諦色の(脚本)
〇教会の控室
(なんだかんだで・・・)
(来ちゃったよね、今日が。
・・・あっという間だったな。
社葬って何よとか言ってたのに・・・)
・・・よし。
これは後でタクミに渡す書類、
これはその控え、これは会社に寄って
提出する書類一式。
紙、オッケー。
引っ越しは今日帰ったらスタート、
明日は市役所と銀行、
明後日からは仕事の引き継ぎ。
手順、オッケー。
離婚、オッケー。
・・・ミッション的な?
ちょっと楽しくなってきたかも。
あれ? マリエはどこだろ?
マリエ「呼んだ?」
なに今の? バグ? 新しいね。
マリエ「やだ、ボケてるみたいに言わないでよ 冴島にパソコンいじってもらってたら 雰囲気に流されちゃった」
ああなんだ、仕事してたの。
お線香の匂いで成仏しちゃったかと。
マリエ「ユキノこそ一人にされて寂しかったの? 『鋼鉄の嫁』のクセに」
それ止めてよー、さっきホントにコソコソ
言われててビビったわ。
マリエ「『裏社長ユキノ』と 『ラスボスは九条ユキノ』も聞いたわ」
サイアクー。
ちゃんと100対0で慰謝料取れるかな?
鬼嫁の印象ヤバ過ぎじゃない?
マリエ「それは大丈夫よ うちの弁護団は無敵だから」
はあ・・・だと良いけどね。
マリエ「・・・大丈夫よ? 全部うまく進むから ユキノはドンと構えてなさい」
マリエ「私が守ってあげてるんだから 有り難く思いなさいよ」
わあー、なんか包まれてる。
その虹色のヤツ、気持ちイイね。
マリエ「本当に仕方の無い子ね、ウフフ」
うふふ、ホント恩着せがましい人ですね。
あ、恩着せがましい幽霊か。
・・・ありがと、頑張るわ。
マリエ「うん、何があっても落ち着いて しっかりしててちょうだい」
うん? うん、まあ多分だいじょうぶ。
〇ホール
タクミ「あ、ユキノ! ドコ行ってたのー? もう皆ピリピリしててイヤんなるわ」
ああゴメンごめん。
私にも色々と準備があったんだよね。
タクミ「始まる前に合流出来て良かったー 座ったら立てって怒られるしさ、 ちゃんと立ってたら邪魔って言われるしさ」
タクミ「どうしてりゃ良いのさ? なんか皆ホントどしたの? 怒ってんの?」
タクミ「俺こういうのマジ苦手だー 出番まで寝たい、ゲームしてたい、無理」
はいはい、頑張りなさいよ社長。
(・・・しんどい)
(でももう今日で終わり、もうニコニコ
しなくて良い、これが終わるまでは・・・
・・・んん?)
(・・・うふふ、マリエだ)
(その辺に居てくれてるんだ。
だいじょうぶ、なんか大丈夫だよ)
タクミ「てかさー、社長って何すんの? 誰も何も教えてくれないんだけど?」
・・・え? 誰も、何も?
タクミ「うん、毎日『社長代理 九条タクミ』って サインしてハンコ捺したりしてる」
それは・・・また不親切な。
なんでだろう?
タクミ「なんでだろうねー?」
まあそのうち、これからじゃない?
タクミ「ああイヤだ、ユキノが社長やってよー」
あはは・・・。
(・・・もうダメだこの人・・・)
初登場の夫さん、想像以上にダメダメで笑ってしまいました!マリエさんやユキノさんとの器の違いに衝撃ですね!
……まぁ、できすぎる母と妻がいると、こんな感じに甘い存在になっちゃいますがw