エピソード2 目覚め。(脚本)
〇ゆるやかな坂道
生人「やばいやばい! 遅刻だ、遅刻だ!!」
生人「このまま遅刻だと、先生の前の特別席に移動させられる!」
生人「だけどこのままじゃ間に合わないし・・・」
生人「仕方ない! こうなったら裏道だ!」
生人(けど、あそこの坂道はしんどいんだよね・・・)
〇神社の石段
生人「はぁ、はぁ!」
生人「こ、この石段を登りきってフェンスを越えれば!」
ふと生人の身体に力がこもった
生人「うおおおおっ!?」
生人の身体は宙に投げ出された。
〇田舎の学校
生人「うおおおおぉっ!?」
生人「痛てー!!」
生人「あー!痛っ! 何が起きたんだ?」
生人は強くついた尻を擦る。
生人「いけねぇ!遅刻遅刻!」
〇教室の教壇
先生「さてと・・・生人は・・・遅刻だな」
正雄「先生、まだ予鈴です!」
駿斗「生人が始業に間に合ったら今週宿題は無しの約束守ってくれよ!」
先生「あぁ、分かっているが・・・」
先生「残りは1分流石に・・・」
生人「ギリギリセーフ!!」
先生「生人!?」
駿斗「やりー! 生人、間に合った!」
正雄「これで宿題はなしですね!」
先生「・・・む・・・。 仕方ない・・・」
生人「俺も特別席への移動は無しだよね、先生!」
先生「だが、生人!」
生人「はい?」
先生「遅刻が続いた罰だ。 化学準備室の掃除だ」
生人「えー! 先生、勘弁してよ!」
〇理科室
生人「くそー!せっかく遅刻回避したのに! こんな端の一番上の部屋なんて誰も来ないから汚いっての!」
柊「汚くないし、使う人は居るわよ」
生人「生徒会長!? なんでこんなところに!?」
柊「あなたこそ。 なんで文句言いながら部屋掃除してんの?」
生人「遅刻の罰。 間に合ったのに」
柊「そ。 それならちゃんと掃除してね」
柊「私はここ、 一人になれるから良く使うから」
生人「なーんで怒られなきゃいけないんだよ!」
柊「何かしら?」
生人「うわっ! 生徒会長!やばいよ!」
〇理科室
生人「火事だ!? 廊下が燃えている!」
柊「落ち着きなさい。 まずは煙を吸わないように」
生人「う、うん」
柊「この部屋は最上階の隅で廊下がだめなら逃げ道はないわ」
柊「だけど、燃え移るものも少ないの。 部屋のベランダで姿勢を低く・・・」
生人「なんか、物凄い炎が暴れてますけど!?」
柊「とにかくベランダに出るわよ!」
〇団地のベランダ
柊「とりあえず、ここで身体を屈めて」
生人「わ、分かったけど」
柊「きゃ!」
生人「か、傾いてきた」
先生「おーい!生人!柊!!」
〇体育館の屋上
先生「生人!柊! 消防車が来るまで、あと少しだ! 頑張れ!」
駿斗「ヤバいぞ、生人が落ちる!」
正雄「駿斗!そんなこと言うなよ!」
正雄「生人!あと少しだけ頑張ってくれ!」
檸檬「なんで柊があんなところに?」
蜜柑「あのままじゃ、柊が危ないよ!」
〇団地のベランダ
ベランダのきしみは大きくなり徐々に二人の足場は傾く。
柊「きゃっ!」
生人「まずいよ、まずいよ!」
生人(消防車の音も聞こえない。 このままじゃ、落ちるだけ・・・)
〇体育館の屋上
生人「あそこに、体育館の屋上へ飛べれば・・・。 10メートル位かな・・・?」
生人「・・・・・・普通は届かないけど・・・」
〇神社の石段
生人「朝みたいに跳べれば・・・」
〇団地のベランダ
柊「もうだめ・・・もうだめかな・・・」
柊「きゃあ!もう嫌!」
炎も広がり、傾きも限界に近い。
生人「もう!やってみよう!!」
柊「何?どうした?」
生人「行こう!生徒会長!」
柊「駄目よ、熱さに負けて飛び降りたら!そういう事故が一番多いのよ!」
生人「違う!飛び降りない!」
生人「『飛び移る』!!」
柊「飛び移る!? 待って!体育館までどれくらいあると思って!?」
生人「手を繋いでてよ!」
生人(やるぞ、やるぞ!もうやるぞ!!)
生人「それー!!」
柊「嘘でしょ〜!?」
〇体育館の屋上
生人「うおおおおおおぉ!」
柊「きゃあああああっ!!」
生人「届けー!!」
〇体育館の屋上
生人「・・・・・・・・・っ?」
生人「・・・やった! やったよ、生徒会長! 上手くいった!」
柊「い、生きてたのね。私」
先生「生人!柊!無事か!?」
生人「先生!無事だっだよ!俺たち!」
柊「あんた!足!」
生人の左足。
足の裏から甲に向かって小さい釘の様な金属が打ち抜いていた。
生人「ん?」
生人「あ、あれ?」
生人「痛い!痛いよ!!痛い! これはヤバイよヤバイよ!」
先生「お、落ち着きさない!直ぐに救急車も来るから!」
〇体育館の裏
火の男「・・・・・・ちぃ」