青春盗聴譚

穂橋吾郎

エピソード1(脚本)

青春盗聴譚

穂橋吾郎

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〇住宅街の道
久保田光「・・・・・・」
久保田光「・・・ここか」
通行人「ふへへ・・・ヒック」
久保田光「・・・・・・」
久保田光「去った、かな・・・?」
  少年がトランシーバーのつまみをいじると、耳につけているイヤホンから音が漏れる。
「大丈夫、今日妻は近所の友達と旅行だから」
「でもやっぱり、お二人のベッドでは、あたし・・・」
久保田光「・・・・・・」
  ポチポチとスマホに文字を打っていく少年。
  『佐々部氏、ついに一線を』
「旦那様」
「春菜くん!!」
  トランシーバーからは、ベッドの軋む音。
  少年はさらにスマホに打ち込む。
  『一線を越えたww』
  ニヤリと笑う少年。

〇黒
  青春盗聴譚

〇田舎の学校

〇教室
横井元気「え〜、ここは大事なところだから、よく覚えておいて〜」
久保田光「ぐ〜」
横井元気「はぁ〜」
久保田光「え、なに!」
横井元気「く〜ぼ〜た〜、人の授業を子守唄代わりにするな〜」
  教師の言葉に、慌てふためく久保田光(くぼたひかる)。
「また寝てたのかよ」
「あたふたしてる、キモ!」
久保田光「あ、ご、ごめ、あ」
横井元気「じゃあ久保田、教科書46ページから読んでみろ〜」
久保田光「・・・・・・」
横井元気「おーい、久保田く〜ん?」
久保田光「あ、あの、ぼ、ぼく、おな、おな、おなか、おな」
横井元気「は?」
横井元気「え、ちょ、おーい!」
「・・・クスクス」
「あー、横ちゃんひっでー」
横井元気「え〜、俺のせいかよ〜」

〇まっすぐの廊下
久保田光「うう・・・」
  教室からは生徒の笑い声が漏れる。
「久保田くん泣いてるかもよー」
「そうそう、彼繊細なんだからさー」
「あれで泣かれたらどうしようもないだろ〜ハッハッハ」
久保田光「・・・・・・」

〇学校の廊下

〇教室
「おな、おな、おな、おなーー」
「いや、まじできっめぇわー」
「あたし、おな以外のあいつの声、聞いたことないわ〜キャハハ」

〇保健室
  ベッドでうずくまっている光。
  そのイヤホンからは声が漏れる。
「俺らゼッテーあいつとは友達なれんわ」
久保田光「・・・・・・」
  光、スマホの『聴察日記』に打ち込む。
  『盗聴されてるとも知らず、バカ丸出し。そんなバカと友達とかこっちから願い下げじゃボケww』
  何度も『w』を押し続ける光。
  布団をギュッと握りしめる。
  その時、光のイヤホンがスルリと外れた。
「イヤホンもーらった!」
久保田光「えっ」
「コラ、変態盗撮メィニアー!」
久保田光「うわっ、いてっ!」
  ベッドから転がり落ちる光。

〇黒
「ふっふっふ」

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