〇一軒家
琢磨(たくま)「先生、ココが例のアヤシイ家です！」
ホームラン服部「なんと禍々しき怨念！」
ホームラン服部「一刻も早く悪霊を祓わなけれぱ、この家は手遅れになるぞ!!」
クロ（琢磨のヤロー、 無いところに火種点けやがって）
クロ（このままじゃ、幽羅家が危ない!!）

〇テレビスタジオ
ホームラン服部「来年も元日には赤パンツ！」
ホームラン服部「あと、タンス預金がある方は、 表札に金の飾りをつけましょうね！」
ホームラン服部「それでは最後に、いつものパワーワードをご一緒に唱えましょう」
ホームラン服部「せーの！」
ホームラン服部「これでアナタも開運招福！ ホーーームランッッ!!」
アナウンサー「ここでお昼のニュースです！」
アナウンサー「怪奇町では今月に入って空き巣が多発しています」
アナウンサー「年末年始で長期的に家を開ける方は、 戸締まりの強化などの警戒が必要です」

〇豪華なリビングダイニング
パパ「全員集合〜！」
パパ「今年も残すところあと２日！ で・す・が、 開運グッズの用意は出来ているかな!?」
灯(あかり)「新しい赤パンツがまだよ！」
帳(とばり)「元旦に家族揃って赤パンツ履くの、ウチだけじゃないの？」
帳(とばり)「変なの！」
パパ「変じゃない！」
パパ「『元旦から赤パンツを履けば、家内安全・開運招福・恋愛成就に健康長寿!!』」
パパ「と、ホームラン服部が言っていた！」
ママ「私たち死んでるけどね！」
灯(あかり)「パパと帳のパンツをレジに持って行くの、恥ずかしいよ！」
ママ「パパは御朱印帳集めとか、生前から縁起物が大好きだったからね！」
ママ「付きあってあげましょうよ！」
パパ「一年の計は元旦にあり！ 新しい年には新しい開運グッズを!!」
パパ「大掃除は私たちがするから、 買い出しを頼むよ、灯！」

〇住宅街
琢磨(たくま)「やあ灯くん。今日はどちらへ？」
灯(あかり)「赤パ・・・日用品の買い出しよ！」
パパ「琢磨め！」
パパ「休みの日にまで付きまとうなんて、 灯を好きなのか!?」
琢磨(たくま)「ウッ、立ち眩み!?」
灯(あかり)「パパ、今すぐ琢磨の金縛りを解いて、 家に帰って！」
灯(あかり)「琢磨、疲れているの？」
灯(あかり)「疲労回復ドリンクを買ってきてあげるから、私の家で休んで待っていてよ！」
琢磨(たくま)「しかし、一人暮らしの女子の家で留守番をするのは・・・」
灯(あかり)「私たち、幼馴染じゃない！」
灯(あかり)「コレ家のカギね！」
灯(あかり)「じゃあ、後で！」
琢磨(たくま)（想定外だが都合が良い！）
琢磨(たくま)（灯くんが居ないこの隙に、除霊作戦を実行に移そう！）
琢磨(たくま)「灯クンは僕が守る！」

〇豪華なリビングダイニング
ママ「それじゃ大掃除を始めるわ。」
ママ「まずは棚という棚から物を出すのよ！」
「ハーイ！」
クロ「ワンッ！」
パパ「皆の念動力を合わせて いっせーの・・・」

〇一軒家
「ポルターガイスト発動！」
琢磨(たくま)「なっ、家には誰も居ないハズなのに!?」
ホームラン服部「さては悪霊の仕業か!? 早速、家に入ってみよう!!」

〇オタクの部屋
琢磨(たくま)「何だコレは!? ココだけ震度５の地震でもあったのか!?」
琢磨(たくま)「アッ、この猫！ 犬のように吠える奇妙な猫なんです!!」
琢磨(たくま)「もしや、この猫も悪霊憑きでは!?」
クロ「ニャア」
琢磨(たくま)「こ、この前は確かにッ・・・」
ホームラン服部「ふむ。この有様は猫が暴れただけなのかもしれませんね」
ホームラン服部「とりあえず私は結界の用意をする」
ホームラン服部「琢磨クンはこの家の四隅に、大きな盛り塩を作ってください」
琢磨(たくま)「ハイ！」
パパ「あれはホームラン服部!! なぜ我が家に!?」
クロ「ワワンッ！」
帳(とばり)「クロがね、琢磨が除霊師を連れて来たんだって言ってるよ！」
帳(とばり)「ホームラン服部って除霊もするんだ！ カッケ─!!」
クロ（こいつら服部の信者（アホ）だった）
パパ「か、感激〜！」
パパ「尊敬するホームラン服部が 我が家を訪問してくださるなんて!!」
パパ「張り切って怪異をお出しして、おもてなしをせねば！」
ママ「パパ、おもてなしの意味を知っているのかしら？」

〇オタクの部屋
ホームラン服部「さて、琢磨が盛り塩を作っている間に私も仕事をしなくては！」
ホームラン服部「・・・コレコレ〜♥」
ホームラン服部「誰か居るのか!?」
ホームラン服部「お、驚いた！ TVの音かよ！ 視聴予約でもしていたのか？」
ホームラン服部（自分で設定した『悪霊の家』に、ビビるようじゃ、詐欺師家業も終わりだぜ！）
ホームラン服部「フウ・・・ 金庫は解錠に時間がかかるから、 タンス預金でも調べよう！」
パパ「見た？ あの顔！」
パパ「おもてなし①笑う金庫・大成功!!」

〇古い畳部屋
ホームラン服部「そうそう、こういうタンスの中に・・・」
ホームラン服部「ほら見ろ！ビンゴ〜!!」

〇古い畳部屋
ホームラン服部「か、金が降ってきた!! どゆこと？どゆこと？」
ホームラン服部「アアッ！」
ホームラン服部「イッデ!!」
ホームラン服部「お札で足を滑らせて転んで腰打った！」
琢磨「スゴい音がしたけど、大丈夫ですか!?」
ホームラン服部「マズイ、 琢磨が心配してこちらに来る！」
ホームラン服部「２階に移動しよう！」
パパ「おもてなし②お札を降らせる」
パパ「やはり除霊師といえども、 お金が好きなのは一緒だな！」
パパ「今のはやり過ぎたが、次で挽回だ！」
ママ「パパあの人、本当に除霊をしようとしているの？」

〇オタクの部屋
灯(あかり)「ただいま・・・ってキャア!?」
灯(あかり)「吐鬼、また来ていたのね！」
灯(あかり)「ていうか、何でウチはこんなに散らかっているの!?大掃除は!?」
吐鬼(とき)「さあな。 皆、先客への対応に慌ただしくしておるわ」
灯(あかり)「先客って琢磨のこと？」
吐鬼(とき)「その琢磨が除霊師を連れて来たから、地縛霊どもが騒いでおるようだ」
吐鬼(とき)「と、犬コロが言っていた」
クロ「ワン！」
灯(あかり)「除霊師ですって!? みんなが危ない！」

〇女性の部屋
ホームラン服部「クックック・・・」
ホームラン服部「ウホッ！ コレはお宝だ!!」
パパ「な、何をやっているんだ!?」
パパ「灯の制服や下着を漁るなんて、 まるで・・・」
吐鬼(とき)「気づくのおっそ！」
パパ「保安局！」
帳(とばり)「鬼のオジサンいつも遊びに来るけど、 暇なの？」
吐鬼(とき)「パトロールだクソ餓鬼めが！」
吐鬼(とき)「あやつに除霊する能力なんぞ無い。 イカサマ語りの空き巣じゃろう」
吐鬼(とき)「ヒトでなければ、即タイホじゃ！」
帳(とばり)「そういえばニュースで この辺りは空き巣が多発しているって言っていた！」
ママ「除霊師と称して個人宅を訪問し、 人気がないと知るや空き巣になるという手口だったのね！」
パパ「ウオオ許せん！ 金ならともかく灯の下着を盗もうとするなんて!!」
ママ「パパの怒りのツボはソコなのね！」
灯(あかり)「みんな、大丈夫!?」
琢磨(たくま)「服部センセ!? あれ？その下着は・・・」
ホームラン服部「灯さんだね？ 実は君を助けに来たんだ！」
ホームラン服部「君は悪霊に取り憑かれている！」
ホームラン服部「今、部屋を調べていたんだが、 霊の痕跡だらけだ！」
ホームラン服部「悪霊に取り憑かれた者の末路は哀れだ。 怪我、病気、貧困・・・この世のありとあらゆる不幸が君を襲うよ？」
灯(あかり)「そんな・・・」
ホームラン服部「そうなる前に、 霊の執着心を取り除くことが必要」
ホームラン服部「できればそう、現金はマズイ！ 手放したほうが良い！悪霊を退治する手伝いを、君もしてくれないか!?」
ママ「嘘ばっかり！」
帳(とばり)「騙されないでお姉ちゃん！」
灯(あかり)「私はアナタよりこの家の地縛霊のほうを信じるわ」
灯(あかり)「だってアナタが言う悪霊は、 私の大切な家族だから！」
灯(あかり)「例え家族と一緒に暮らすことで不幸になったとしても、後悔なんかしない!!」
琢磨(たくま)「灯クン・・・」
ホームラン服部「茶番は終わりだ！」
灯(あかり)「琢磨！」
ホームラン服部「黙って早く金出せよ！」
琢磨(たくま)「だ、騙したな！」
ホームラン服部「世の中、騙されるほうが悪いンだよ」
ホームラン服部「オイ金だ！早くしろ!!」
琢磨(たくま)「させるかぁッ！」
ホームラン服部「この・・・ 噛み付きやがったな！」
琢磨(たくま)「灯クン今のうちに逃げるんだ!!」
ホームラン服部「望み通り、先に始末してやるよ！」
琢磨(たくま)「ウ!!」
琢磨(たくま)「・・・ッ 切られていない??」
ホームラン服部「体が・・・動かない!? ナ、ナイフが消えた!? どこに行った？」
灯(あかり)「ママと帳、ありがとう!!」
琢磨(たくま)「今だ！体当たり!!」
ホームラン服部「弱いんだよ！ 倍返しだ!!」
灯(あかり)「琢磨がやられた！ 気絶しちゃったわ!!」
パパ「保安局、力を貸せ！ 琢磨に憑依したい!!」
吐鬼(とき)「後で茶菓子を出してもらうぞえ？」
パパ「『憑依!!』」

〇手
　　オカエシ・・・スルゾ!!
ホームラン服部「琢磨じゃ・・・ない!?」
ホームラン服部「着物斬られた──!!」
　　ソノ赤パンツニ
　　ゴ利益ハナサソウダナ！
　　ウセロ・・・
　　今スグニ・・・サモナケレバ・・・
ホームラン服部「失せます!! 二度と来ません!! さよーならー!!!!」
帳(とばり)「カッコ悪〜♪」

〇豪華なリビングダイニング
琢磨(たくま)「うーん・・・」
琢磨(たくま)「アッ、アイツはどこだ!?」
灯(あかり)「琢磨が詐欺師をぶっ飛ばしたから、逃げちゃったのよ！ 琢磨も倒れちゃったけどね」
琢磨(たくま)「ボ・・・ボクが!?」
琢磨(たくま)（意識の奥深くに眠るという 隠れた才能（ゾーン）の発現か？）
灯(あかり)「助けてくれて、ありがとう！」
琢磨(たくま)「当然じゃないか！ 自分で撒いた種を刈り取っただけのこと」
琢磨(たくま)「いつでも頼ってくれたまえ！ それでは失礼するよ」
ママ「悪いコじゃないのよね〜」
帳(とばり)「いつもお節介が空回りなだけなんだよね〜！」
パパ「まあ今回の騒動に懲りて、しばらくは大人しくするだろうさ」
吐鬼(とき)「ホームラン服部が本物だったら今頃みんなお陀仏だったな！」
灯(あかり)「本当に、みんなが無事で良かったあ！」
灯(あかり)「あと、買ってきた赤パンツだけど・・・」
ママ「流石に履きたくないわね！」
帳(とばり)「鬼のオジサン欲しい？」
吐鬼(とき)「要らんわッ！」
灯(あかり)「じゃあ来年の元日は赤パンツ無しね!?」
パパ「元日は黄金色のパンツに変更だ！ 占星術師のゴールデン景子が TVで言っていたから間違いない!!」
パパ「今年も残すところあと１日！ 頼むよ灯、探してきてくれ!!」
灯(あかり)「赤パンツ探すのも大変で恥ずかしい思いしたのに、黄金色のパンツなんて・・・」

〇一軒家
「もー嫌！ ぜーったい、買わないんだからあ〜!!」
クロ「犬で良かったワン」