新たな事件(脚本)
〇中規模マンション
楪原 茗「風磨!?どうしたの?」
卯月 風磨「茗と話したくて・・・待ってたんだ」
卯月 風磨「メッセージも既読のままだし」
楪原 茗「ごめん、ちょっと疲れてて・・・」
楪原 茗「また連絡するから、今日は帰って」
卯月 風磨「・・・誤解だから」
楪原 茗「え?」
卯月 風磨「キスのこと・・・」
卯月 風磨「茗が思ってるような関係じゃないよ」
楪原 茗「・・・」
楪原 茗「疑ってる理由は、それだけじゃないよ」
卯月 風磨「え?」
楪原 茗「他に隠し事してない?」
卯月 風磨「して・・・ないよ」
楪原 茗「じゃあ、これは何?」
卯月 風磨「これ・・・!どこでこれを!?」
楪原 茗「そんなの今はどうでもいいでしょ!」
楪原 茗「これも誤解だって言える?」
卯月 風磨「これは・・・その・・・」
卯月 風磨「ごめん・・・」
楪原 茗「ごめんって何が?浮気したこと?」
卯月 風磨「違う!これは・・・事故なんだ」
楪原 茗「事故?何言ってんの?」
卯月 風磨「部下と飲みに行ったんだけど」
卯月 風磨「飲み過ぎて、気づいたらその子の家にいて・・・」
楪原 茗「そんな言い訳が通用すると思う?」
卯月 風磨「信じてくれ!本当なんだよ・・・」
楪原 茗「まさかこの人・・・この前キスしてた人と同じ人?」
卯月 風磨「うん・・・」
楪原 茗「何それ・・・」
楪原 茗「もう確定じゃん」
卯月 風磨「違う!色々と事情があって・・・」
楪原 茗「何の事情よ!」
卯月 風磨「本当に覚えてないんだ。酔っぱらいすぎて」
楪原 茗「そんなにその女と飲むのが楽しかった?」
卯月 風磨「違う違う!そういうわけじゃ・・・」
卯月 風磨「とにかく浮気はしてない!信じてくれ」
楪原 茗「・・・」
楪原 茗「相手を信じられなくなったら終わり、か・・・」
卯月 風磨「え?」
楪原 茗「ちょっと色々一人で考えたい」
楪原 茗「今日は帰って」
卯月 風磨「・・・わかった」
楪原 茗「っ・・・」
〇大会議室
刑事「まったく、世の中不倫だらけだな」
刑事「楪原は、圷津の遊び相手だったってわけですか」
刑事「それが、そういうわけでもなかったみたいだ」
刑事「え?どういうことですか?」
刑事「事件の1週間ほど前、街中で圷津と再会したらしい」
刑事「その時にしつこく復縁を迫られたそうだ」
刑事「まさか圷津は本気だったってことですか!?」
刑事「そのようだな」
刑事「「妻とは離婚する」と言ってたそうだ」
刑事「浮気相手に本気になっちゃったパターンか」
刑事「でも楪原は、話に取り合わなかったそうだ」
刑事「それ以来、圷津には会ってないらしい」
刑事「事件当日の楪原のアリバイはどうでした?」
刑事「一人で家にいたらしい。証明できるやつはいないが」
刑事「楪原はシロですよ」
刑事「現場検証でも不審な点は特にありませんでしたし」
刑事「この事件、無理心中で確定ですよ」
刑事「・・・あのタレコミが気になる」
刑事「ああ。「楪原茗は人殺しだ」ってやつですね」
刑事「あれは女の声だった」
刑事「楪原に恨みを持ったやつの悪戯じゃないですか?」
刑事「・・・」
〇シックなバー
楪原 茗「あー!おいしい〜!」
三琴 恭弥「そろそろ店閉めるよ」
三琴 恭弥「他のお客さんも帰ったし」
楪原 茗「まだいいでしょ!付き合ってよ」
三琴 恭弥「ほら、お水飲んで」
三琴 恭弥「飲み過ぎだって」
楪原 茗「いいでしょ!飲んでなきゃやってらんないんだもん!」
三琴 恭弥「・・・」
三琴 恭弥「楪原さん、いつもがんばってるもんね」
楪原 茗「そう!がんばってるの・・・」
楪原 茗「なのに何で・・・こんなことに・・・」
楪原 茗「私が何したっていうわけ・・・」
楪原 茗「っ・・・」
三琴 恭弥「・・・」
三琴 恭弥「ねぇ、お腹空いてるでしょ」
楪原 茗「え?」
三琴 恭弥「ちょっと待ってて」
楪原 茗「あ、ちょっと・・・!」
三琴 恭弥「お待たせ。はい」
楪原 茗「これは?」
三琴 恭弥「裏メニューの特製うどん」
三琴 恭弥「人間、どんな時でも腹は減るからね」
三琴 恭弥「まずは腹を満たさないと」
楪原 茗「いただきます・・・」
楪原 茗「何これ・・・すごくおいしい・・・」
三琴 恭弥「でしょ?俺の自信作」
三琴 恭弥「涙とともにパンを食べたものでなければ、人生の味はわからない」
楪原 茗「え?」
三琴 恭弥「ゲーテの言葉だよ」
三琴 恭弥「泣きながら飯を食ったことがある人は、この先何があっても大丈夫」
三琴 恭弥「またうどん食いたくなったら、いつでも作ってあげるよ」
楪原 茗「っ・・・」
楪原 茗「ありがとう・・・」
〇電脳空間
ねぇ、約束覚えてる?
約束?
全部終わったら、一緒に暮らそうって言ってたでしょ。
ああ、そうだったね。
君には感謝してるよ。本当に。
期待以上の働きをしてくれた。
ふふっ・・・うれしい。
ねぇ、大好きだよ。
ありがとう。
さあ、これが最後の仕事だ。
期待してるよ。
〇一人部屋
卯月 風磨「やっぱりちゃんと姫島さんと話そう」
卯月 風磨「ん?メールか?」
卯月 風磨「姫島さんからだ」
卯月さん、今まで色々とすみませんでした。
あの日あったこと、きちんとお話しします。
これから私の家に来てくれますか?
これが最後のお願いです。
卯月 風磨「・・・」
卯月 風磨「これで終わりにしよう」
〇マンションの共用廊下
刑事「ここか」
刑事「警察です!開けてください!」
刑事「いないんですかね・・・」
刑事「鍵が開いてるな」
刑事「よし。入って確かめるぞ」
〇ファンシーな部屋
刑事「警察です!誰かいますか?」
刑事「これって・・・!」
〇血しぶき
そこには、腹部から血を流した姫島が倒れていた。
〇ファンシーな部屋
刑事「死んでるな・・・」
刑事「誰かいるのか!?」
卯月 風磨「うわっ!誰ですか!?」
刑事「捕まえろ!」
刑事「はい!」
卯月 風磨「いててっ!」
卯月 風磨「違う!俺じゃない!」
刑事「話は署で詳しく聞いてやる」
刑事「ほら、連れていけ!」
〇中規模マンション
吉瀬 恵梨香「うわっ!すごい人だかり・・・」
吉瀬 恵梨香「こっち、近道なんだけどな・・・」
吉瀬 恵梨香「何かあったんですか?」
女性「殺人よ、殺人!」
吉瀬 恵梨香「え!?」
女性「人が死んでたみたい。若い女性らしいわ」
女性「怖いわね〜」
女性「犯人、捕まったのかしら」
女性「ほら、あの人じゃない?」
吉瀬 恵梨香「あれって・・・」
卯月 風磨「俺はやってない!俺じゃない!」
吉瀬 恵梨香「風磨君!?」