ストレンジャー・ダディ 〜メビウスの絆〜

松田エルナ

第10話 『俺たち』は(脚本)

ストレンジャー・ダディ 〜メビウスの絆〜

松田エルナ

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〇お嬢様学校

〇高い屋上
ノイマン所長「死して『マザー』となれ」

〇お嬢様学校
遥太(ようた)「いまの音・・・!!」

〇黒
  ──20分前

〇高速道路
???「おらららぁぁぁ!!!」
???「うわあぁああ!!?」
遥太(ようた)「カオル、安全運転してよ!!」
カオル「急げっつったのはお前ぇだろ!?」
カオル「ったく、いきなり呼びつけやがって」
カオル「・・・何の用だか知らねえけどよ」
遥太(ようた)「ごめん、カオル・・・」
遥太(ようた)「今は説明してる時間がないんだ!」
カオル「わ〜ってるよ」
カオル「大事な用事なんだろ?」
遥太(ようた)「・・・うん」
カオル「・・・」
カオル「つかまってろ!! もっと飛ばすぜ!!!」
遥太(ようた)「ええ!!? もっと!!?」

〇黒背景

〇寂れた雑居ビル
  ──さらに3時間前

〇古書店

〇黒

〇古書店
遥太(ようた)「くそっ・・・!!」
遥太(ようた)「あと少し・・・あと少しなのに!!」
遥太(ようた)「・・・」

〇低層ビルの屋上
絢斗「・・・」

〇低層ビルの屋上
エーファ「歴史を変えることはできません・・・」
エーファ「残酷な『運命』のように」

〇血しぶき
  ヨータさんは・・・
  明日、イオさんを殺します

〇低層ビルの屋上
絢斗「・・・」
絢斗「遥太・・・」
絢斗(あと3時間・・・)
絢斗(本当に遥太が・・・?)
遥太(ようた)「あっくん・・・」
遥太(ようた)「手伝ってほしいことがあるんだ」
絢斗(それなら、いっその事ここで・・・!)

〇低層ビルの屋上

〇低層ビルの屋上
絢斗(いや・・・それすらムダなんだ)

〇古書店

〇田舎の学校

〇古いアパートの部屋

〇低層ビルの屋上
絢斗「・・・」
絢斗(ちがう、そうじゃない・・・)
絢斗(俺は・・・何を・・・)
遥太(ようた)「・・・」
遥太(ようた)「あっくん」
遥太(ようた)「──あきらめたの?」
絢斗「・・・」
絢斗「え・・・?」
遥太(ようた)「昨日の話・・・」
遥太(ようた)「聞かせてもらったよ」

〇低層ビルの屋上

〇低層ビルの屋上
絢斗「・・・」
絢斗「な・・・」
遥太(ようた)「あっくんが『どこ』から来て・・・」
遥太(ようた)「何をしようとしてたのか・・・」
遥太(ようた)「もう、全部知ってるよ」
絢斗「なん・・・だと?」

〇平屋の一戸建て
  10年前・・・
  なんで見ず知らずの僕を
  命がけで助けてくれたのか

〇古いアパートの部屋
  そして、自分の息子にしてくれたのか

〇低層ビルの屋上
遥太(ようた)「ずっと不思議に思ってた」
遥太(ようた)「きっと何か『理由』があるんだって」
絢斗「・・・」
遥太(ようた)「でもさ・・・」
遥太(ようた)「いまならわかるよ」
遥太(ようた)「『理由』なんか なかったんだって」
絢斗「・・・」
遥太(ようた)「たしかに あっくんが僕の前に現れたのは・・・」
遥太(ようた)「僕を『殺す』ためだったのかもしれない」
遥太(ようた)「でも、あのとき・・・ あっくんはそうしなかった」
遥太(ようた)「僕のことを信じてくれたんだ」
遥太(ようた)「きっとそこに理由なんかない」
遥太(ようた)「ちっとも科学的じゃないけどさ」
絢斗「遥太・・・」
遥太(ようた)「頭が良くて 何でもすぐ答えを出せるのに・・・」
遥太(ようた)「それでも不条理なことは許せなくて・・・」
遥太(ようた)「頑固で・・・」
遥太(ようた)「でもそれがかっこよくて・・・」
遥太(ようた)「そんなあっくんみたいになりたかった」
遥太(ようた)「ずっとその背中を 見て育ってきたんだ」
遥太(ようた)「がっかりさせないでよ」
絢斗「そうか・・・全部」
絢斗「10年間も・・・すまなかった」
遥太(ようた)「謝らないでよ」
遥太(ようた)「僕は・・・」
遥太(ようた)「あっくん・・・父さんの息子でよかった」
絢斗「遥太・・・」
絢斗「すまない・・・俺は・・・!!」
絢斗「エーファとの話を 聞いていたならわかっただろ!?」
絢斗「全部・・・ムダなんだ」
絢斗「俺が何をしようと・・・ どうあがこうと・・・!」
絢斗「初めから・・・」
絢斗「俺には・・・!」
絢斗「どうすることもできなかったんだ!!」
遥太(ようた)「ふざけんなよ!!」
絢斗「・・・!!」
遥太(ようた)「『不条理は否定』するんじゃ なかったのかよ!!?」
遥太(ようた)「『俺には』どうすることも できないだって!!?」
遥太(ようた)「もう、あっくんは・・・」
遥太(ようた)「一人じゃないだろ!!」
絢斗「・・・!!」
遥太(ようた)「『僕たち』二人なら絶対に・・・!!」
遥太(ようた)「この不条理を否定できる!!」
絢斗「遥太・・・」
絢斗「・・・!!」
絢斗「まさか・・・」
絢斗「その言葉で目が覚めるとはな」
絢斗「やっぱり・・・俺の息子だな」
遥太(ようた)「あっくん・・・!」
遥太(ようた)「そうだ、手伝ってほしいことがあるんだ!」
遥太(ようた)「もう時間がない! 早く!」
絢斗「な・・・なんだ?」

〇古書店
遥太(ようた)「これ・・・」
絢斗「・・・!!」
絢斗「こ、これは・・・!!」
絢斗「まさかこれがこんなところに・・・」
絢斗「遥太、お前 こんなものを一人で・・・」
遥太(ようた)「伊達にあっくんの息子やってないよ」

〇古書店

〇古書店
絢斗「そうか・・・ エーファが言っていたのはこれか」
絢斗「これさえあれば、あるいは・・・!!」
遥太(ようた)「あとはシステムアクティベートと 最終調整だけなんだけど」
遥太(ようた)「うまく行かなくて・・・」
遥太(ようた)「仕上げは『生みの親』に お願いしていいかな」
絢斗「・・・ああ!!」
絢斗「ちょっと待ってろ! 着替えてくる!」
遥太(ようた)「え?」
絢斗「よし!」
絢斗「これが一番調子が出るんだ」
遥太(ようた)「・・・!!」
遥太(ようた)(やっぱり、あっくんは白衣姿が 一番かっこいいや)
絢斗「どうした?」
遥太(ようた)「なんでもない! 急ごう!!」
絢斗「おう!!」

〇黒背景

〇古書店
遥太(ようた)(すごい・・・!!)
遥太(ようた)(さすがあっくん)
絢斗「よし・・・!」
絢斗「あとは境界場スラスターの キャリブレーションだけだ!」
遥太(ようた)「それは僕がやっておく!」
遥太(ようた)「あっくんは早くイオのところへ!! もう時間がない!」
絢斗「しかし・・・!」
遥太(ようた)「これが終わったら 僕もすぐに追いつくから!」

〇黒背景

〇名門校の校門(看板の文字無し)
カオル「しゃあっ!! 着いたぜ遥太!!」
遥太(ようた)「ありがとう、カオル!!」
カオル「なあ、こんな深夜の学校に 何の用だってんだ?」
遥太(ようた)「ごめん・・・!! もう行かなくちゃ!!」
カオル「まったく・・・ 色男は忙しいな」
遥太(ようた)「カオル・・・」
遥太(ようた)「これを受け取ってほしい」
カオル「あん? 手紙・・・か?」
カオル「なんだ改まって、気持ち悪ぃな」
遥太(ようた)「あとで読んで! それじゃ、ありがとう!!」
カオル「お・・・おう」
遥太(ようた)「カオル!!」
カオル「あ!? なんだよ」
遥太(ようた)「僕たちさ・・・ ずっと親友だよ!!」
カオル「あん・・・!? な・・・お前ぇ」

〇田舎の学校

〇土手

〇名門校の校門(看板の文字無し)
カオル「ふっ・・・」
カオル「なに当たり前ぇのこと言ってんだ!? バーーカ!!」
カオル「じゃあ、また明日な!!」
遥太(ようた)「うん・・・」
遥太(ようた)「・・・」
遥太(ようた)「・・・急がなきゃ!!」

〇お嬢様学校
遥太(ようた)「・・・!!」

〇学校の廊下
絢斗「イオ姉ちゃん!! 頑張れ!意識を保つんだ!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「せ・・・ん・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「あっく・・・ん?」
絢斗「クソクソクソっ!!!」
絢斗「弾丸は腹部を貫通・・・」
絢斗「出血量が多すぎる!! このままじゃ・・・」
???「あっくん!!イオ!!」
絢斗「遥太!!」
遥太(ようた)「イオ・・・?」
遥太(ようた)「イオ!!イオ!!!」
遥太(ようた)「嘘だっ!!! 目を開けてよ!!!」
絢斗「大丈夫だ!! まだ意識はある!!」
絢斗「早くここから連れ出して 治療しないと・・・!!」
絢斗「そのためには・・・」
???「おや・・・」
ノイマン所長「ここにいたのかね、Mr.トキトウ」
ノイマン所長「すぐに火が回って逃げられなくなるぞ」
ノイマン所長「自慢の『息子』もお揃いか」
遥太(ようた)「こいつがイオを・・・!!」
ノイマン所長「キミには用はないんだ」
ノイマン所長「大人しく彼女を渡してもらおうか」
ノイマン所長「そして、一緒に『行こう』Mr.トキトウ」
ノイマン所長「キミには協力してもらいたいことがある」
絢斗「断る・・・!!」
ノイマン所長「そうか・・・」
ノイマン所長「力づくで、というのは 私のポリシーに反するのだがね」
絢斗「遥太!! 『あれ』は持ってきたな!?」
遥太(ようた)「もちろん!!」
絢斗「俺に考えがある!!」
絢斗「絶対にイオ姉ちゃんを助けるぞ!!」
遥太(ようた)「うん!!」
絢斗「俺は・・・」
絢斗「いや、『俺たち』は──!!」
「この不条理を否定する!!!」

次のエピソード:第11話 マイ・ストレンジャー・ダディ

コメント

  • うぉおおおおおおおおぉぉー!!!!!(´;ω;`)
    胸熱!!展開なのと、もう涙がっ!!!!!!!!!!

    うぉおぉおおおおおおおおおお!!!!!!!
    涙ポロポロ!!!!(´;ω;`)しております!!!!(´;ω;`)

  • 「俺」が「俺たち」になりましたね!遥太の行動もセリフも胸アツでした!
    遥太と絢斗はどうやってイオを守るのでしょうか?
    そしてカオルいい子!あの手紙の内容も気になります……🤔

  • 1人では厳しくてもこの親子なら…何とかできるのでしょうか!? しかし、遙太はこの若さですごいですね。やはり天才です。カオルくんとの友情もとてもよかったです。若い力が活躍する回でもありましたね。

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