夏につむぐ春の希望

ぴー

【1】新しい命(脚本)

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〇アパートのダイニング
ナツ「どうしてあなたはこんなことも出来ないの!」
ナツ「何回同じこと言えば出来るようになるの!?アナタ高校の先生よねっ!!」
フユ「仕方ないだろっ!」
フユ「仕事で疲れてるし・・・」
フユ「そんな皿置く場所ひとつで大袈裟だろっ!!」
ナツ「だからやめてって言ってるでしょ!!」
ナツ「どうせ私に全部任せるつもりだからテキトーなんでしょ!!」
ナツ「ねぇ?フユくんは私が死んだらどうするの?一人で生きていけるの?」
フユ「俺だって努力してるんだよ・・・」
フユ「でも俺頭悪いから・・・」
フユ「けど少しずつ出来るようになってきてるだろ!!」
ナツ「はいはい、さすが体育教師ですねー」
ナツ「困ったら精神論ですかー」
ナツ「もしかしてフユくんが高校生に勉強教えて貰ってるとかー?」
ナツ「そんなお子ちゃまだから私の身体に負担がかかって・・・」
フユ「ナツ!!いい加減にしろよ・・・っ!!」
  (コンコン・・・ガチャ)
アキ「お二人さん。夫婦喧嘩はそこまで!!」
アキ「外まで丸聞こえで近所迷惑。あとカギ開けっぱ」
ナツ「アキちゃん!?」
ナツ「聞いてよ!フユくんが何もしてくれないの!」
ナツ「カギだって最後フユくんだし・・・」
フユ「なんだよそれ・・・」
アキ「はいはい、私の聞いていた感じだと2人とも悪い」
ナツ「そんな・・・」
ナツ「だってフユくんがしっかりしていれば・・・あんな事に・・・」
アキ「ナツ?落ち着きなさい?」
アキ「フユは悪い事してないよ?」
アキ「それに、そんなに怒るとフユは本当に何も出来なくなるよ?」
ナツ「・・・ごめんなさい」
アキ「謝る相手は私じゃない」
アキ「フユも自分に甘すぎ」
アキ「フユならもう少し上手く出来るだろ?」
フユ「ごめん・・・」
フユ「ナツもごめん・・・俺甘えてた・・・」
ナツ「ううん・・・」
ナツ「私も言い過ぎた・・・ごめん」
アキ「はい!仲直り!っと」
アキ「キミたち2人は昔から私がいないと出来ないねぇ」
フユ「そんな事ないって!」
フユ「俺らだってもう子供じゃないし!」
アキ「はいはい」
アキ「んじゃ大人の飲み物に付き合ってもらおうかな」
アキ「って事で・・・フユ!ワイングラス持ってきて!」
フユ「あいよー」
フユ「ったく、アキくんは相変わらず人使いが荒いなぁ」
フユ「とりあえず座って待ってて」
  持ってきた紙袋からワインを取り出すアキ
ナツ「・・・アキちゃん。そのワインって・・・」
アキ「あぁ・・・さすがだね・・・」
ナツ「今日・・・ダメだったんだね・・・」
ナツ「・・・ごめんね。アキちゃん・・・」
アキ「ナツが謝ることじゃないって・・・」
アキ「助産師って感謝される仕事って思って頑張ってるけど・・・」
アキ「泣かない赤ちゃん取り上げると今までの喜びが無くなるくらい辛いのな・・・」
アキ「その結果・・・アルコールに逃げるしかなくなって」
アキ「彼氏いない歴=年齢・・・」
アキ「こんな事なら学生時代もっと遊んどけば良かったなぁ」
ナツ「アキちゃん・・・」
フユ「お待たせ!ワイングラス持ってきたよ!」
フユ「あと適当につまみも持ってきた!」
アキ「おー!フユにしては気が利くじゃん!」
アキ「・・・って、グラス2つだけかよ?フユ禁酒中だっけ?」
ナツ「違うよアキちゃん。禁酒してるのは私なの」
ナツ「実は・・・」
フユ「赤ちゃん・・・できたんだ」
アキ「マジ!?」
アキ「やったな!おめでとう!私も嬉しいよ!」
ナツ「ありがとう!・・・今度は上手くいくと良いんだけどね」
アキ「大丈夫だって!上手くいくから!」
アキ「ったく、なのに2人はケンカしてたわけかい?」
フユ「ごめん・・・」
アキ「良いって!でもこんな事ならもっと良いワイン買ってくれば良かったなー」
アキ「そうだ!せっかくだからピザ頼もう!」
ナツ「良いね!アキちゃんに報告出来たしお祝いしなきゃね!」
アキ「ということで・・・フユ!注文任せた!!」
フユ「えー!またかよー!?」
アキ「そう言うなって!フユの好きなもん頼んで良いからさ!」
アキ「もちろん私がおごるから!」
フユ「へいへい、じゃあついでに飲み物も買ってくるよ」
アキ「サンキュー!」
アキ「ほい!2万あれば足りるっしょ?」
アキ「ついでにお高めのワインもヨロシクー!!」
フユ「お高めのって紙パックのだっけー?」
アキ「ビンな?間違っても紙パックの買ってくるなよ?」
フユ「分かってるって!相変わらず冗談言わないし通じないなー」
アキ「うるせー!お釣りは返せよ!!」
フユ「分かってまーす!んじゃ行ってくる!」
アキ「ったく、フユは相変わらずだな」

次のエピソード:【2】踏み出す1歩

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