聖女なのに火あぶりにされそうです

マチバリ

聖女ユキは火あぶり寸前(脚本)

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〇綺麗な教会
ユキ(ああ、なんでこんなことになったのか)
  平凡な日本人だったユキはこの世界に転生していた
  この世界は衛生観念や基礎的な医療知識が殆ど発展していなかった
  だからユキはほんの親切心からそれを人々に教えた
  聖女様~!!
  いつのころからか人々にそう呼ばれるようになっていた
  教会から使者が来て本当に聖女として祭り上げられたときは少し焦ったが
  聖女様と周囲から持ち上げられることそのものは居心地良く
  うっかり聖女としての日々をユキは享受していた
  だが──
司祭「聖女ユキ! いや魔女ユキめ! よくも我々を騙したな!」
ユキ「司祭さま! どうしてですか!?」
司祭「うるさい!」
ユキ(昨日までは聖女様~って媚びていたくせに!)
司祭「今から貴様を火あぶりにしてやる!」
ユキ「いやだぁぁぁ」
  泣きながら暴れるが十字架にしっかりと固定されており逃げることはできない
  足元にはさっきからせっせと薪が運ばれている
  もう燃やされるしかない
  そう諦めかけたときだった──
  その処刑! 待て!
  突然響き渡った声に場の空気が凍る
ヒカル「俺の許可もなくいったい何の騒ぎだ」
司祭「国王陛下!?」
ユキ「国王!?」
ユキ(この若いイケメンが?)
  ユキは噂を思い出す
  数年前に王位を継いだ国王ヒカル
  その手腕はすさまじく周辺諸国もどんどんと傘下に収めているとか
ユキ(なんでその国王がここに?)
ヒカル「その者はこの国を救った聖女であろう」
ヒカル「何故火あぶりにする」
司祭「そ、それがですね・・・・・・」

〇城の客室
ユキ「あーーー聖女だなんてめんどくせぇぇ」
  自室に戻ったユキはベッドの上に大の字で寝ころぶ
  聖女の服がまくれ上がり足が露わになるが気にする様子もない
ユキ「くそう・・・・・・せっかく異世界転生したってのに・・・・・・なんで女の子なんだよ」
  そう、実はユキの前世は男だったのだ
ユキ「普通なら超イケメンのチート美形に転生してウハウハするもんだろ」
  確かに立場や見た目は恵まれたが性別が違うだなんて詐欺だ
  可愛い女の子がいてもナニもできない
ユキ「くう」
  切なげにないたユキはせめてもの楽しみだとこっそり仕入れたお酒を取り出す
ユキ「これくらい飲まなきゃやってられないよなぁ」
ナタリア「あっ、聖女様! いけませんよ」
ユキ「おっ! ナタリアちゃんじゃん! こっち来て一緒飲もうよ」
ナタリア「聖女様ったらぁ」
  修道女のナタリアはユキの性癖・・・・・・もとい本性に気が付いているらしく
  けっこうノリノリで相手をしてくれている子だ
  ユキはナタリアと共にベッドで酒を飲み明かしそのまま朝を迎えてしまった
  翌日、司祭をはじめとした教会の重鎮たちが視察に来ることなどすっかり忘れて──

〇綺麗な教会
司祭「こやつは聖女にありながら酒におぼれ修道女と淫らな行為にふけったのです!」
ユキ「なんもしてねぇもん!」
  そうナニもしていない
  ただちょっと裸になって一緒に眠っただけだ
司祭「うるさい! 以前から妙な言動が多いとはおもっていたが」
司祭「まさか中身が魔女だったとはな」
ユキ「うえぇぇん! 冤罪だぁ!」
  悲しげに泣き声をあげても司祭の怒りは収まる様子はない
  なおナタリアちゃんは「聖女様が・・・・・・」と泣いて逃げたらしい
  ずるい!卑怯だ!
ヒカル「なんだ。たったそれだけのことで聖女を火あぶりにするのか」
司祭「それだけですと!?」
司祭「聖女は貞淑くかつ清廉であるべき存在ですぞ」
ヒカル「ならばお前はどうなのだ」
司祭「は・・・・・・?」
ユキ(ん・・・・・・?なんか風向きが?)
  国王ヒカルに睨まれ司祭の動きが止まる
ヒカル「調べたところここ数年、お前は教会の資金を使い込んだ挙句」
ヒカル「街の娼館に出入りしているそうではないか」
司祭「な、何故それを」
  真っ青になってがくがくと震えだした司祭に国王が詰め寄る
ヒカル「自分を棚に上げて聖女を火あぶりとは・・・・・・まずはお前が火あぶりになるべきであろう!!」
司祭「ひぇぇぇ! お許しください~~!!」
ユキ(もしかして、助かった・・・・・・?)

〇謁見の間
  司祭の罪が明らかになったことによりユキは無罪放免になった
  しかし騒ぎを起こしたことは事実なので
  教会に戻ることはできず国王の元に身を寄せることになった
ユキ「この度は命を救っていただきありがとうございます」
ヒカル「まあ気にするなって」
ユキ(やけに馴れ馴れしいな・・・・・・?)
ヒカル「・・・・・・」
ユキ「・・・・・・」
ヒカル「なんだ、まだわからないのか」
ユキ「何がですか・・・・・・?」
ヒカル「はぁ・・・・・・相変わらずだな「にぶちん雪」め!」
ユキ「え!? なんでその呼び方・・・まさか──!!」
  「にぶちん雪」
  それは前世での雪のアダ名だった
ユキ「ヒカル・・・・・・お前、光(ひかる)なのか!?」
ヒカル「気が付くのがおせぇよ!」
  国王ヒカルの顔に前世での友人である光の顔が重なる
  朝までゲームをしたりラノベを読んだりと語り明かした心の友
ユキ「うおおおヒカル~~!!」
  ヒカルもユキ同様にこの世界に転生していたのだ
  しかも王族に
  前世の知識を活用し国王になったヒカルは聖女ユキの話を聞き同じ転生者ではないかと考えたそうだ
ユキ「でもよく俺だってわかったな」
ヒカル「そりゃあ、俺がお前を見間違えるわけがないだろう?」
ユキ(ん・・・・・・? なんかやけに近くないか?)
ヒカル「まさかお前が女になってただなんてな。俺はラッキーだ」
ユキ「へ!?」
ヒカル「仲良くやっていこうぜ、聖女ユキ」
ユキ(なんかめっちゃ嫌な予感がするんだけど・・・?)
  その数年後
  国王ヒカルは聖女ユキを王妃に迎え国を繁栄に導いていくことになる──

コメント

  • 転生先で前世の知識をフルに活用して成功するところが面白いですね。親友の二人はこれからどうなるのだろうか?私も転生先で成功したい。

  • 転生ものかな?と思って読みましたが、なんと!性別が違ってたんですね!笑
    最後はハッピーエンドになった?かもしれません。
    先が気になってぐいぐい読めました!

  • タイトルにぐっと興味を引き付けられました。まさかの、展開でしたね(笑)ストーリーが楽しくて最後まで集中して一気に読ませて頂きました。

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