がんばらなくていいよ(脚本)
〇ビルの裏
ミャオミャオ「ねー、きみ」
ミャオミャオ「どうしたのー?」
ミャオミャオ「ははーん、さては寒くてお腹がポンポンペインになっちゃったってヤツでしょ?」
違う、と首を振った。
ミャオミャオ「んんー?」
ミャオミャオ「お! お腹が空きすぎて動けなくなった! だね?」
ミャオミャオ「じゃじゃーん! あったかい特製肉まん!! ほい、おひとつどうぞ♪」
あなた「・・・」
ミャオミャオ「冷たくなる前にどうぞお食べ♪ ほらほら、早く!」
ミャオミャオ「はふ、ほふッ!」
ミャオミャオ「どうして声を掛けたのって?」
ミャオミャオ「んー? 理由付けなんているぅ? なんか辛そうな顔してたから、かな?」
ミャオミャオ「今日は年の瀬だし、中華料理店ミャオミャオもオヤスミなのです!」
ミャオミャオ「さー、きみもお家に帰って、ぐっすり眠りなさい」
「じゃーねー♪ 良いお年を!」
〇ラーメン屋
〇ラーメン屋のカウンター
ミャオミャオ「お、きみはいつぞの!」
ミャオミャオ「肉まんが美味しすぎて、ついに買いに来てしまったね」
ミャオミャオ「ふふふ、あたしの術中にまんまと・・・」
ミャオミャオ「え、ラーメンにするの? いいよー。待っててね」
わざとでは無かったけれど、のれんの隙間から学生服が見えた。
ミャオミャオ「ほい、おまちぃー♪ 特製のチャーシューが自慢だよ!」
いただきます、と手を合わせ箸を取る。
ミャオミャオ「うんうん。いただきますを言える人に悪い人はいないのです!」
ミャオミャオ「実にいい食べっぷり。惚れ惚れしちゃう」
キミは学生なの? と聞いてみた。
特に他意は無いけれど。
ミャオミャオ「ふふーん。きみ、なかなか鋭いね」
ミャオミャオ「あたしは中華料理店ミャオミャオの店主にして、美少女高校生なのさ!」
ミャオミャオ「あ、笑ったね? 美少女の基準なんて人それぞれでしょ!」
笑ったのなんて、いつ振りだろう? 思わずこぼれた一言を彼女は見逃さない。
ミャオミャオ「ほほう? いいよー 心の大掃除していったら?」
〇空
自分はいつか社会の役に立つ人間になるんだと思っていた。
だけど、必死に頑張っても上手くいかなくて
あなた「嫌われないようにと人の顔色ばっかりうかがってきた」
あなた「誰かに必要として欲しくて、認めてもらいたくて」
あなた「がんばって、頑張ってきたけれど・・・」
〇空
誰にも必要とされていなかった。
認めてくれなかった。
何のために生きているんだろう、そう思うと世界が灰色に見えてきて
もう人生を歩くことに疲れてしまって―――
〇ラーメン屋のカウンター
ミャオミャオ「うんうん」
ミャオミャオ「辛いよね。あたしはきみじゃないから分かるなんて言わないけれど」
ミャオミャオ「辛そうには見えるよ」
あなた「・・・」
ミャオミャオ「・・・」
・・・
ミャオミャオ「じゃあ、とっておきのプレゼントをあげようかな!」
「がんばらなくていいよ」
ミャオミャオ「あたし思うんだよねー」
ミャオミャオ「がんばっても流れ的にどうにもならないことってあるじゃん?」
ミャオミャオ「全力でやってダメなら、それ以上はがんばらない。戦略撤た~いってヤツ?」
ミャオミャオ「それよりも出来ることを出来る範囲でいいんじゃないかな?」
ミャオミャオ「得手不得手ってあるし、人間好き嫌いありますからー」
ミャオミャオ「あの人キライー」
ミャオミャオ「スキー♡とかもね」
ミャオミャオ「ありのままであってイイと思うよ」
〇ネオン街
ミャオミャオ「でね! もっとカッコよく見えるにはどうすればいいかなーって考えるの」
ミャオミャオ「そうしたら、今日よりきっと明日の方が良くなるかもね」
ミャオミャオ「歩くことに疲れたら休みましょう!」
ミャオミャオ「飽きるくらい寝て!」
ミャオミャオ「心の赴くままに美味しいものを食べるッ!」
ミャオミャオ「で、ネガティブなことは考えない!」
ミャオミャオ「一度立ち止まったら周りを見渡してみて?」
ミャオミャオ「きっと道は無数にあるし」
ミャオミャオ「きみのことが好きな人もいるし」
ミャオミャオ「きみのことが必要な人だっているよ?」
ミャオミャオ「形は違っても必ず、ね」
ミャオミャオ「見えるものだけに囚われないで」
ミャオミャオ「きっと世界はもっともっと自由で、きみを必要としているから!」
ミャオミャオは若いのにものすごい包容力ですね。自殺防止のカウンセラーとしても働けそう。温かい食べ物を食べながら可愛い女の子と会話できたら大抵の男の人は落ち込んでいることも忘れちゃいそうですよね。
表紙のものってなんだろう? と思って入って見ました。なんだか、ホコホコになりました。ありがとう。
今日たまたま外食したお店で、チェーン店ではありながら、若いウエートレスの方々から素晴らしい接客を受けて嬉しくなっていたところです。同じ仕事でも、心を込めて働いていれば、きっと誰かの癒やしになったり笑顔の理由になったりするんだなあと、このお話にとても共感しました。