偽りのトリアーダ

草加奈呼

エピソード6 現実逃避(脚本)

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草加奈呼

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〇綺麗な一戸建て
  2週間後────
ポポロム「アルフレッドさん、リアさん、 ここが、我が家です!」
アルフレッド「リア、おまえはしばらく、この家に 世話になるんだ」
リア「・・・・・・」
ポポロム「さあ、叔父も待っていますよ」

〇田舎の病院の病室
ポポロム「リアさんを、 うちでお預かりしましょうか?」
アルフレッド「・・・え?」
ポポロム「あ・・・。心配ですよね。 年頃の義妹さんを預けるなんて・・・」
ポポロム「ただ・・・。テオドールさんが捕まる までは、そうした方がいいのではないかと」
アルフレッド「そう・・・ですね・・・」
ポポロム「アルフレッドさんはお仕事があるでしょうし、もしかしたらテオドールさんから、 何か連絡があるかもしれません」
ポポロム「リアさんは、 スマホ番号を変えて匿いましょう」
ポポロム「テオドールさんに、 知られる事のないように」
アルフレッド(・・・俺はずっと リアのそばにいられるわけではない・・・)
アルフレッド(それに、 俺がそばにいても、また傷つけるだけだ)
アルフレッド(ゴンドル族に理解のあるカルステン氏に 任せた方が・・・ リアは安全かもしれない・・・)
アルフレッド「わかりました・・・。 リアを・・・よろしくお願いします・・・」

〇豪華なリビングダイニング
ポポロム「叔父さん、ただいま」
アルフレッド「失礼します・・・」
カルステン「おおー、アルフレッド君! 立派になったなぁ!」
カルステン「葬儀には行けなくて申し訳なかった。 足がこんなでなければな・・・」
アルフレッド「いえ、お気遣いなく・・・」
アルフレッド「リア、挨拶できるか?」
カルステン「おお、リアちゃんも綺麗になって──」
リア「お・・・」
リア「お父様・・・っ!!」
「え、えええええええっ!?」
リア「お父様、生きて、 いらしたのですね・・・!」
リア「まさか、先生の家に お世話になっていたなんて・・・!」
カルステン「お、おぉい、ポポロム! これ、どうすりゃいいんだ!?」
ポポロム「と、とりあえず、 ダニエルさんになりきって!」
カルステン「お、おおー、 リア。元気にしてたかー?(棒)」
ポポロム「演技下手くそかっ!?」
ポポロム(しかし、叔父を ダニエルさんと間違えたとはいえ・・・)
ポポロム(虚無になっていたリアさんの心が 一気に快復した・・・!)
ポポロム「一体、なぜ・・・?」
アルフレッド「リア、離れなさい。 父さんが困っている・・・」
リア「お兄様・・・」
リア「お兄様、お父様は生きていました」
リア「これで私は、お兄様に恨まれる理由は なくなりましたよね?」
アルフレッド「・・・・・・!」
ポポロム(そうか・・・! リアさんにとって1番の問題は、 テオドールさんではなく・・・)
ポポロム(アルフレッドさんの方だった・・・!?)
リア「ポポロム先生! キッチン貸してください!」
リア「私、何か一品作ります!」
ポポロム「え、ええ・・・。どうぞ・・・」
ポポロム(しかし、そうなると アルフレッドさんの方は・・・)
ポポロム「アルフレッドさん・・・ 大丈夫ですか?」
アルフレッド「あ、ええ・・・ 驚きましたが、大丈夫です・・・」
カルステン「なあ・・・ 俺って、ダニエルに似てるか・・・?」
アルフレッド「いえ、全然・・・」
カルステン「ポポロム、これは、まずいんじゃないか・・・? 本当のことに気づいたら、 リアちゃんは・・・」
ポポロム「ええ・・・わかってます。 とりあえず、様子を見ましょう・・・」

〇豪華なリビングダイニング
リア「お父様のために作りました。 さあ、お父様」
カルステン「あ、ああ・・・」
リア「先生も、お兄様もさあ早く────」
  リアがアルフレッドの腕を掴もうとすると、
  アルフレッドは、思わずその手を払った。
リア「お兄様・・・?」
アルフレッド(はっ・・・ しまった・・・!)
リア「お父様は生きていたのに・・・ 私は、まだ恨まれて・・・?」
リア「ううっ・・・」
ポポロム「リアさん・・・!」
ポポロム「叔父さん、 アルフレッドさんを頼みます!」
カルステン「あ、ああ・・・」
アルフレッド「・・・・・・」
カルステン「アルフ君・・・。 ポポロムから、一通り話は聞いているよ。 君も大変だったんだな・・・」
アルフレッド「いえ、俺は・・・」
アルフレッド「自分を抑えられず・・・。 ずっとリアを傷つけて・・・」
カルステン「いい機会だから、言っておこうか」
カルステン「実は、昔俺は テオ君を診察したことがあってな・・・」

〇本棚のある部屋
リア(私が・・・ ゴンドル族だから・・・?)
リア「ううっ・・・」
ポポロム「リアさん。アルフさんは、 あなたを恨んでるわけじゃないですよ?」
ポポロム「アルフさんも、 いろいろあって混乱してるんです・・・」
リア「先生・・・」
リア「ううっ・・・すみません・・・」
  リアは、ポポロムの肩に寄りかかって泣いた。
ポポロム(うぅ〜。マズいな・・・)
ポポロム(アルフさんの 症状を説明しようと思ってたけど・・・)
ポポロム(ちょっと、 いじわるしたくなったなぁ・・・)
ポポロム(ゴンドル族同士は、プライベートで 近づきすぎると惹かれあってしまう・・・)
ポポロム(これ以上は・・・ いろいろとヤバい・・・)
ポポロム(理性! 理性!  これは仕事の一環!!)

〇豪華なリビングダイニング
ポポロム「おまたせしました。 さあ、いただきましょうか」
ポポロム「リアさん・・・。 ちょっと聞きたいのですが」
リア「はい、なんでしょう?」
ポポロム「テオさんのことを、どう思っていますか?」
アルフレッド(先生・・・!)
カルステン(うお、ポポロム、ぶっ込んだなぁ〜!)
リア「テオですか?」
リア「テオは、とても明るくて、いい子ですよ」
カルステン「これは・・・」
ポポロム「やっぱり・・・」
ポポロム「何か、おかしいと思ったんです・・・」
カルステン「現実逃避、もしくは解離性健忘か・・・」
ポポロム「リアさんの中では、都合の悪い事はすべて なかった事になってしまっています・・・」
ポポロム「叔父をダニエルさんと思い込んでいるのも そのためでしょう」
アルフレッド「先生、どうしたらいいですか?」
ポポロム「こればかりは、なんとも・・・」
ポポロム「何かのきっかけで思い出してくれると いいんですが・・・」

〇綺麗な一戸建て
アルフレッド「今日はありがとうございました。 リアを、よろしくお願いします」

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コメント

  • リアの心の傷なかなか深刻…。
    また子犬のように擬態したテオドールに近づいてこられたら…。

  • リアちゃんを保護して連れ出してパンケーキ食べさせたい😭

  • テオに見つかった〜!
    マズイぞ。ポポくんにリアが守れるのか?
    カールさんも攻略対象なんですね。
    今の無防備なリアなら完全に籠絡出来そうですね。

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