ありふれた日常と非日常

ネルネル

出会い(脚本)

ありふれた日常と非日常

ネルネル

今すぐ読む

ありふれた日常と非日常
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇森の中の小屋
  中央から遠く離れた惑星アンシャンテにある街“エアートボーデン地区”
  エアートボーデン地区でも街から外れた小屋の一室

〇アジトの一室
  1人はマフィアで、もう1人は管轄局支部の人間だ。マフィアは管轄職員にニヤニヤしながら言った
マフィア「モルトの旦那・・・・・・あんたの事は“全部”調べさせて貰いましたよ」
モルト・フォルニス「・・・・・・ほう」
  マフィアの言葉に酒を飲みながら一瞬面白そうに笑うモルト。マフィアは話を続けた
マフィア「あんたはかなりの怠け者やな・・・・・・それも筋金入りの」
マフィア「面倒な事務処理、調べものは殆ど部下任せ。近所の喫茶店に行きゃ管轄局の名でサンドイッチとコーヒーをただ」
モルト・フォルニス「前はデザートもついてたんだぜ」
マフィア「世知辛いですね。独身なんですって?」
モルト・フォルニス「だったら何だ?」
マフィア「帰っても何にもする事ねぇから」
モルト・フォルニス「余計なお世話だ」
  苦笑いするモルト
モルト・フォルニス「今は大人しく帰ってるぜ・・・・・・金もないからな」
マフィア「金を持たなきゃ身が持たねぇ・・・ってか」
  モルトの言葉を聞いた瞬間マフィアの目が真剣になる。そして箱の布を取り蓋を開けた。中には札束がぎっしりと入っていた。
マフィア「好きなだけ、持って行ってもらっても宜しいんですよ」
モルト・フォルニス「・・・・・・そいつはありがてぇ」
  手を伸ばしながら言うモルト。掴みかけた瞬間止めに入るマフィア。
マフィア「但しわしらのシマだけでいいです。これから何が起ころうと見ざる・聞かざる・言わざるで宜しくお願いしたいんですわ」
モルト・フォルニス「マフィアと管轄局が裏で手を結べと?」
マフィア「これからは表と裏“もっと”仲良く行きましょうや」
  モルトは口角をゆっくりと上げ
モルト・フォルニス「・・・・フッフフフ・・・・ハーハハハハ」
マフィア「ハッハッハッハッハ!」
  同時に笑う2人
モルト・フォルニス「で、其れだけか?」
マフィア「何がですか?」
  モルトの問いに不思議そうに聞くマフィア
モルト・フォルニス「この俺の裏の顔だよ。本当に其れだけなのか?」
マフィア「他に何か有るんですか?」
  興味津々に聞いてくるマフィアに
モルト・フォルニス「なぁ、バラスの親分」
  質問には答えず胸ポケットから硬貨を取りだし
モルト・フォルニス「これで、何が買えると思う?」
  バラスに向けて硬貨を机の上で滑らして渡すモルト。受け取ったバラスは鼻で笑いながら
バラス・ワールイモン「ハッ、こんなもので何が・・・・・・?」
  とモルトの方に指で弾いた。弾かれた硬貨を顔の辺りで受けとると一瞬目を瞑る。すると今までの笑みを消し

〇アジトの一室
モルト・フォルニス「それはな・・・・・・てめぇの命だよ」
  同時に部屋の電気が消えた。驚いたバラスは自分の獲物を取り出そうとした。
  それより速くモルトは両手に手袋型魔法具を装着して左手でバラスの手首を押さえた。
  右手をバラスの胸元に押し当て一瞬にバラスの心臓を握りつぶした。
バラス・ワールイモン「がっ・・・・・・あっ・・・・・・・・・」
  目を見開き声にならない声を出すバラス。バラスの懐から素早くある物を取り出した。
  そして驚愕の表情のまま机の上に倒れるバラスを残し立ち去るモルトである。

〇けもの道
  ある森の入り口に見た目10才位の女の子が2人居た。1人は岩に腰掛け俯きもう1人は地面に絵を書いている。
モルト・フォルニス「全て終わったぞ」
女の子「・・・・・・えっ?」
  俯いている女の子に声を掛けると顔を上げる女の子。モルトは女の子に櫛のかんざしと腕時計を見せた。
女の子「これ・・・・お父さんとお母さんの」
モルト・フォルニス「今頃は、あの世で父親と母親に謝ってる頃だ」
  櫛のかんざしと腕時計を渡され胸元で抱きしめる。モルトの話を聞きほっとした顔で見上げる女の子
女の子「ありがとうございます、ありがとうございます」
モルト・フォルニス「礼はいらねぇよ。それよりその子は誰だ?」
  後ろで地面に絵を書いている女の子を指さして聞くモルト
女の子「あっ、えっとあの子も両親がいなくて一緒に暮らしているの」
モルト・フォルニス「そうか。じゃ、これも持って行きな。奴の金で嫌かも知れないが金は金だ」
モルト・フォルニス「そいつで隣街のオレガって奴がしている孤児院に一緒に行くんだな。言っとくがこの街の孤児院には行くな。売り渡されて終わりだ」
モルト・フォルニス「一緒に付いて行ってやりたいが色々と難しくてな。これに服が入っているから着替えてから行きな」
  封筒と服が入っている紙袋を女の子に渡すと封筒は内ポケットに入れ、紙袋の中身を見ながら説明を聞き頷いている。
女の子「あの、ありがとうございます。私達は大丈夫だから・・・・・・もう行きます」
モルト・フォルニス「ああ、気をつけてな。分かっていると思うが街の移動は明るくなってからしろよ」
  女の子は何度も頭を下げ地面に絵を書いていた女の子の手を引いて森の中に消えて行った。

〇アジトの一室
  翌日、バラスが殺された現場に来ているモルトと部下のシャルム
シャルム・ゼーケン「心臓を一握りですよ」
モルト・フォルニス「そうだな」
  バラスの死体を確認する2人
シャルム・ゼーケン「箱に入ったお金は“減った”様子がないので取らなかったんでしょうか?」
モルト・フォルニス「そうだな・・・・・・どっちでもいいけどな」
シャルム・ゼーケン「モルトさんもっと真面目にして下さいよ」
モルト・フォルニス「してるだろ・・・・・・お前が」
シャルム・ゼーケン「私じゃなくてモルトさんです!」
  面倒くさそうにしているモルトに困ったように怒るシャルム
モルト・フォルニス「こいつはマフィアだしな。大方怨みで殺されたんだろ。物取りでは無さそうだし」
シャルム・ゼーケン「それは、そうかもしれませんが」
モルト・フォルニス「と、言う事で後宜しく~」
シャルム・ゼーケン「えっ?あっ、ちょ・・・モルトさん?!」
  背を向け、ひらひらと手を振りながら部屋を出てシャルムに押し付けるモルトである

〇街中の階段
  其から数日たったある日モルトは女の子に呼び止められた
女の子「あ・・・あの、その・・・すみません」
モルト・フォルニス「ん?・・・ああ、この前あの子と一緒に居たやつか?」
  呼ばれて女の子を見た。一瞬考えるもすぐに思い出し確認すると首を縦に振る女の子
モルト・フォルニス「こざっぱりとして良かったな。今日は1人か?」
  モルトの問いには答えずおずおずと手を摑む女の子。もう片方の手で森の方を指さして固まってしまった。
モルト・フォルニス「やれやれ。分かった、案内してくれ」
  女の子は驚いた表情になるも頷くとモルトを森のある場所に案内した。

〇睡蓮の花園
  案内された所には2つの小さな墓と眠る様に死んでいるあの女の子が居た
  そして無言で連れてきた女の子がぽつぽつと話し始めた
女の子「あの後、まず服を着替えようって一緒に居た家に帰りました」
女の子「それで帰って服を着替えました。着替えた後、明るくなったら一緒に隣街の孤児院に行く話しをしました」
女の子「話し終わって一緒に眠りました。でも私が目を覚ました時は、もう居なくなってお金と服と手紙が置いてありました」
女の子「手紙にはやっぱり両親と一緒に居たい、ごめんなさいと、書かれていました」
女の子「でも、何となくこうなると思ってたからあまり驚きませんでした。1度お墓に来た事もあったので場所も分かりました」
女の子「ですが、いざ見つけたらどうしていいか分からなくて・・・それで・・・その」
モルト・フォルニス「そうか、もう大丈夫だ」
  話しを聞き終えたモルトは女の子の頭を撫でた。一瞬驚くが安心した表情になる女の子
モルト・フォルニス「じゃ、この子の墓を作ろうか。っても、埋める位しか出来ないがな。その間に供える花を探してくれ」
  頷いて花を探しに行く女の子。その間に両親の横に埋めて簡易な墓を作った。そして見つけて来た花を3つ置き手を合わせる2人
女の子「"ありがとう"」
  声が聞こえて目を明けて真正面を見るモルト。そこには誰も居ない。立ち上がりながら
モルト・フォルニス「それで、お前はこれからどうするんだ?」
  横に居る女の子に聞くモルト。少しの間考え
女の子「1人で、孤児院に行くのは怖いので、一緒に生活したいです。何でもお手伝いするのでお願いします」
  上目遣いに見てくる女の子の姿がある人物と一瞬重なり、驚くモルト。そして
モルト・フォルニス「分かった。何時までか分からないが一緒に居るか。俺はモルト、お前の名前は?」
ルシア(ルシアン)「ありがとうございます。私は、ルシアン、ルシアで良いです」
モルト・フォルニス「ああ、宜しくなルシア。帰るか」
  帰路につく2人であった

〇事務所
  その頃、管轄局支部では
シャルム・ゼーケン「モルトさ~ん、何処に行ったのですか~」
  泣きながら山積み書類をさばくシャルムの姿があった。

コメント

  • モルトは大切な人を殺された人の復讐を請け負う必殺仕事人なんですね。あの子は復讐を果たせたのに死んでしまうなんて。残されたルシアとの生活がどんな感じになるのか、これから楽しみです。

  • 優しいですねぇ、モルトさん。
    それに芯があるというか、貫き通す志があるようにも感じます。こんな男性はとても魅力的ですよね!

成分キーワード

ページTOPへ