リクガメのみそしる

こへへい

文化祭準備編、その2(no side)(脚本)

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〇古い図書室
  問題
  凪カイトは、今年の文化祭のウミガメ部の催しとして、去年執り行われていた、ウェブサイト上のウミガメのスープを想定している。
  しかし、その催しを行うためには、カイトには何かが足りないのだという。それはなんだろう?
凪カイト「問題を文にしたはいいが、不慣れな二人にはどう進行すればいいのか分からないと思う」
凪カイト「なので、ウミガメのスープのコツを紹介しながら、問題の進行をしたいと思う。いいな」
瀬川桃子「ええー、もう普通に教えてくれません?」
凪カイト「駄目だ、考える力を養う訓練とでも思ってくれ」
瀬川桃子「聞く耳持たないなぁ、」
凪カイト「まず、前提の把握だ。どんな前提に基づいて考えればいいのかを確定させる必要がある」
凪カイト「「まず」と言ったが、ウミガメのスープはこの前提条件を徐々に明らかにしていく作業と言ってもいいだがな」
瀬川桃子「前提と言いましても、どんな前提を確認すればいいのかが分からなかったら、進みようがないじゃないですか?」
凪カイト「別に質問に制限を設けている訳じゃないから、いくらでも質問してくれていいぞ?」
凪カイト「ちゃんと「はい」か「いいえ」で答えられる質問である必要はあるがな」
浅田星「現実で起こるのか、とかそうだよ」
凪カイト「そうそうそんな感じ。ってそれを聞けよ」
浅田星「ああ、そうだったそうだった」
浅田星「Q1:現実で起こるのか?」
凪カイト「はい、だ」
瀬川桃子「ああ、そんな感じなんですね」
  桃子はそう呟くと、ディスプレイの問題文を眺める。
瀬川桃子「んー、足りないもの、」
瀬川桃子「Q2:それは、お金ですか?」
凪カイト「いいえ、だ。そして見事に初心者にありきたりな質問をしてくれたな」
瀬川桃子「ええ、そうなんですか?」
凪カイト「前提の把握、というと結構抽象的な言葉だから分かりにくかったと思うから、もう少し具体的にいうぞ」
凪カイト「例えば、「アップルパイに使われるフルーツって何?」という問題があったとするだろ?」
瀬川桃子「リンゴですね」
凪カイト「・・・」
凪カイト「そうだな、リンゴだ。確かに正解だ」
凪カイト「しかし、フルーツなんてこの世にいっぱいある」
凪カイト「リンゴのように赤いのもあれば」
凪カイト「パイナップルみたいに、同じく丸い形でも黄色いものもある」
凪カイト「そして同じ黄色でも、形状が異なるバナナがあったりと、様々だ」
瀬川桃子「ああ、そういうことですか」
瀬川桃子「私が「リンゴ」という答えが分からない場合、」
瀬川桃子「その答えを導くために投げかける質問は」
瀬川桃子「「それは丸いか?」とか「それは赤いか?」となった方が良いんですね」
浅田星「なるほど、それがカイトの言っていた「前提の把握」ってやつなんだな」
凪カイト「その通り。さて、それを踏まえて、今の問題で、把握すべき前提は何だろう?」
凪カイト「別に僕が今想定している内容でなくてもいい」
瀬川桃子「んーー、」
瀬川桃子「Q3その必要なものって、高価ですか?」
凪カイト「ふむ、高価、というのは難しいな」
凪カイト「わからない、と答えよう」
凪カイト「しかし悪くない質問だ。少し狭いものの、前提というのをちゃんと把握しようとすることができている。素晴らしいぞ」
瀬川桃子「えへへ、褒められた」
浅田星「Q4それって、触れるものなのか?」
凪カイト「それは「いいえ」だ! いい質問だ!星お前筋がいいぞ!もう入部しろよお前!」
瀬川桃子「え、あれ、私と反応全然違くないですか?」
浅田星「あっはっは!褒められてしまったな!」
瀬川桃子「うぐぐ、浅田先輩、油断できない人ですね」
瀬川桃子「っていうか、私の質問で「わからない」って言ってましたけど、それってありなんですか?ブーブー」
凪カイト「アリだ。高価というのは、どこまでが高価なのか判別することはできないからな」
凪カイト「それに、ウミガメのスープとは本来回答者に楽しんでもらうためのエンターテイメントなんだ」
凪カイト「なのに質問を本当に「はい」か「いいえ」だけで答えると、問題を解くことそのものが疲れてしまう」
凪カイト「だから今の僕の立場である「出題者」は、臨機応変に情報を開示するんだよ」
瀬川桃子「相談に乗ってもらう時に、「はい」か「いいえ」以外のことを言うと狼狽するくせに」
凪カイト「あれは僕のスタイルだからな、ゲームで言うと縛りプレイみたいなもんだ」
瀬川桃子「今まで真面目に聞いてなかったんですね・・・」
浅田星「まぁこれで勝手が分かったんだ、ここからが本番だってことだ」
瀬川桃子「そ、そうですね」
凪カイト「さ、 現実で起こることも分かった、 高価かどうかは分からなかった, お金でもないことも分かった 触れないことも分かった」
凪カイト「次はどんな質問をする?」
瀬川桃子「はい! Q5:それは、形がありますか?」
凪カイト「いいえ、だ。 なかなかいい質問するじゃないか桃子、お前もコツをつかんできたな」
瀬川桃子「へっへーん♪」
浅田星「形がない、か Q7:概念的なものなのか?」
凪カイト「いいえ、だ。概念ではない」
浅田星「んー、去年の文化祭に参加していないから、イマイチイメージが掴みづらいな」
浅田星「桃子ちゃん、去年の文化祭のウミガメ部って、どんなことをしていたんだ?」
瀬川桃子「去年の文化祭、ですか」
瀬川桃子「・・・」
凪カイト「どうした?顔色悪くして」
瀬川桃子「いえ、大丈夫です」
瀬川桃子「あ!そ、そういえば、QRコードでウミガメのスープをするサイトにアクセスしてましたよ」
瀬川桃子「去年のパンフレットに載っていまして、規定の時間になったら出題開始!って感じでした!」
浅田星「そうか、なら Q8:QRコードがないんじゃないのか?」
凪カイト「いいえ、だ。去年配られたなら普通なくさないさ」
凪カイト「これがそのパンフレットで、中にQRコードが載っている」
  星がペラペラとページをめくると、ウミガメ部の紹介記事があり、そこにはQRコードが掲載されていた。
凪カイト「で、スマホで読み取ると」
  カイトのスマホに、去年のウミガメのスープのやり取りが表示される。
浅田星「本当だ、てかスマホでもできるのな。すごいなそのサイト」
凪カイト「今はどんなサイトでも、スマホとパソコン両方に見られることを想定して作られているんだと。レスポンシブっていうらしい」
凪カイト「そしてサイトのURLが分かれば、QRコードなんて今では簡単に作れるんだ。だからQRは本質じゃないよ」
凪カイト(ちょっとヒント出しすぎたかな)
浅田星「でも、待てよ?ウミガメのスープの問題を出題するだけなら、別に簡単じゃね?」
瀬川桃子「そうですよ!いつもみたいにサイトに投稿して、そのURLでQRコード作ればいいじゃないですか!」
瀬川桃子「破綻してますよ!破綻!インチキ問題!」
凪カイト「・・・」
凪カイト「そう、だな。確かに現状、問題を出すまでは、できる」
凪カイト「だが、文化祭で出し物を催す場合、それだけでは駄目なんだ」
瀬川桃子(文化祭で出し物を催すだけじゃ、足りない、それって、)
浅田星「Q7:利益、か?現状、利益を出すことができない状態、なのか?」
凪カイト「流石は旅人でありアルバイター、その通り」
凪カイト「この学校の文化祭では、利益を出すことができる」
凪カイト「ま、学校に徴収されてしまうがな。だが、ちゃんと得もあったりするんだよ」
凪カイト「「活動実績」としてな」
瀬川桃子「あー、ウミガメ部の活動実績ってどうなってるのかと思ってましたけど」
瀬川桃子「文化祭で実績を上げていたんですね」
凪カイト「そう。だがその活動実績にするための利益を、今は出すことができない」
浅田星「へぇ、結構近づいてきたじゃん?」
浅田星「つまり、問題を出題することそのものじゃなくて、」
凪カイト「文化祭での利益の出し方について考えるほうが良いってことだな」
瀬川桃子「私あの文化祭で、ウミガメ部にお金を払った覚えないんですよね。ただQRコードを読み取って、それで問題に臨んだだけですので」
浅田星「ってことは、どうやって利益出してたんだよ?」
凪カイト「「はい」か「いいえ」でしか答えられない質問でないと答えられないな」
瀬川桃子(お客さんがお金を渡して、それでお金を得るのが普通なはず。だけど、お金渡した覚えなんてないしなぁ、うーん、)
凪カイト「ウミガメのスープのもう一つのコツを教えておくと、自分の常識に囚われないことだ」
凪カイト「「そうであるに決まっている」そんな先入観があると、いつまで経っても答えにたどり着くことはできない」
瀬川桃子(先入観・・・)
瀬川桃子「Q8:プレミア会員がいたんですね!彼らからお金をせしめた!」
凪カイト「せしめた言うな!サブスクリプションって言ってあげて! それにこのサイトにプレミア会員なる制度は無い!」
浅田星「Q9:なら、広告収入で、お金を貰っていたんじゃないか?」
瀬川桃子「あ!なるほど!」
凪カイト「イエスだ。そろそろ見えてきたんじゃないか?」
瀬川桃子(広告収入でお金を得て、それが活動実績になっていた、しかし利益を出すことが現状できない)
瀬川桃子「それって・・・!」
瀬川桃子「Q10:サイトを運営することで広告収入を得られる権利そのものが、去年はあったのに」
瀬川桃子「今は、ない?」

〇古い図書室
凪カイト「・・・そう、」
凪カイト「現状のウミガメ部には、このサイトを、」
凪カイト「ウミガメ部が作ったこのサイトを運営する権利がない」
凪カイト「何故なら、」
凪カイト「先代部長が、去年の文化祭の正解特典として、サイトの権利を明け渡してしまったんだから」

〇古い図書室
浅田星「はぁ!?」
瀬川桃子「明け渡した!?」
  続く

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