性「ご指名、ありがとうございます」
テオドール「よろしくー」
  数十分後──
テオドール「ありがとう、とても参考になったよ」
ゴンドル族の女性「どういたしまして」
ゴンドル族の女性(さっきの子に聞いたけど、 本当に変な人・・・)
テオドール「じゃあ、チェンジしてもらえる?」
ゴンドル族の女性「ちょっと、 さっきからなんなのお客さん!」
ゴンドル族の女性「支配人呼んできます!!」
テオドール(ちょっと、やりすぎたか・・・)
支配人「お客様、うちの者たちに、 何か問題でもありましたでしょうか?」
テオドール「あー、そういうわけじゃ ないんだけどね」
支配人「当店では、チェンジは2回までと なっております」
支配人「VIPとはいえ、これ以上されると、 入店をお断りするしか・・・」
テオドール「わかったよ。今日は諦めるね」
支配人(本当に、変な客だ・・・)

〇店の休憩室
パウラ(今日のお客さん、 常連になってくれそう・・・)
パウラ(もっともっと指名を増やして、 お金貯めなきゃ・・・)
ゴンドル族の女性「ほんっと、なんなのあのテオって客!」
ゴンドル族の女性「あたしをチェンジするなんて、 信じられない!」
パウラ(テオ・・・? テオが来ていたの?)
ゴンドル族の女性「あんたもやられたの? 実は、私も・・・」
ゴンドル族の女性「私もチェンジされた!」
ゴンドル族の女性「ねえ、そういえば、パウラも昨日、 あいつに指名されてたよね?」
パウラ「えっ、う、うん・・・」
ゴンドル族の女性「パウラも、チェンジされたんでしょ?」
パウラ「そ、そうだね・・・」
ゴンドル族の女性「あーっ、ほんと腹立つー!」
パウラ「・・・・・・」
パウラ(私だけ、相手してくれた・・・?)
パウラ(また来てくれないかな・・・?)

〇ラブホテルの部屋
パウラ(テオ・・・ もう、来てくれないのかな・・・?)
男「ちょっと、お姉さん ボーッとしてないでよ!」
パウラ「あっ、ご、ごめんなさい!」
パウラ(ちゃんと、仕事しなきゃ!)
男「それとも、わざとそうやって 気を引くのが趣味なのかな?」
パウラ(今日のお客さん、めんどくさい!)

〇大学
テオドール(うーん、だいたい情報は たまったかな・・・)
テオドール(あとは、 これをレポートにしていこう・・・)
ライナー「テオ、レポートどうなった?」
テオドール「ああ、情報は集まったから、 あとはまとめていくだけかな」
ライナー「はや!? 一体、どうやって!?」
テオドール「ひみつ♡」
  会いたい
テオドール(パウラ・・・営業メールか・・・)
ライナー「誰? アーベル?」

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次のエピソード:ex.3 テオドールとゴンドル族の闇 3

コメント

  • やはり、一度根付いた性癖は簡単には戻りにくいものなんでしょうね。誰か闇に向かい出してるテオを止めてあげてー😫

  • テオ君、、安定の歪みっぷりですね。。。そして、そんな歪みを自身で認識し認容していている様が恐ろしくもあり、その一方で愛おしくも思えてしまいますね!

  • テオくん病んでますな…。姉さんプレイしたらさすがに女の子は引きますよね。イケメンは何をやっても許されるのかもしれませんが…。
    執着した相手にしか破壊衝動が出ないとするとテオに優しくされると愛されていないわけで、彼を好きになった女性は幸せになれないですねぇ。

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