#4 LOVE of the DEAD(脚本)
〇土手
加藤沙夜「・・・」
加藤沙夜「ジェシカ」
ジェシカ「はい〜?」
加藤沙夜「人を操るのって、どんな気分?」
ジェシカ「とっても、いい気分!」
加藤沙夜「私はアンタの能力が羨ましいよ」
加藤沙夜「何でも自分の思い通りにできて・・・」
ジェシカ「きゃはっ! 沙夜ちゃんも一緒に遊びたくなった?」
加藤沙夜「・・・」
加藤沙夜「私は・・・私のやり方で家族を守る」
加藤沙夜「アンタが作るのは“偽りの愛”。家族の“本物の愛”には敵わない」
ジェシカ「きゃははっ」
ジェシカ「どっちが本物なのかなぁ」
加藤沙夜「私は・・・アンタに負けない」
ジェシカ「・・・」
ジェシカ「きゃはっ!」
ジェシカ「きゃははっ!」
加藤沙夜「アンタがどんなに掻き乱しても」
加藤沙夜「私が全部、元通りにする」
〇空
たとえ二人がすれ違っても、最終的に夫婦の形をしていればそれでいい
どんなにバラバラになっても、私が二人を元の形に戻す
私たち、家族の日常は──
これからだ
〇水族館前
〇小さい会議室
〇水中トンネル
〇レストランの個室
〇アパートのダイニング
再編のおままごと
出演
加藤沙夜
加藤麻里奈
加藤輝明
山吹真美
斉藤郁人
ジェシカ
加藤輝明「沙夜は可愛いなあ!」
加藤麻里奈「だって、私たちの子供だもん!」
加藤沙夜「そうだよ。私は二人の愛の結晶なんだから」
加藤輝明「俺は、大切なものを忘れていたぜ」
加藤麻里奈「私も。本当に大事なのは家族だって、やっと気付いた」
加藤沙夜「も〜! 今更気付いたの〜!」
「あははははっ!」
ご視聴ありがとうございました!
〇黒
はあ・・・
〇アパートのダイニング
クソだりぃ・・・
〇車内
加藤輝明「何が家族だよ」
加藤輝明「沙夜には悪いけど、付き合ってらんねぇわ」
真美です
家族サービスは済みましたか?
今、私は駅にいます
加藤輝明「おっけ。これから向かうわ」
加藤麻里奈「ねぇ、どこ行くの?」
加藤輝明「うわぁ!」
加藤麻里奈「浮気相手に会いに行くの?」
加藤輝明「何でお前俺の車にいるんだよ!」
加藤麻里奈「待ち伏せは“狩り”の基本でしょ」
斉藤郁人「こんばんは。輝明さん」
加藤輝明「だ、誰だお前!」
斉藤郁人「僕は麻里奈さんのお友達です」
加藤輝明「は、離せ!」
加藤麻里奈「ねぇ、あなた。私普段と違うところがあったんだけど気付いた?」
加藤輝明「なっ・・・何が?」
加藤麻里奈「指輪」
斉藤郁人「いい指輪ですね。高かったでしょう」
加藤輝明「何でお前が持ってるんだよ!」
斉藤郁人「麻里奈さんから頂きました」
加藤輝明「はぁ?」
加藤麻里奈「やっぱりあなたは私のことなんて全く見てなかったんだなあ」
加藤麻里奈「そんな旦那、もういらないや」
加藤輝明「知らねーよ! 離せこの野郎!」
斉藤郁人「離しません」
斉藤郁人「さぁ! 挟み撃ちですよ麻里奈さん!」
加藤麻里奈「はい!」
加藤麻里奈「あ、よいしょ」
加藤輝明「ぐぁ・・・!」
加藤麻里奈「い、よいしょ!」
加藤輝明「うぐぁぁぁ!」
加藤麻里奈「い〜〜、よいしょ!」
加藤輝明「ぁ・・・」
加藤麻里奈「やった! 上手に狩れました!」
斉藤郁人「ケーキ入刀。僕たちの初めての共同作業ですね」
加藤麻里奈「わぁい」
〇走行する車内
斉藤郁人「死体は山に埋めに行きましょう」
加藤麻里奈「はい!」
私は夫を殺した
でも、不思議と恐怖も罪悪感もなかった
まるで、この世界の出来事と私は無関係であるかのように感じられた
ここではない、どこか別の世界に、本物の私が生きているような気がする
その世界の私はきっと、「ちいくろ」のように自由で、喜びに溢れているだろう
そう考えると、もう、何も怖くな──
斉藤郁人「・・・うわっ」
〇崩壊した道
加藤沙夜「・・・」
加藤沙夜「大丈夫。上手くいかなくても、何度でもやり直せるから」
加藤沙夜「絶対に、二人が愛し合える世界はあるはずだから」
加藤沙夜「二人がいて、私がいる」
加藤沙夜「それが、世界の在るべき姿だから」
〇黒
〇豪華なベッドルーム
「んー・・・」
「二人とも〜! 朝だよ〜!」
加藤輝明「んん・・・」
加藤沙夜「起きて〜! 今日は家族で遊園地に行く日でしょ!」
加藤輝明「沙夜・・・」
加藤輝明「そうだったな! 危うくパパ、寝坊するところだったぜ!」
加藤沙夜「もう〜!」
加藤輝明「おいコラ! 起きろ麻里奈!」
加藤麻里奈「あと5分だけ・・・」
加藤沙夜「お父さん、いつもの」
加藤輝明「おっけー」
こしょこしょこしょ
加藤麻里奈「あぁっ、あっ・・・」
加藤麻里奈「やめて・・・くすぐったい・・・」
加藤輝明「朝から変な声出してんじゃねーぞー」
加藤沙夜「ねーぞー」
加藤麻里奈「わっ・・・わかった、起きるってば」
〇おしゃれなリビングダイニング
加藤麻里奈「さぁ二人とも、準備はいい?」
加藤輝明「おっけー。ライフルも持ったし、もし囲まれても対処できる」
加藤沙夜「遊園地にでっかい花火を打ち上げよう!」
加藤麻里奈「うふふっ。じゃあ行くわよ〜」
〇荒廃した遊園地
「・・・」
加藤輝明「人類が滅亡してもアトラクションは動いてるんだもんな〜」
加藤麻里奈「まるで私たちのために動いてるみたい」
加藤輝明「そりゃそうだろ。だって、俺たちがこの世界の主役なんだから」
加藤麻里奈「うふふっ」
加藤沙夜「うわ〜!」
加藤沙夜「パパ強〜い!」
加藤輝明「へへへっ」
ぎゅっ
加藤輝明「おいおいどうした、袖なんか掴んで」
加藤輝明「まさか怖いのか?」
加藤麻里奈「うん・・・」
加藤麻里奈「もっとくっついていい?」
加藤輝明「・・・しゃーないな」
加藤沙夜「ひゅーひゅー! 熱いね〜!」
加藤麻里奈「もう、世界には私たちしかいないけど」
加藤麻里奈「これからも三人で、生きていこう?」
加藤輝明「・・・」
加藤輝明「あぁ!」
〇観覧車のゴンドラ
ジェシカ「・・・」
ジェシカ「お人形さんが、みんな腐っちゃった」
ジェシカ「・・・」
ジェシカ「あたしの負けだよ」
ジェシカ「そこまでして、家族ごっこを続けたいんだね」
ジェシカ「・・・沙夜ちゃん」
ジェシカ「あたしたちは・・・死者」
ジェシカ「死者の愛ってね、生きてる人にとっては呪いなんだ」
ジェシカ「君はいつまで、二人を呪い続けるんだい?」
ジェシカ「・・・」
ジェシカ「きゃはっ」
ジェシカ「きゃはっ・・・はっ・・・」
逆にここまで追い込まれないと愛が生まれないのなら、通常世界ではうまくいかないのも納得ですね笑
何という、初めての共同作業……!
そして冷めた子どもの目から見た大人のうそ寒い世界、すごいです。家族が仲良くなるルートに至るまでやり直したんですよね。すごい世界だ……
勝てるまでやると、いつか勝つのでしょうか。否定は、無視よりは、ましなのでしょうか。悪いことは、いいことより面白いのでしょうか。などと妄想しながら、読んでいました。感謝。