偽りのトリアーダ

草加奈呼

エピソード17 最終話 希望の道(脚本)

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草加奈呼

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〇綺麗な教会

〇教会の中
アルフレッド「リア・・・」
リア「おに・・・」
リア「アルフレッドさん・・・」
  今日は、
  私たちの結婚式です。

〇オフィスの廊下
  数ヶ月前──
チーフプランナー「リアさん、仕事にはもう慣れた?」
リア「はい、まだまだ勉強中ですが・・・」
チーフプランナー「でも、リアさん、 ゴンドル族って言うから、」
チーフプランナー「てっきりゴンドル族の言葉も話せるのかと 思ってたら・・・」
リア「すみません・・・。 私は人間の親に育てられたので・・・」
リア「ゴンドル族の言葉は、 大学で少し勉強した程度です・・・」
チーフプランナー「それでも、 あなたがここに来てくれたおかげで、」
チーフプランナー「少しずつゴンドル族の カップルが増えてきているのよ」
リア「そうですね、それは嬉しいです」
チーフプランナー「それでね、リアさん」
チーフプランナー「あなたに相談があるのだけれど」

〇綺麗な会議室
リア「モデルウェディング!?」
チーフプランナー「そう。あなた確か、 お付き合いしてる人がいるのよね?」
リア「は、はい・・・」
チーフプランナー「今度、ゴンドル族のカップルを 応援するフェアを予定してるんだけど、」
チーフプランナー「その宣伝用の写真がほしいのよ」
チーフプランナー「PR動画も視野に入れているわ」
チーフプランナー「でも、ゴンドル族のモデルさんが いるという話は聞いた事がないし・・・」
チーフプランナー「あなたなら、うってつけだと思って!」
チーフプランナー「もちろん、価格は社員優待、 さらにモデル優待もするわよ」
チーフプランナー「あ、他の人には内緒でね!」
リア「とてもありがたいお話なのですが・・・」
リア「私のお相手は、人間・・・でして」
チーフプランナー「あら、そうなの・・・」
チーフプランナー「・・・いえ」
チーフプランナー「逆にいいわ」
リア「えっ?」
チーフプランナー「今まで敵対していた種族同士が、 苦難を乗り越えて結婚・・・」
チーフプランナー「いい・・・いいじゃない!?」
リア「あ、あの、チーフ?」
チーフプランナー「そうね、 キャッチコピーを変更すれば・・・」
チーフプランナー「いける、いけるわ・・・!」
リア「あの、私は構わないのですが・・・」
リア「おに・・・」
リア「“彼”にも訊いてみないと・・・」
チーフプランナー「そうね。 今週中に返事をもらえると助かるわ」
チーフプランナー「ところで、リアさん」
リア「はい?」
チーフプランナー「お相手の写真は・・・あるかしら?」
リア「え、ええ。 スマホにありますが・・・?」
チーフプランナー「いえ、一応宣伝モデルをやっていただく わけだから、その・・・ねぇ?」
リア「ああ、そういう事でしたら・・・」
リア「どうぞ」
チーフプランナー(な、な、何このイケメンーーーー!?!?)
チーフプランナー(万が一の時は、 花嫁だけの写真と思っていたけど・・・!)
チーフプランナー「ちょ、ちょ、ちょっとリアさん!」
チーフプランナー「あなた、こんなイケメンとどうやって 知り合ったの!?」
リア「どうやってと言われましても・・・」
リア(まさか、義兄ですとは言いづらい・・・)
チーフプランナー「ああっ、この業界って、 出会いがないって言われてるのに・・・!」
チーフプランナー「あなた、なんて幸運の持ち主なのー!?」

〇豪華な部屋
アルフレッド「モデルウェディング!?」
リア「はい、どうでしょうか?」
アルフレッド「俺は構わないが・・・」
リア「では、OKなんですね!?」
アルフレッド「いや・・・」
アルフレッド「リア、よく考えたのか?」
リア「え?」
アルフレッド「宣伝に使われるという事は、 それだけ公の場に出るという事だ」
アルフレッド「ゴンドル族のおまえが」
アルフレッド「差別緩和されたといっても、周囲の心が、 そう簡単に変わるわけではない」
アルフレッド「妬み、恨み、憎悪・・・」
アルフレッド「少なからずとも、 そういった反応がおまえに向けられる」
アルフレッド「それでもおまえは、 モデルを引き受けるのか?」
リア「・・・・・・」
リア「やります!」
リア「ゴンドル族でも、 こんなに輝けるんだって・・・」
リア「私、ゴンドル族の希望になります!」

〇豪華な部屋
ダニエル「リアは・・・あの子はきっと、 ゴンドル族の希望になる」

〇豪華な部屋
アルフレッド(父さん・・・!)
アルフレッド「リア・・・ 今のおまえなら、大丈夫そうだ」
アルフレッド「・・・ぜひ、その話、お受けしよう」
リア「・・・えっ?」
アルフレッド「実は、いつ云おうか迷っていた・・・」
アルフレッド「リア、 生涯おまえと共に歩むと誓おう・・・」
リア「お兄様っ・・・!」

〇綺麗な教会
モニカ「リアーっ!」
ジェシー「おめでとう!」
リア「ありがとう、2人とも!」
チーフプランナー「うん、いい画が撮れたわ〜〜♪」
チーフプランナー(え・・・すご、イケメン・・・!)
チーフプランナー「このたびは、おめでとうございます」
カルステン「ありがとうございます」
リア(叔父様・・・ 来てくれてありがとう・・・)
リア(テオにも来て欲しかったな・・・)
  結婚式には、テオは呼べなかった。
  先生の許可が下りなかったからだ。

〇田舎の病院の病室
  後日、写真と動画を送ってあげた。
テオドール「わぁ〜。兄さんと姉さん・・・」
テオドール「おめでとう〜♡」
ポポロム「テオさん」
ポポロム「何か、良からぬ事を考えていませんか?」
テオドール「・・・・・・」
テオドール「大丈夫大丈夫ー」
テオドール「俺、もう横取りなんてしないよー」
ポポロム(心配だなぁ・・・)

〇田舎の病院の休憩室
  そして、結婚生活にも慣れてきた頃──
テオドール「兄さん、姉さん〜」
リア「テオ!」
  つい、いつもの調子で手を広げてしまったが────
テオドール「勝手に触っちゃダメって、先生が──」
リア(先生・・・! すごいです・・・!)
リア「ふふっ、今だけ、再会のハグならいいわよ」
テオドール「本当? 姉さーん」
  テオは、無邪気に抱きついてきた。
  私の知っているテオは、昔からこうだった。
  だけど
リア(押しつけちゃ・・・ いけないんだよね・・・?)
  テオは、
  テオだけじゃない、私たちは。
  いろんな側面を持っている。
  それを、受け入れなければならない。
アルフレッド(まったく・・・)
アルフレッド(テオにあれほど 酷い目に遭わされたというのに・・・)
テオドール「あー。兄さん、ヤキモチ妬いてるの?」
アルフレッド「なっ・・・ちが・・・!」
テオドール「しょうがないなぁ。兄さんも♡」
アルフレッド「えっ・・・?」
アルフレッド「・・・おかえり、テオ」
テオドール「ただいま、兄さん」

〇豪華な部屋
  テオは1日だけ、許可をもらって家に帰ってくる事ができました。
テオドール「久々の我が家だ〜♪」
リア(そっか・・・ あれから、数年経ったんだ・・・)
  私たちは、兄弟水入らずで1日を過ごし──

〇豪華な部屋
  そして、夜になった。
リア(そういえば、ポポロム先生が・・・)

〇病院の診察室
ポポロム「アルフさん、リアさん。 テオさんの外泊許可は出しますが──」
ポポロム「まだ、逃亡癖があるので、注意してください」
ポポロム「特に、 夜中に逃亡されると厄介ですので──」
ポポロム「これを」
リア「え、ええぇっ!?」

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コメント

  • 遅ればせながら最終話読みました。推していたアルフエンドで良かったです😊最初はなんて鬼畜な男だろうと思いましたが、印象ってここまで変わるんですね。
    それぞれが魅力的で全員攻略したいと思わせるキャラで、面白かったです。お疲れ様でした。

  • 深夜に一気読みしました! 面白かったです!
    いびつな三角関係は健在のようですが、なんとかハッピーエンドになってよかったです(不穏なラストシーンには目をつむる)。お兄様はこれから苦労が絶えなさそうですね…。
    ポポロム先生が一番好きですが、酒の勢いでホニャララするのと赤ん坊に惚れるのはヤバい笑
    絶望エンドも気になります!

  • 遅ればせながら、アルフエンドお疲れさまでしたー。
    …って、アルフエンド!?
    このもつれにもつれた関係を上手くハッピーエンドに収めたのに、テオエンドまで創作されているとは。
    その創作意欲と姿勢に脱帽です👍
    この回でリアちゃんとゴンドル族の未来が希望に見えたことがとても嬉しかったです。
    リアちゃん、おめでとう!

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