【2】踏み出す1歩(脚本)
〇アパートのダイニング
ナツ「『ホントに昔から変わらないよね』」
ナツ「『でもアキちゃん・・・ホントに大丈夫なの?』」
アキ「『大丈夫大丈夫!』」
アキ「『私稼ぎは良い方だから!』」
ナツ「『いや・・・そうじゃなくて・・・』」
ナツ「『フユくんに注文任せたの不安しか無いんだけど・・・』」
アキ「『・・・確かに』」
アキ「『テンション上がりすぎて忘れてた』」
アキ「『昔からフユだけ、やたら甘い物食べてたよな・・・』」
アキ「『お好み焼きにハチミツかけて食べてなかったっけか?』」
ナツ「『そんな事もあったね!!』」
ナツ「『私たちはパンケーキだと思って食べて泣いたよね』」
アキ「『そーそー!』」
アキ「『でもフユももう大人だから大丈夫でしょ?』」
ナツ「『・・・この前、納豆ご飯に練乳かけて喜んで食べてたよ』」
アキ「『・・・マジ?』」
アキ「『ま、まぁピザだからメニューから選ぶでしょ』」
ナツ「『・・・そういう事にする』」
ナツ「『話変わるけど・・・マジメな話しても良いかな?』」
アキ「『ん?大丈夫だよ?』」
ナツ「『ありがとう』」
ナツ「『アキちゃんに2つお願いがあって 1つ目は・・・』」
ナツ「『この子をアキちゃんに取り上げて欲しいの』」
アキ「『・・・私で良いの?』」
ナツ「『アキちゃんが良いの』」
ナツ「『私の身勝手だけど、みんなで前に進もう?』」
アキ「『分かったよ・・・ありがとう・・・』」
アキ「『ちなみに・・・もう1つは?』」
ナツ「『今度は私じゃなくて子供を優先して欲しい』」
ナツ「『私はどうなっても良いから子供を救って欲しい』」
アキ「『縁起でもない・・・まだ早すぎる・・・』」
ナツ「『でもアキちゃんも覚えてるでしょ?』」
ナツ「『私の血液型が珍しいこと・・・』」
アキ「『あぁ・・・覚えてる』」
アキ「『けど・・・あれは失血だけが原因じゃない・・・』」
ナツ「『分かってる・・・』」
ナツ「『でもね、万が一の時に私の命を繋ぐだけの量を確保するのは難しいんだって・・・』」
ナツ「『今少しずつ自己輸血用に貯血してるんだけど・・・』」
ナツ「『貧血持ちだから中々量を確保出来なくて・・・』」
アキ「『そうだったんだ・・・』」
ナツ「『それに私の血液型って1000人に1人の割合なんだって』」
ナツ「『だから輸血用の血液を確保するのは難しいの・・・だから・・・』」
アキ「『分かった覚えておく』」
アキ「『私の方でも他の病院あたってみるね!』」
ナツ「『・・・ありがとう』」
アキ「『ちなみにこの話、フユには?』」
ナツ「『1つ目だけ伝えてる』」
ナツ「『2つ目も伝えると日常生活に支障出そうで・・・』」
アキ「『フユならありえるね・・・』」
アキ「『でもきっと大丈夫だから心配する事ないって!』」
(ガチャ)
フユ「『ただいまー』」
フユ「『ワイン以外も飲みたかったから色々買わせて貰ったよー!ほい、おつり!』」
アキ「『あいよー!』」
アキ「『結構使ったな。まっいいけど』」
フユ「『俺がいない間、俺の悪口言ってなかった?』」
フユ「『くしゃみ3回位出たんだけど』」
ナツ「『それは知らないよー』」
ナツ「『そんな薄着で外出たからでしょ?』」
フユ「『えー、じゃあ何の話してたのさー?』」
ナツ「『えっと・・・』」
アキ「『フユには言えない楽しい話だよ!』」
アキ「『だからフユには内緒ー!』」
フユ「『ふーん・・・』」
フユ「『アキくん・・・ウソついてるね』」
アキ「『ウソじゃないから!なんでウソって決め付けるんだよ!』」
フユ「『左眉』」
アキ「『左眉がなんだよ!』」
フユ「『昔からアキくんはウソ付く時、一瞬左眉が上がるんだ』」
フユ「『だからアキくんは今ウソ付きましたー』」
アキ「『・・・っ。フユのくせに生意気な・・・』」
フユ「『さぁて、何を話していたか正直に話したまえー!』」
ナツ「『そ、そんな事より、なんのピザ頼んだの?』」
フユ「『ん?今フェアやっててLサイズ2枚頼めばお得って言われたから、それにした!』」
ナツ「『なら良かった・・・』」
ナツ「『変なの頼んでたらどうしようって話してたの』」
フユ「『2人ともひどいなぁー』」
フユ「『俺が今までに変なもの頼んだことあったか?』」
ナツ「『ノ、ノーコメントで・・・』」
ナツ「『でも変な気使わせてごめんね』」
アキ「『・・・ナツ』」
フユ「『そういう事なら分かったぜ!』」
フユ「『ではピザのお披露目といこうか!』」
フユ「『どうだ!美味そうだろぉ!』」
ナツ「『・・・』」
アキ「『・・・』」
フユ「『あ、あれ?2人とも・・・どうした?』」
アキ「『なあフユ?これは・・・?』」
フユ「『ミートパイン』」
アキ「『こっちは・・・?』」
フユ「『チーズパイン』」
アキ「『なんで両方パインなんだよ!常夏かよ!パインフェアかよ!』」
アキ「『せめて1枚は4種類入ってるピザにしろよ!』」
フユ「『でもみんなパイン好きだろー』」
アキ「『パインは好きだけど温めるのはナシだって!!』」
フユ「『そっか!アキくんは4親類の梨のピザが良かったのか!』」
フユ「『だったら初めから言ってくれよー』」
アキ「『そうじゃないって!!』」
アキ「『あー、フユ・・・アレだろ?』」
アキ「『酢豚にもパイン入れるだろ?』」
フユ「『当然っ!!パインの入ってない酢豚は酢豚じゃないからな!!』」
アキ「『じゃあハンバーグの上に乗せるのは?』」
フユ「『おろしそ』」
アキ「『そこはパインじゃないんかいっ!!』」
フユ「『さっぱりして美味いじゃん!』」
アキ「『いや、美味しいけどさ・・・』」
アキ「『はぁ・・・ナツの言う通りだった・・・ほらナツも頭抱えてる・・・』」
アキ「『・・・ナツ?』」
ナツ「『あはははは!』」
ナツ「『ごめん。ガマンできなかった・・・!』」
ナツ「『笑いすぎて苦しい・・・!!』」
ナツ「『はぁはぁ・・・ふー・・・』」
ナツ「『久しぶりにこんなに笑った気がする』」
フユ「『だな・・・ナツの笑い声、久しぶりに聞いたかも』」
アキ「『そうだね・・・』」
アキ「『じゃあピザ冷める前にみんなの新しい1歩を祝って乾杯しよっ!』」
ナツ「『だねっ!』」
ナツ「『ちなみにフユくん、私の飲み物って?』」
フユ「『ぶどうジュース買ってきたぜ!』」
フユ「『せっかくだからワイングラスに入れよう!』」
ナツ「『ありがとう』」
ナツ「『アキちゃんお待たせ!』」
アキ「『んじゃ、みんなの新しい1歩と明るい未来に・・・』」
「『カンパイ!!』」