『愛情ヒーロー』

SCPキミト

第十七話「富豪の長男」(脚本)

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〇渋谷のスクランブル交差点
  ──ある日
甘音主乃「わぁ〜い! かうらくんとデート!!」
操糸かうら「違います!」
  この日、甘音主乃は操糸かうらとデート・・・もとい、買い物にわざわざ渋谷まで来ていた。
甘音主乃「どういうお店が良いのか、俺よく分からないからさ、オススメなんかない?」
操糸かうら「渋谷なんて、僕でも中々来ませんからね。オススメなんてないです」
甘音主乃「いや、大丈夫! それもそっか・・・って、わっ!」
  ドサッ・・・
操糸かうら「だ、大丈夫ですか?!」
甘音主乃「俺は問題ないよ! でも・・・」
泡風射潤「わわっ! お姉さん、ごめんなさい!」
甘音主乃「大丈夫? 怪我はない?」
泡風射潤「うん! 大丈夫!」
甘音主乃「よかったぁ〜!」
操糸かうら「ん・・・?」
操糸かうら「ねぇ、キミ?」
泡風射潤「なぁに?」
操糸かうら「・・・泡風家?」
泡風射潤「えぇっ?! お兄さん分かるの?」
操糸かうら「何となく」
泡風射潤「うん! 僕は泡風射潤、お兄さん達は?」
甘音主乃「甘音主乃と、」
操糸かうら「操糸・・・かうら」
泡風射潤「お兄さん達は僕のこと知ってる?」
甘音主乃「んん〜? 分かんない」
操糸かうら「主乃さん、知らないのはまずいですよ。 射潤・・・くん? 御付きの方々は?」
泡風射潤「しつこいから逃げて来ちゃった」
甘音主乃「ん"っ、ダメじゃね? 御付きの人居るんだ・・・って、ヤバ?!」
操糸かうら「泡風家と言えば・・・世でも有名な有数の大富豪。泡風射潤なんて、主人の継承権が第一位だった様な気もしますが」
操糸かうら「そんな射潤くんが、何故逃げて来てしまったのか・・・世間的にはかなりまずい事態です」
甘音主乃「しつこいって・・・どんな感じ?」
泡風射潤「ん〜っとね、何をするにも1人きりじゃダメだから、必ず見張りがいたし・・・」
泡風射潤「好きな時に好きな所にお出かけなんてできないもん・・・ずぅ〜っと作法とか政治? とか勉強してる」
甘音主乃「束縛にも程があるんじゃない?!」
操糸かうら「まぁ・・・どう足掻けどもそれが一番でしょう」
操糸かうら「ただ、まだ理解の追いつかない子供にとっては窮屈でしかありませんからね。逃げ出したいのはよく分かります」
泡風射潤「だからね! 逃げて来ちゃった!!」
操糸かうら「主乃さん!」
甘音主乃「お?」
操糸かうら「”コレ”、野放しにしたらまずいです」
甘音主乃「うん、話聞いてて大体分かったよ・・・よし」
甘音主乃「射潤くん・・・だっけ?」
泡風射潤「うん!」
甘音主乃「ここら辺ね? 変な人がうじゃうじゃ居るかもしれないから、もし良ければうち来ない?」
泡風射潤「・・・誘拐?」
甘音主乃「違います、保護です」
甘音主乃「俺ね、そこのお兄さんとヒーローやってるんだけど・・・どうかな?」
泡風射潤「ん〜・・・分かった!」
操糸かうら「さすがですね、主乃さん!」
  こうして、突如現れた大富豪の継承権第一位、泡風射潤を保護する事になった。

〇おしゃれな居間
「・・・で、連れて帰って来ちゃったと?」
「バッカじゃねぇの?!?!」
「・・・こっちから泡風家に連絡入れとく。迎え来るまで待ってろ」
泡風射潤「お迎え来ちゃうのやだぁ・・・」
「死なれたり行方不明になられたらこっちの責任になる、そっちの方が嫌だわ」
甘音主乃「というか、泡風さん家の連絡先知ってるの?」
「あ〜・・・企業秘密って事で」
甘音主乃(ハッキングするんだね、知ってるよ)
泡風射潤「ねえねえ、主乃お姉ちゃん!」
甘音主乃「なんだいね?」
泡風射潤「声しか聞こえないお姉さん・・・? は、なんで出てこないの?」
甘音主乃「それはねー、もしもの時の為にあそこにいるからだよ」
「少年よ、お姉さんに「?」付けただろ。私はちゃんとしたお姉さんだぞ?」
泡風射潤「そっか! いつか会いたいな〜!」
甘音主乃(ちゃんとしたお姉さんは富豪のネットワークをハッキングなんてしませんよね〜?)
「おい主乃、何考えてやがる」
甘音主乃「え、あ、いや! ちゃんとしたお姉さん・・・だよなって!」
「思ってねぇだろお前」
甘音主乃「お、思ってるもん!」
泡風射潤「あははっ!」

〇おしゃれな居間
  ──数分後
  ピンポーン
甘音主乃「おっ、お迎えじゃないかな?」
泡風射潤「そうかな? 出てみる?」
「いや、待て」
甘音主乃「どった?」
「泡風家の邸宅からここまで、車でも時間単位ではかかるはず・・・渋谷の輩に連絡入れて迎えに行かせたにしても早すぎる」
甘音主乃「・・・射潤くん」
泡風射潤「な、なぁに?」
甘音主乃「俺から離れちゃダメだよ」
泡風射潤「う、うん! 分かった」
「間違えても殺すなよ」
甘音主乃「なんかあったら頼んだよ!」
「おう、任せとけ」
  ──ガチャ
悪い人「泡風家の長男出せやァア!!!」
甘音主乃「やっぱりねぇ、想像通りだ」
泡風射潤「あっ! この人たち、僕の事何度も何度も狙ってきてた人たちだよ!!」
甘音主乃「しかも常習犯ときましたか・・・」
甘音主乃「・・・かかってこい」
悪い人「ほぅ? 女1人に・・・この数で勝てんのか?!」
泡風射潤「お姉ちゃん・・・8人いる!」
甘音主乃「おっ! ナイス!」
甘音主乃「出てけッ!!!!!!!」
悪い人「ぐぁあ!!」
  何だこいつ!!
甘音主乃「出てけって言ってるでしょーが!!!」
悪い人「どわー!!!!!!」
  ぐぁぁぁあ!!
悪い人「クッソ・・・おい! お前ら起きろ!」
  無理っす!!! これ以上食らったら死ぬっすよ!
悪い人「ぐっ・・・覚えてろよ!!」
甘音主乃「おととい来い!!!!!」
  ダッダッダッダッダッ・・・
甘音主乃「ふいぃ〜・・・大丈夫かな?」
泡風射潤「うん! 大丈夫!! 主乃お姉ちゃんカッコいい〜!!」
泡風射潤「ねぇねぇ! 僕もヒーローなれるかな?」
甘音主乃「きっとなれるよ!」
泡風射潤「やったぁ!」
「あい、お疲れ様。よく殺しませんでした」
甘音主乃「褒める所そこなの?」
「ハハッ、渋谷でお付きしてた輩がもうすぐ来るってさ」
甘音主乃「りょっ!」
  ピンポーン
甘音主乃「見てくるね」
泡風家付人「失礼致します」
泡風射潤「・・・」
泡風家付人「こちらを」
泡風射潤「この人本物っ!」
甘音主乃「そ、そう・・・良かったねぇ」
甘音主乃(着けてるサングラスで分かるのね・・・)
泡風家付人「電話をくださった方とお声が違う様ですが」
甘音主乃「ああ、あの子は俺の友人ちゃん。直接預かってたのは俺だから心配しないでね」
泡風家付人「そういう事ですか。ありがとうございました、では失礼致します。お坊ちゃま、こちらへ」
泡風射潤「はぁい! バイバイ、主乃お姉ちゃん! カッコよかったよ〜!」
甘音主乃「はいはい。 一度刺客来ちゃったから、一応怪我ないか見てあげてね〜」
泡風家付人「なんですって?! お怪我は!」
泡風射潤「全然へーき! お姉ちゃんがやっつけてくれたもんね!」
甘音主乃(おととい来いとか言ったからな、うん)
甘音主乃「そうだね、追い払ってはおいたけど・・・油断は禁物ね!」
泡風射潤「はーい!」
泡風家付人「そうですか・・・ありがとうございます。報告させて頂きます。ではこれにて」
  ガチャン
甘音主乃「え、待って待って報告って言ったよね?!?!」
甘音主乃「面倒なことにしないでくれぇえ!!!!」
「wwwwwwwww」
  後日、しっかりと面倒な事になったのは、また別のお話・・・。

次のエピソード:第十八話「魔力所持の発覚」

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