第九話「獣人科学者」(脚本)
〇開けた交差点
ある少し曇った昼下がり──
甘音主乃「パットロール、パットロール♪」
甘音主乃「お? あれどうしたんだろ?」
何かを見つけたのか、公園に入っていく。
〇公園のベンチ
甘音主乃「ねぇねぇ、大丈夫?」
と、声をかけたのは──
白猫の獣人。
猫野先都「うおっ! なんだいね? キミ・・・」
甘音主乃「俺は甘音主乃。ヒーロー団体を立ち上げて活動してる学生だよ」
甘音主乃「キミこそどうしたの? なんかスッキリしないお顔だねぇ」
猫野先都「私は猫野先都。 個人で研究をしてる者だよ」
猫野先都「本来の夢は「教師」なんだけど、この”獣人”とか言う不利なステータスの所為で落とされてばっかなんだよ」
甘音主乃「そりゃあ大変だね・・・って、お?」
こんにちは、甘音さん。
甘音主乃「あっ! 教頭先生じゃんか、こんにちは〜」
猫野先都「キ、キミの? こんにちは・・・」
教頭)そこの方は?
甘音主乃「さっき出会ったんだけど、獣人ってだけで教師の夢を叶えられないんだって」
猫野先都「そ、そんな感じです・・・」
教頭)ならば、ウチの学校で一度授業をしてみないかい? もちろん、生徒と教師の前でね。
猫野先都「えっ?! いいんですか?」
教頭)ああ、もちろんだとも。そこで教師陣と生徒に満足してもらえるような授業をできたらウチの教師をさせてあげよう。
教頭)科目は何かね?
猫野先都「理科です! 全般いけます!」
甘音主乃「すごっ! つか、先生太っ腹ね〜」
教頭)はははっ! 夢を追いかけるのは楽しいだろう? それは大人も子供も一緒だ。
教頭)大人だからといって、夢を追いかけることを諦めるべきではない。いつだって、どんな時だって挑戦し続けるのが大切なんだ。
こうして、急遽だが明日、生徒たちの目の前で先都が授業をする事になった。
もちろん、その場に俺もいる。