家族全殺しQUEST

西瓜頭

EP.1「冒険の始まり」(脚本)

家族全殺しQUEST

西瓜頭

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〇魔界
勇子「滅べ家族ッ!」
勇子「死ね、魔王」
魔王「お前、一体何を言って・・」
勇子「コレで決める」
魔王「や、やめ」
魔王「勇子・・」
魔王「自分が何、してるか わかって・・」
魔王「・・」
勇子「やったわ」
勇子「魔王を倒したッ  わーい」
勇子「これで」

〇黒
山下 勇子(やました ゆうこ)「これでッ」

〇血まみれの部屋
  RPGが好きだった
  現実を忘れて没頭できるから
  父の残した沢山のゲームは
  隣室の嬌声を遠ざけるのに丁度良かった
  ずっと思っていた
  いっそ現実がゲームならと
  ・・私は忘れていたのだ
  どんなゲームも最後には

〇黒
  GAME OVER
  (エンディング)
  がやってくる

〇大きいマンション

〇飾りの多い玄関
山下 麻夫(やました あさお)「行ってくる」
山下 勇子(やました ゆうこ)「貴方、忘れ物」
山下 勇子(やました ゆうこ)「ん〜(キス待ち)」
山下 麻夫(やました あさお)「・・」
山下 麻夫(やました あさお)「急ぐから」
山下 勇子(やました ゆうこ)「待って」
山下 勇子(やました ゆうこ)「朝のチッスは脳内物質ドバドバで」
山下 勇子(やました ゆうこ)「健康にも良くて・・」
山下 麻夫(やました あさお)「いきなり何?」
山下 麻夫(やました あさお)「急ぐって言ってるだろ」
山下 麻夫(やました あさお)「じゃ」
  とっても仕事熱心な彼は
  大好きな夫、麻夫さん
???「ねぇご飯まだぁ!?」
山下 勇子(やました ゆうこ)「は〜い」

〇ダイニング(食事なし)
山下 勇子(やました ゆうこ)「おはよ振吾」
山下 振吾(やました しんご)「おはよ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「お義母さん、お義父さん おはようございます」
山下 太蔵(やました たいぞう)「おはよう」
山下 辰江(やました たつえ)「・・」
山下 勇子(やました ゆうこ)「すぐ用意しますね」

〇ダイニング
山下 振吾(やました しんご)「またご飯?」
山下 振吾(やました しんご)「パンの方がいい」
山下 勇子(やました ゆうこ)「贅沢言わないの」
山下 勇子(やました ゆうこ)「パパがごはん派なのよ」
山下 振吾(やました しんご)「タケシくん家は選べるって」
山下 振吾(やました しんご)「センギョーシュフならそれ位できるんじゃないの?」
山下 勇子(やました ゆうこ)「誰に聞いたのそんな事」
山下 振吾(やました しんご)「・・」
山下 振吾(やました しんご)「ごちそうさま」
山下 勇子(やました ゆうこ)「あっ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「もう、半分も残してる」
  息子の振吾は反抗期の真最中
山下 辰江(やました たつえ)「そもそも味付けがね」
山下 勇子(やました ゆうこ)「お義母さん 今度料理教えて下さい」
山下 辰江(やました たつえ)「フン」
山下 勇子(やました ゆうこ)「・・」
山下 太蔵(やました たいぞう)「はは」
  辰江さんは厳しいけど

〇飾りの多い玄関
山下 振吾(やました しんご)「いってきます」
山下 勇子(やました ゆうこ)「いってらっ──」
山下 辰江(やました たつえ)「シンちゃん!車に気をつけるんだよ?」
山下 辰江(やました たつえ)「お腹痛くなったらすぐに迎えに行くからね」
  もの凄い孫煩悩
  面倒も見てくれて、頭が上がらないの
山下 振吾(やました しんご)「ばあば心配しすぎ」

〇おしゃれなキッチン
山下 太蔵(やました たいぞう)「お茶飲も」
  さわっ
山下 勇子(やました ゆうこ)「キャッ!」
山下 太蔵(やました たいぞう)「おっと」
山下 太蔵(やました たいぞう)「ゴメンゴメン」
山下 勇子(やました ゆうこ)「もうお義父さんたら」
  太蔵さんはちょっとスケベだけど
  ここの資金援助してくれたり、元は働き者だったの

〇大きいマンション
  このマンションで義父母との
  二世帯生活が始まってもうすぐ半年
  幸せな暮らし
  皆、何もない私を受け入れてくれた

〇大きいマンション
振吾「ただいま」
  愛すべき家族

〇飾りの多い玄関
山下 麻夫(やました あさお)「ただいま」
山下 勇子(やました ゆうこ)「お帰りなさい」
山下 勇子(やました ゆうこ)「ご飯? お風呂? それとも」
山下 麻夫(やました あさお)「フロで」
山下 勇子(やました ゆうこ)(最後まで言わせて!)

〇ダイニング
山下 勇子(やました ゆうこ)「新メニュー、どう?」
山下 麻夫(やました あさお)「塩辛い」
山下 勇子(やました ゆうこ)(ソレだけ!?)
山下 辰江(やました たつえ)「お出汁がイマイチね」
山下 麻夫(やました あさお)「母さんの味付けは優しいよね」

〇おしゃれなリビング
山下 振吾(やました しんご)「最低保証だけ。クソはずれだ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「こら、遊んでばっかり」
山下 勇子(やました ゆうこ)「宿題まだでしょ」
山下 振吾(やました しんご)「今やろうと思ってたの」
山下 振吾(やました しんご)「あーやる気なくなっちゃった」

〇清潔な浴室
勇子「ふぅ〜」
勇子「今日は入念にお手入れしなきゃ」
勇子「ワキ、スネ!」
勇子「VIOゾーンも視界良好ッ」
勇子「・・ふふふ♡」
勇子「!?」

〇白いバスルーム
山下 太蔵(やました たいぞう)「アッ 入ってたの」
勇子「お、お義父さん!?」
勇子「ヤダ、出てって下さい」
山下 太蔵(やました たいぞう)「あ、あぁ」
山下 太蔵(やました たいぞう)「ごめんねぇ」
勇子(・・)
山下 勇子(やました ゆうこ)(いつから?)
山下 勇子(やました ゆうこ)(・・)

〇ホテルの部屋
山下 勇子(やました ゆうこ)(気を取り直して)
山下 勇子(やました ゆうこ)(今日こそは!)
山下 麻夫(やました あさお)「寝ようか」
山下 勇子(やました ゆうこ)「あ、貴方」
山下 勇子(やました ゆうこ)「その、今日は、ね?」
山下 麻夫(やました あさお)「・・」
山下 麻夫(やました あさお)「ごめん」
山下 麻夫(やました あさお)「疲れてるんだ」
山下 麻夫(やました あさお)「おやすみ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「・・」

〇黒
  私は家族に恵まれてる
  でも、どんな家庭にも問題はある
  些細な衝突、すれ違い
  その積み重ねが、私の人生だ
  死ぬまで続くのだ
  私は、大丈夫だ
  だって

〇ホテルの部屋

〇部屋の扉

〇おしゃれなリビング
山下 勇子(やました ゆうこ)「イヤホンよし」
  皆が寝静まった後
  私の時間が始まる

〇怪しげな酒場
魔法使い「勇子きた」
魔法使い「おつ〜」
勇子「おつかれ〜」
魔法使い「ひとクエいっとく?」
勇子「もうレベマ&強化マだけどね」
勇子「のぞむところよ」

〇謁見の間
  魔族全殺しQUESTオンライン
  大人気RPGのスマホVer
  しかし

〇草原の道
魔法使い「究極融合魔法ジオメラメラブリザダイン」
魔法使い「勇子、とどめ」
勇子「まかせて! ウオオーッ」
勇子「超級☆サンダーフラッシュ魔族斬りΩァ!」
魔法使い「サイズ更新ならずかァ」
魔法使い「他にやる事ねーんだけどな」
勇子「そう? 楽しかったけど」
勇子「スッキリしちゃった」
  鳴り物入りで始まったこのゲームは
  今や過疎化

〇怪しげな酒場
  更新も途絶え、放置状態だった
  それでもログインし続けていた私は
  「魔法使い」と出会った

〇怪しげな酒場
山下 勇子(やました ゆうこ)「あ、そういえば」
山下 勇子(やました ゆうこ)「「チッスで愛を取り戻せ作戦」全然ダメだったんだけど」
魔法使い「マジでやったの?」
魔法使い「ウケる〜」
山下 勇子(やました ゆうこ)「笑い事じゃないわ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「麻夫さんには呆れられるし 振吾は言うこと聞かないし」
山下 勇子(やました ゆうこ)「ハ〜 主婦って大変」
魔法使い「でた〜 勇子の自虐風自慢」
魔法使い「どーせ1人モンですよ〜」
山下 勇子(やました ゆうこ)「そんなつもりは」
山下 勇子(やました ゆうこ)「あるけど」
魔法使い「コラーッ」

〇怪しげな酒場
  ゲームで打ち解け
  身の上話をするようになり
  私達は一度だけオフで会った

〇レトロ喫茶
  驚いたのは
  「魔法使い」の性別
  じゃなく
  同じマンションの別棟に住んでいた事
  でも、心強かった
  仲間が
  こんなに近くにいた事が

〇怪しげな酒場
勇子「そっちの暮らしも羨ましいなぁ」
勇子「株で稼いで一日中ゲームしてるんでしょ?」
魔法使い「理想の生活〜♡」
勇子「いいなぁ」
勇子「いざとなったら養ってね?」
魔法使い「ゲームやる時間減るから絶対ヤダ」
勇子「いじわる!」
勇子「・・」
勇子「はぁ」
魔法使い「どした?」
勇子「ううん、皆凄いなって」
勇子「お義母さんは料理上手で 麻夫さんはお仕事できる」
勇子「取り柄ないんだよね、私」
勇子「軽く見られるのも、そのせいかな」
魔法使い「──」
魔法使い「・・」
魔法使い「勇子はさ、勇者なんだよ」
勇子「え?」
魔法使い「勇者みたく、ステータスが丸っこいの」
勇子「器用貧乏ってこと?」
魔法使い「そうとも言う、でも」
魔法使い「家事も育児も、その気になれば働く事もできるのは」
魔法使い「勇子だけだよ?」
勇子「・・」
魔法使い「ゲームと一緒! 相手の得意分野で比べるからだよ」
魔法使い「総合力なら勇者「勇子」がイチバンだって!」
勇子「そうかな」
勇子「そうかも」
魔法使い「そうそう」
魔法使い「腕力は俺より強いよ絶対」
勇子「ゴリラ扱い止めて!?」
勇子「ありがと」
勇子「私のMP回復しちゃった!」

〇おしゃれなリビング
山下 辰江(やました たつえ)「・・」

〇大きいマンション

〇ホテルの部屋
山下 勇子(やました ゆうこ)「はれ!?」
山下 勇子(やました ゆうこ)「ヤバッ」

〇ダイニング(食事なし)
山下 勇子(やました ゆうこ)「──」
山下 辰江(やました たつえ)「お目覚め?」
山下 辰江(やました たつえ)「結構なご身分ね」
山下 勇子(やました ゆうこ)「お義母さん」
山下 辰江(やました たつえ)「朝食は済んだわよ」
山下 辰江(やました たつえ)「皆気持ちよく出かけていったわ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「も、申し訳・・」
山下 辰江(やました たつえ)「そんな事より」
山下 辰江(やました たつえ)「電話を出しなさい」
山下 勇子(やました ゆうこ)「・・え」
山下 辰江(やました たつえ)「出しなさい」
山下 勇子(やました ゆうこ)「・・」
山下 勇子(やました ゆうこ)「はい・・」
山下 辰江(やました たつえ)「これで」
山下 辰江(やました たつえ)「昨晩何をしていたの?」
山下 勇子(やました ゆうこ)(見られてた?)
山下 勇子(やました ゆうこ)「それは、その」
山下 辰江(やました たつえ)「・・」
山下 辰江(やました たつえ)「言えないのね」
山下 辰江(やました たつえ)「大方、男と密会でもしてたんでしょ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「そんな! 私は」
山下 勇子(やました ゆうこ)(違う、とは)
山下 勇子(やました ゆうこ)(言い切れない)
山下 辰江(やました たつえ)「夫を裏切るなんて」
山下 辰江(やました たつえ)「よくそんなマネが出来たものね」
山下 勇子(やました ゆうこ)「あ!」
山下 勇子(やました ゆうこ)「あ、あ」
山下 辰江(やました たつえ)「麻夫には黙っておくわ」
山下 辰江(やました たつえ)「これに懲りたら」
山下 勇子(やました ゆうこ)「わぁあ!」
山下 勇子(やました ゆうこ)「映らない」
山下 勇子(やました ゆうこ)「これじゃ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「これじゃ・・」
山下 辰江(やました たつえ)「な、何よ」
山下 辰江(やました たつえ)「フン」

〇ホテルの部屋
勇子「うぅ・・」

〇大きいマンション

〇大きいマンション

〇ホテルの部屋
山下 勇子(やました ゆうこ)「・・」
山下 勇子(やました ゆうこ)(寝ちゃってた?)

〇ダイニング
山下 麻夫(やました あさお)「あれ、勇子は?」
山下 辰江(やました たつえ)「さ、さぁ」
山下 辰江(やました たつえ)「具合悪いんじゃない?」
山下 麻夫(やました あさお)「ふーん」
山下 麻夫(やました あさお)「母さんのはやっぱり落ち着く味だ」

〇おしゃれなキッチン
山下 勇子(やました ゆうこ)(私なしでも)
山下 勇子(やました ゆうこ)(この家は回るんだ)

〇廊下の曲がり角
山下 勇子(やました ゆうこ)「あ・・」
山下 勇子(やました ゆうこ)「洗濯物、忘れてた」
???「はぁ、はぁ」
???「ゥッ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「え・・脱衣所から」
山下 太蔵(やました たいぞう)「ふぅ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「!?」
山下 太蔵(やました たいぞう)「うわっ」
山下 太蔵(やました たいぞう)「な、なんだ勇子さんか」
山下 太蔵(やました たいぞう)「それじゃ」
山下 勇子(やました ゆうこ)「お義父さん・・?」
山下 勇子(やました ゆうこ)「・・」

〇白いバスルーム
山下 勇子(やました ゆうこ)「私の、下着が」
山下 勇子(やました ゆうこ)「最低」
山下 勇子(やました ゆうこ)「・・」
山下 勇子(やました ゆうこ)「最悪・・」

〇ダイニング
山下 勇子(やました ゆうこ)(この家の人にとって)
山下 勇子(やました ゆうこ)(私は人間以下なの?)
山下 勇子(やました ゆうこ)(血の繋りがないから?)

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コメント

  • お話の内容もさることながらスチル・エフェクト等演出も相まってものすごく心抉られました(褒めてます)
    リアルな家族の在り方と勇子の壊したい気持ちが一致して、でもリアルじゃないとわかるからこそ続きも見たい……そんな気持ちになりました。
    そして魔法使いヤバいやつだった……バディを超えてなんかやらかしていきそうな危うさがありこちらもどうなるか楽しみです🤤

  • いつもの西瓜頭さんの作品のノリで、表現とかキャラがコミカルで楽ちい😆
    って、キャッキャと読んでたけど、とんでもないわコレ😱
    こんな家庭、ぶち壊したくもなるわ!まして、唯一の逃げ場を奪われたとあっては…
    魔法使いの存在、大きいですね!
    続きもじっくり読ませていただきます♥️

  • ユウコ辛すぎる……!
    これはもうドロドロドロになっても仕方ないレベル……。

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