〇オフィスのフロア
　　──休憩中
同僚さん「課長から「わらび餅」頂いたよー！ 出張のお土産だって」
ミチル「やったー、わらび餅！ 私、大好きなんですよ!!」
同僚さん「このプルプルモチモチの食感、最高よね！」
同僚さん「でもさー、わらび餅の原材料って、 あの山菜のわらびだよねっ？ アレがこんなスイーツになるのって衝撃!?」
ミチル「あー・・・ 元々はわらびの根のデンプンから作られた みたいですけど、今ではほとんどのものが 芋のデンプンで作られてますよ」
同僚さん「知らなかった！ わらびを使ってないんだったら、 「わらび餅」って名乗らないでよね！」
同僚さん「おイモが原材料だったら、 「イモ餅」って言ったほうがよくない!?」
ミチル「「イモ餅」は別にありますよね・・・ とっても美味しいモノが！」
同僚さん「あっ・・・」
　　わらび餅に限らず、
　　諸事情で名前と実態が解離してしまった
　　ものは色々と存在している。

〇飲み屋街
　　そんな会話をしたせいか、
　　名前とのズレがあるあの食べ物を
　　食べたくなってしまった・・

〇大衆居酒屋（物無し）
ミチル「ぷはぁー！ 今日もビールは最高っ！」
　　お目当ての料理への臨戦態勢は整った。
　　そして・・・
お店のスタッフさん「お待たせしました～」
お店のスタッフさん「室蘭やきとりでございます～」
ミチル「コレコレっ!! 豚肉なのに「やきとり」を名乗る不届者！」
ミチル「熱いうちに、いただきまーす！」
ミチル「んー、美味しー!! 香ばしく焼けた豚肉と玉ねぎ、 そして甘じょっぱい濃厚なタレ！」
ミチル「そこにカラシの刺激が加わって、 口の中は暴力的な味でいっぱい!!」
ミチル「口の中のクールダウンにはもちろん・・・」
ミチル「んー、たまらない!!」
ミチル「さらに、室蘭やきとりといえば、 これも欠かせないよね！」
お店のスタッフさん「ウズラ卵串でございます～」
ミチル「殻ごと焼き上げたウズラの卵！ 何度見てもインパクトがすごい！」
ミチル「ささっ、熱いうちにいただきまーす!!」
ミチル「やっぱ美味しい!! 殻の食感を経て、熱々で濃厚の卵の風味が ドーンとくる！」
ミチル「豚肉のやきとりも、ウズラの卵の串も、 昔っから食べられてるってスゴイよね!?」
ミチル「近年の地域おこしでよくある 無理やり作られた料理って訳じゃなく、 ちゃんと地域に根差した料理なんだよね！」
　　室蘭やきとりに豚肉が使用されるのは
　　戦前からの歴史がある。
　　戦前、この地域では養豚が盛んであり、
　　串焼きにも豚肉が用いられたことが
　　由来のようだ。
　　また、ウズラの卵についても、
　　昭和30年代に室蘭で飼育が開始され、
　　やきとりにも取り入られるようになった。
　　なお現在では、室蘭市は北海道内の
　　ウズラ卵のシェア100％となっている。
ミチル「地域文化とか歴史とか考えながらのお酒、 これってアリかもっ！ 今後も地域に根差したものを食わねば！」
ミチル「美味しかったー！ ごちそうさまっ！」
　　「地域文化」と大仰なことを口にするも、
　　所詮ウマいものを飲み食いする口実だろう
　　彼女へのそんなツッコミはご勘弁を^^;