初恋

深都 英二

交錯する想い(脚本)

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深都 英二

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〇焼肉屋
吉瀬 恵梨香「風磨君が浮気!?」
楪原 茗「まだ確定じゃないけど・・・」
吉瀬 恵梨香「何か証拠でも掴んだの?」
楪原 茗「実は家のポストにこんな写真が入ってて・・・」
吉瀬 恵梨香「うわっ!ちょっと何これ」
吉瀬 恵梨香「これはエグいね」
楪原 茗「うん・・・」
吉瀬 恵梨香「この女がわざわざ送ってきたってこと?」
楪原 茗「わからない・・・」
吉瀬 恵梨香「そうだとしたら相当性格悪いね、この女」
吉瀬 恵梨香「そもそも、茗のマンションどうやってわかったんだろ」
楪原 茗「たしかに・・・」
吉瀬 恵梨香「女の顔、モザイクかかっててよく見えないけど」
吉瀬 恵梨香「心当たりはある?」
楪原 茗「ううん、ない・・・」
吉瀬 恵梨香「このこと、風磨君には言った?」
楪原 茗「ううん・・・まだ・・・」
楪原 茗「それにこの前、道端で風磨と女の人がキスしてるとこ見ちゃって」
吉瀬 恵梨香「うそでしょ!?」
楪原 茗「もうダメかも・・・」
吉瀬 恵梨香「・・・」
吉瀬 恵梨香「なんか変じゃない?」
楪原 茗「え?何が?」
吉瀬 恵梨香「ポストにあんな写真が送られてきて」
吉瀬 恵梨香「偶然キスの現場まで目撃するなんて」
吉瀬 恵梨香「あまりに出来過ぎてない?」
楪原 茗「何が言いたいの?」
吉瀬 恵梨香「なんか仕組まれてる気がする」
楪原 茗「仕組まれてる!?」
楪原 茗「その女にってこと?」
吉瀬 恵梨香「わからないけど・・・」
吉瀬 恵梨香「でも、違和感あるよ」
吉瀬 恵梨香「とにかく一度、ちゃんと風磨君と話した方がいいと思う」
楪原 茗「うん・・・」
吉瀬 恵梨香「茗・・・ごめんね」
楪原 茗「え?何で謝るの?」
吉瀬 恵梨香「ほら、元カレのこと・・・」
吉瀬 恵梨香「マッチングアプリ使ってみればって勧めたの、私だから」
楪原 茗「恵梨香のせいじゃないよ」
楪原 茗「それに、あいつもう死んだし・・・」
吉瀬 恵梨香「死んだ!?」
楪原 茗「世田谷夫婦殺傷事件あったでしょ?」
吉瀬 恵梨香「うん。ニュースで見た」
吉瀬 恵梨香「まさかその夫婦って・・・」
楪原 茗「そう。あの事件で死んだ圷津は元カレ」
吉瀬 恵梨香「え・・・!」
吉瀬 恵梨香「そう・・・」
吉瀬 恵梨香「でも、あいつとはもう何の関係もないでしょ」
楪原 茗「うん・・・」
吉瀬 恵梨香「別れて1年も経つし、こう言っちゃなんだけどバチが当たったんだよ」
吉瀬 恵梨香「既婚者ってことを隠して、茗と付き合ってたんだから」
楪原 茗「うん・・・」
吉瀬 恵梨香「とりあえず、風磨君とちゃんと話しなね」

〇シックなバー
卯月 風磨「はあ〜・・・」
渋沢 和輝「どうした?浮かない顔して」
卯月 風磨「最近まじでツイてなくてさ」
渋沢 和輝「何言ってんだよ!」
渋沢 和輝「あんなかわいい彼女いるくせに」
卯月 風磨「いや・・・それがさ・・・」
渋沢 和輝「何だ?ケンカでもしたか?」
卯月 風磨「ケンカっていうか・・・」
  卯月は辺りをキョロキョロと見渡した。
渋沢 和輝「どうした?」
卯月 風磨「ここ、彼女の行きつけのバーだからさ」
卯月 風磨「いないか確認したんだよ」
渋沢 和輝「彼女にバレたらやばい話か?」
卯月 風磨「実は、会社の女の子に言い寄られててさ」
渋沢 和輝「は?何だよそれ!」
渋沢 和輝「自慢かよ!」
卯月 風磨「ちげーよ!」
卯月 風磨「こっちは迷惑してるんだって!」
渋沢 和輝「はいはい。幸せな悩みだな〜」
卯月 風磨「あー!何でこう上手くいかねーかな」
渋沢 和輝「お前の悩みは贅沢なんだよ」
渋沢 和輝「浮気してないで、早く結婚しちまえ」
卯月 風磨「だから浮気じゃねえって!」
渋沢 和輝「あーっ!うめー!」
渋沢 和輝「しっかりしろよ!プロポーズするんだろ?」
卯月 風磨「プロポーズか・・・」
渋沢 和輝「指輪まで買ってたくせに」
渋沢 和輝「店員さんも、何とか言ってやってくださいよ!」
三琴 恭弥「ご結婚されるんですか?」
卯月 風磨「いや、まあ・・・」
卯月 風磨「おい、和輝!酔いすぎだぞ」
渋沢 和輝「彼女いるのに浮気するとか、どう思います?」
渋沢 和輝「俺にも女紹介しろっての!」
渋沢 和輝「店員さんは、彼女いるんすか?」
卯月 風磨「おい!」
卯月 風磨「すみません、こいつ酔ってて・・・」
三琴 恭弥「いえ、構いませんよ」
三琴 恭弥「彼女はいませんが、好きな人はいます」
渋沢 和輝「へえー!意外っすね!」
渋沢 和輝「めちゃくちゃ遊んでそうって思ってました」
卯月 風磨「おい!失礼だろ!」
三琴 恭弥「ははっ!よく言われます」
三琴 恭弥「こう見えて僕、一途なんですよ」
渋沢 和輝「何で告白しないんすか?」
三琴 恭弥「その人には、相手がいるので」
卯月 風磨「え・・・?」
渋沢 和輝「彼氏持ちってことっすか?」
三琴 恭弥「まあ、そんなところです」
渋沢 和輝「すげー!店員さん、やりますね〜」
卯月 風磨「和輝!もうやめとけ・・・」
卯月 風磨「ったく・・・」
卯月 風磨「なんか色々とすみません」
三琴 恭弥「いえ、お気になさらず」
卯月 風磨「・・・」
卯月 風磨「彼女に信じてもらうには、どうすればいいですかね?」
三琴 恭弥「え?」
卯月 風磨「今、彼女とちょっとギクシャクしてて・・・」
卯月 風磨「俺が悪いんですけど・・・」
卯月 風磨「彼女に正直に話しても信じてもらえない気がして・・・」
三琴 恭弥「それでも、話し合うしかないんじゃないですかね」
三琴 恭弥「きちんと向き合って話せば、気持ちは伝わると思いますよ」
卯月 風磨「やっぱそうですよね」
三琴 恭弥「大切にしてあげてくださいね」
三琴 恭弥「彼女さんのこと」
卯月 風磨「あ、はい・・・」
三琴 恭弥「大切な人って、突然いなくなっちゃうものですから」
卯月 風磨「え・・・」
渋沢 和輝「あー!彼女ほしいー!」
卯月 風磨「うわっ!びっくりした!」
渋沢 和輝「あれ?俺、寝てた?」
三琴 恭弥「よく寝てましたよ」
卯月 風磨「飲みすぎだ。ほら、帰るぞ」

〇オフィスのフロア
楪原 茗「おはようございます」
部長「楪原さん、ちょっと会議室に来れる?」
楪原 茗「はい・・・」

〇小さい会議室
部長「ちょっと言いにくいんだが・・・」
部長「楪原さんが、男性社員に色目を使ってるという声があってね・・・」
楪原 茗「え?何ですかそれ!」
部長「いや、私も鵜呑みにしてるわけじゃないよ」
部長「楪原さんの仕事っぷりは評価してるし、信頼もしてる」
部長「周りの社員からの評判もいいし」
部長「ただ、そういう声が上がったということは一応伝えておこうと思ってね」
部長「一応聞くけど・・・」
部長「そういう誤解されるようなことはしてないよね?」
楪原 茗「してません!」
部長「そうか。わかった・・・」
部長「変なことを聞いてすまないね」
楪原 茗「いえ・・・」
部長「あと・・・」
部長「デザイナーの黄坂さんとは上手くやってる?」
楪原 茗「え?はい・・・」
部長「実はね、黄坂さんが楪原さんと同じチームでやりたくないって言ってるんだよ」
楪原 茗「え・・・どうしてですか?」
部長「理由を聞いても詳しく教えてくれなくてね」
部長「女性同士だと色々あって大変だと思うけど」
部長「上手くやってくれると助かるよ」
楪原 茗「はい・・・」
部長「あと、この間話した昇進の件だけど」
部長「すまないが保留にさせてくれ」
楪原 茗「えっ・・・」
部長「僕は推薦したんだが、こういう状況だと上が納得しなくてね」
部長「今回は見送らせてくれ。すまない」
楪原 茗「わかりました・・・」

〇オフィスのフロア
Webデザイナー「フォローありがとうございました!」
Webデザイナー「楪原さんの指示、いつも的確で助かってます」
楪原 茗「来週またちょっと忙しくなりそうだけど、がんばろうね」
Webデザイナー「はい!お疲れさまでした」
黄坂 千夏「・・・」

〇休憩スペース
黄坂 千夏「何あれ!全然元気そうでムカつく!」
黄坂 千夏「これじゃ部長に言った意味ないじゃん」
麻布 翔「黄坂、ちょっといい?」
黄坂 千夏「わっ!麻布!」
黄坂 千夏「どうしたの?」
麻布 翔「部長に「楪原さんと一緒に仕事したくない」って言ったの?」
黄坂 千夏「えっ・・・?何でそれを・・・」
麻布 翔「部長に聞かれたんだよ」
麻布 翔「楪原さんと黄坂、仲が悪いのかって」
麻布 翔「問い詰めたら、あっさり話してくれた」
麻布 翔「黄坂が、楪原さんと同じチームでやりたくないって言ってるって」
黄坂 千夏「くっ・・・部長、口軽すぎ!」
麻布 翔「何でだよ?」
麻布 翔「黄坂だって、楪原さんのこと褒めてただろ」
黄坂 千夏「別に・・・何となく・・・」
麻布 翔「何となくでそんなこと言うなよ!」
麻布 翔「しかも、部長に言うなんて・・・」
黄坂 千夏「・・・」
黄坂 千夏「何も知らないくせに!」
麻布 翔「え?」
麻布 翔「おい・・・黄坂・・・」
黄坂 千夏「楪原さん、事件の容疑者かもしれないよ」
麻布 翔「は?事件!?」
麻布 翔「何だよ急に」
黄坂 千夏「世田谷の夫婦殺傷事件・・・知ってるでしょ?」
麻布 翔「ああ、ニュースで見たよ」
黄坂 千夏「あの事件の容疑者かも」
麻布 翔「何だよそれ。誰から聞いたんだよ?」
黄坂 千夏「SNSのDMで来たの」
黄坂 千夏「ほら、これ」
麻布 翔「これ・・・何だよ」
黄坂 千夏「この男の人、あの事件で死んだ人だった」
黄坂 千夏「あたし怖くなって・・・」
黄坂 千夏「だから麻布も、楪原さんには関わらない方がいいよ」
麻布 翔「・・・」
麻布 翔「その話、誰かに話した?」
黄坂 千夏「ううん。話してない」
麻布 翔「じゃあ、忘れろ」
黄坂 千夏「え?でも・・・」
麻布 翔「俺は、楪原さんを信じてる」
麻布 翔「もし変なウワサで楪原さんが傷つくようなことがあったら」
麻布 翔「俺は許さない」
黄坂 千夏「・・・」
黄坂 千夏「好きなの?楪原さんのこと」
麻布 翔「好きだよ」
黄坂 千夏「もしかしてこの間の夜、公園で楪原さんと一緒にいた?」
麻布 翔「え?何でそのこと・・・」
黄坂 千夏「っ・・・」
黄坂 千夏「もういい・・・!」
麻布 翔「黄坂・・・!」

次のエピソード:新たな事件

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