不燃神~フネンガミ~

山本律磨

降臨(1)(脚本)

不燃神~フネンガミ~

山本律磨

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〇祈祷場
  ネズミ
  まあ、ネズミはさておき
  その神社の本殿にはいつ描かれたやも分からぬ掛け軸があった
  鎧を纏い鬼を踏みつけた天部の姿
  侘しい事に、その掛け軸こそがこの神社の御神体である
  さらに驚くべき事に、仏に踏みつけられし小鬼こそが本尊である
  その鬼の名を・・・

〇古びた神社
  そして幾ばくかの時が流れた
「放せ―――――――――――――――!!!」
ハンザキ「放せ!手をはなせ―ッ!」
ハンザキ「さわるなー!俺に触るんじゃね―ッ!」
西川「こっちだって誰が好き好んでアンタなんか触るかよ」
東山「おとなしくしろジジイ!」
ハンザキ「うんがあああッ!」
西川「あひゃああ~ッ!」
東山「謎の衝撃波~ッ!」
龍田「おいおい。遊んでる場合かいや」
東山「いや。地味な青年団のお仕事に、ちょっとばかりのエンターテイメント感をですね」
龍田「そんなもんいらんぜよ。真面目に取り押さえんか」
「だってさ。ジーサン」
ハンザキ「誰が爺さんだ。こう見えてまだ50だぞ」
龍田「全く50にもなって何をやってるぜよ」
ハンザキ「40過ぎて髪を後ろで縛る男に言われたくない」
龍田「破れた傘」
龍田「ひび割れたポット」
龍田「電気を通さない家電」
龍田「あと、意味不明な物体」
龍田「意味不明な着ぐるみ」
龍田「などなど」
龍田「のう半崎さんよ。ワシらはただこの神社のゴミを片付けたいだけぜよ」
龍田「アンタが集めたガラクタをのう」
ハンザキ「ガラクタだと?」
ハンザキ「これは全部俺の財産だ!指一本触れんじゃねえぞ!」
ハンザキ「特にこの白ムックにはな」
龍田「白ムックって言うのかそれ・・・」
龍田「ええい面倒くさいの!おんしら、白ムックごと片付けるぜや!」
「う~い」
ハンザキ「おい触るな!近寄るな!帰れヤングマン!」
西川「おい危ねえだろ!」
東山「目に当たる目に当たる目に当たる!」

〇古びた神社
わかまつさやか「大変です!青年団の方達に対して興奮した家主が傘を振り回し威嚇しています!非常に危険な状況です!」
ハンザキ「家主っていうなあああッ!」
剣持「はいはーい。どいてどいてー」
ハンザキ「なんだあ!?」
剣持「ちょっとごめんなさいねー。こっちの女性に話があるんでねー」
ハンザキ「・・・」
剣持「え?テレビ?」
わかまつさやか「はい。どすこいテレビの取材です」
剣持「どすこいテレビだと~?」
剣持「夕方やってるアレか!」
剣持「プレゼントの葉書ちっとも引いてくれないアレか!」
剣持「視聴者クイズコーナーの電話、全然繋がらないアレか!」
わかまつさやか「なんだかんだで御視聴頂きありがとうございます」
わかまつさやか「そちらは役場の方ですか?」
剣持「これ生放送?」
わかまつさやか「いえ、来週の放送になります」
剣持「じゃあもう終わりにして」
わかまつさやか「家主による神社のゴミ放置問題に対し役場はどのような対応を・・・」
ハンザキ「家主と言うな。地主だ地主」
剣持「とにかく今は帰って下さい!見世物じゃないんですから!」

〇黒
「はいはい撤収撤収お疲れ様~」
「とっとと引き下がらないとマスコミの横暴をネットで晒しちゃうぞ~」
「税金使ってな!」

〇古びた神社
剣持「さてと」
剣持「どーも役場ですよー。お話し伺いますよー」
ハンザキ「おい聞いてくれ」
剣持「あなた面倒臭いんで後回しね」
ハンザキ「なんだと?」
剣持「ハイ整理券」
ハンザキ「2番って・・・」
龍田「じゃあ、こっちのいい分から聞いてもらうぜよ。我々青年団としてはだな・・・」
剣持「あの地主に強引な手段なんて効くわけないでしょう。余計意固地になるだけです」
龍田「すぐに話の腰を折るな!」
龍田「話し合いに応じないなら力ずくで撤去するしかないぜよ。相手は中高年の皮を被った変質者じゃけんのう」
「おい聞こえてるぞ~!」
剣持「では2番の方どうぞ~」
剣持「皮かぶりの変質者の方~」
ハンザキ「言い方!」
剣持「そう呼ばれても仕方がない行為をしているってことです。ゴミを漁ってきては神社に放置するなんて常軌を逸してます」
ハンザキ「ここは俺の土地だ。自分の土地をどうしようと俺の勝手だと何度も言っている!」
剣持「だから役場でお話しを聞きますと、何度も何度も言っています!」
ハンザキ「だから一歩も譲らんと何度も何度も何度も」
龍田「チッ。罰当たりにもほどがあるぜよ」
ハンザキ「お前達に罰だなんだと言う資格などない」
龍田「ああん?」
ハンザキ「ああん?」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ン?」
剣持「落ち着け!男の更年期ども!」
剣持「確かにここは半崎さんの土地です」
ハンザキ「おう」
剣持「半崎さんの御先祖様が財をはたいて建てた神社でもあります」
ハンザキ「そうだ」

〇祈祷場
剣持「ですが。ここに祀られている神様が、この現状を喜んでいるはずありませんよ」
剣持「あなたが村の人達と折合いが悪いことに、ここの神様を巻き込んではいけないのです」
剣持「神様はきっと悲しんでおられます」
剣持「さあ、悔い改めるのです」
剣持「偉大なる、この神社の神様の為に」
剣持「あああ~神様ああ~」
ハンザキ「何神様だ?」
剣持「え?」

〇古びた神社
ハンザキ「さっきからアンタが連呼する、ここに祀られた偉大なる神様とやらの名前だ」
剣持「えっと・・・」
ハンザキ「そっちでもいいぞ。青年団の団長様だろ。勿論それくらい知ってるよな」
龍田「団長?」
龍田「ボクですか?」
ハンザキ「いきなりシラを切りはじめるんじゃねーよ」
ハンザキ「さあ答えろ。大事な大事な村の神様の名前だろ?」
「はっはっはっは!」
「はっはっはっは!」
「はっはっはっは・・・」
ハンザキ「悪いがどこ探しても書いてねーからな」
「くそ。ひっかけ問題か」
ハンザキ「ひっかけてねえよ!どけ!」
ハンザキ「自分の名前も知らねえ、日頃興味もねえ、そんな連中に罰だの悲しんでるだのと代弁なんぞしてもらいたくないですよね~!」
ハンザキ「天探女(アメノサグメ)様」

〇空
ハンザキ「おうおう。曇ってきた曇ってきた」
ハンザキ「激しく同意、されておられるぜ~」

〇古びた神社
ハンザキ「そーれ。暗くなって来たから電飾だ」
ハンザキ「こういうのもあるぞ!ひゃははは!」
ハンザキ「おっと、こいつはまだ動くぜ」
ハンザキ「さあ、BGMスタートだ!」
ハンザキ「ひゃははは!いいねえ賑やかで!」
龍田「おんしゃあ!ええ加減にせえ!」
剣持「悪ふざけにも程があります!」
ハンザキ「薄情な村人に変わってこの俺が地主としてド派手に飾り付けてやってんだろうが」
剣持「やむおえませんね。羽々矢村役場なんでもやる課課長代理上席補佐剣持奈美恵(絶賛婚活中)がゴミの撤去を許可します」
剣持「やっておしまい!」
「アリャコリャホイサー!」

〇芸術
「ええかおんしら!全部運び出すぜよ!」
「やめろ!勝手に触るな!泥棒!」
「泥棒って・・・」
「お国が許可します。運び出して構いません」
「政府の横暴だ!独裁だ!ファシズムだ!」
「コラ~!若い奴動け~!」
「へいへ~い・・・っと」
「腰いて~」
「あ、白ムック貰っていいっすか?」
「ええぜよ~♪」
「返せ~!俺のムック~!」

〇古びた神社
ハンザキ「罰当たりはお前らだ!神様はお怒りだぞ!」
「はいはいそうですね~」
ハンザキ「・・・!」
「・・・!」

〇白
「きゃあああああああああああああああああ」

〇古びた神社
MEGU「あああああああああああああああああッ!」
MEGU「かみなりいいいいい!こわいいいいい!」
剣持「・・・」
剣持「・・・だ、誰?」
ハンザキ「・・・」
ハンザキ「か、神様だ」
ハンザキ「神様のお怒りだーーーーーーーーー!」
ハンザキ「・・・」
剣持「・・・」
剣持「・・・そうなの?」
ハンザキ「と、とりあえず怒ってくれ」
MEGU「・・・」
MEGU「こ、コラ―!」
MEGU「・・・」
「・・・」

〇古びた神社
  女神 is 天探女
  地主、半崎善三

〇役所のオフィス
  なんでもやる課、剣持奈美恵
  神主、御厨春道

〇田舎町の通り
  JK、吉井環
  その弟、勝

〇たこ焼き屋の店内
  青年団団員、東山と西川

〇田舎道
  青年団団長、龍田

〇山間の集落
  謎の男、犬塚伝七
  謎の男その2、猫上一也

〇祈祷場
  ・・・and
  ネズミ
  不燃神~フネンガミ~

次のエピソード:降臨 (2)

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