ストレンジャー・ダディ 〜メビウスの絆〜

松田エルナ

第8話 さらにもう1人のストレンジャー(脚本)

ストレンジャー・ダディ 〜メビウスの絆〜

松田エルナ

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〇低層ビルの屋上
エーファ「残念ながら──」
エーファ「イオさんを救うことはできません」
エーファ「ヨータさんは・・・」

〇血しぶき
  『明日』、イオさんを殺します──

〇低層ビルの屋上
絢斗「・・・」
絢斗「な・・・」
エーファ「だ、大丈夫・・・」
エーファ「ではないですよね・・・」

〇黒背景
  『過去は変えることはできない』・・・
  ・・・だと?

〇炎
  遥太がイオ姉ちゃんを殺す・・・

〇魔法陣のある研究室
  その不条理を否定するため・・・
  俺は必死の思いでタイムマシンを
  作り上げて・・・

〇平屋の一戸建て
  そして、2010年の幼い遥太と出会った

〇黒背景
  遥太は本来、
  人を殺せるような子じゃない
  祖父に取り残された
  孤独に耐えながら・・・
  『インチキ科学者』 蒼井ユウトの
  孫と後ろ指差され・・・
  優しくて真っすぐな遥太は
  変わってしまった
  そう、それが『前回』の歴史──

〇古書店
  俺がこの時代に来て
  遥太と一緒に生きてきたことで・・・
  もうそんなことにはならないと・・・
  今度こそ、イオ姉ちゃんも遥太も
  幸せに生きていけるんだと・・・

〇黒
  そう・・・思っていた──

〇低層ビルの屋上
絢斗「俺がこの時代に来たことも・・・」
絢斗「遥太と出会ったことも・・・」
絢斗「すべてが最初から決まっていた 『歴史』だというのか?」
エーファ「そのとおりです・・・」
エーファ「2050年から来た私がこうして あなたと話していることさえも」
エーファ「過去から未来・・・」
エーファ「宇宙中すべての事象は あらかじめ確定され・・・」
エーファ「私たちはそれに抗うことすら許されない」
エーファ「残酷な『運命』のように・・・」
絢斗「『運命』・・・か」
絢斗「ははっ・・・」
エーファ「アヤトさん・・・」
絢斗「この世界ってのは・・・」
絢斗「俺が思ってたより ずっと『不条理』に出来てたんだな」
絢斗「そうか、全部ムダだったんだな」

〇葬儀場
  イオ姉ちゃんを救うため
  時間をさかのぼろうと決意して・・・

〇魔法陣のある研究室
  周りから狂人扱いされながら
  それでも必死に・・・

〇低層ビルの屋上
エーファ「・・・」

〇田舎の学校
  遥太のことだって・・・
  俺は父親なんて
  ガラじゃなかったが・・・
  あいつの孤独と正面から
  向き合えれば・・・
  道を踏み外させることも
  ないと思っていた

〇低層ビルの屋上
絢斗「父親、失格だな」
エーファ「アヤトさん・・・」
エーファ「あの!!」
絢斗「え・・・?」
エーファ「聞いてください」
絢斗「な、なんだ?」
エーファ「私はDr.ノイマンの 研究チームの一員です」
絢斗「さっきからそうだと思ってたよ」
エーファ「私はこの時代に・・・」
エーファ「Dr.ノイマンを探しに来ました」
絢斗「な・・・!」
絢斗「彼も・・・この時代に?」
エーファ「はい」
エーファ「彼は2010年──つまりアヤトさんが 最初に転移してきた時空間座標と・・・」
エーファ「今年──2020年、計2回の時間転移を 行っているログがありました」
エーファ「アヤトさんの足跡と ぴったり符合することから・・・」
エーファ「てっきりこの10年間で 彼と接触しているものかと」
絢斗「いや、そんなこと今初めて・・・」
エーファ「はい」
エーファ「今日のアヤトさんの反応を見ても・・・ それはないようですね」
エーファ「何かと疑ってしまい・・・ 申し訳ありませんでした」
絢斗「・・・? なんのことだ?」

〇古書店
  あなたの父親の絢斗さんには
  隠していることがある
  ──彼はそこにいるべき人ではない

〇低層ビルの屋上
エーファ「あの・・・ こっちの話です」
絢斗「そんなことより・・・」
絢斗「一体、Dr.ノイマンは この時代に何を?」
エーファ「私はそれを確かめに 来ました」
エーファ「私には・・・ その責任があるから」
絢斗「・・・?」
エーファ「聞いていただきありがとうございました」
エーファ「『シンギュラリティ』の件・・・」
エーファ「もしかしたらお伝えしなかった方が 楽だったのかもしれません・・・」
エーファ「でも、アヤトさんには知る権利と義務が あると思ったのです」
エーファ「時空間転移技術の祖となった 偉大な科学者として・・・」
エーファ「そして・・・」
エーファ「一人の父親として・・・」
絢斗「そうか・・・」
絢斗「話してくれてありがとう」
エーファ「アヤトさん・・・」
絢斗「少し・・・一人にしてくれないか」
エーファ「・・・はい」
絢斗「・・・」

〇屋上の入口
遥太(ようた)「・・・」

〇寂れた雑居ビル

〇寂れた雑居ビル

〇寂れた雑居ビル
  翌日──
  あと──7時間

〇街中の公園
???「や、よったん」
遥太(ようた)「イオ・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「また話って何? 昨日のつづき?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「そういえば、あの『ゲロ』の子 が現れたから話途中だったよね」
遥太(ようた)「・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「あ、そだ! あの子はどうしたの?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「体調は良くなったぽかったけど 何か変なこと言ってたし・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「なんだっけ、私のこと 『マザー』とか何とか・・・」
遥太(ようた)「イオ・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「ん?」
遥太(ようた)「・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「よったん・・・最近元気ないよね?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「先生・・・パパと何かあったんでしょ?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「私には話せる?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「話聞くくらいしかできないけど 私だってよったんの──」
遥太(ようた)「イオ!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「な、なに・・・!?」
遥太(ようた)「あのさ・・・」
遥太(ようた)「もう、僕の前に現れないでくれないかな」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「え・・・?」
遥太(ようた)「いろいろ困るんだ うまく言えないけど」
遥太(ようた)「もう僕に近づかないで」
遥太(ようた)「できるだけ僕の目の届かないところ に行ってほしい」
遥太(ようた)「それが・・・イオのためでもあるんだ」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「ちょっと、よったん・・・?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「さっきから何言って・・・」
遥太(ようた)「イオ、さようなら」
遥太(ようた)「・・・ありがとう」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「待ってよ!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「一人だけ何かわかったような こと言っちゃってさ!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「全然意味わかんないんですけど!!?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「ちょっと、聞いてんの!!?」
遥太(ようた)「・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「もう知らない!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「よったんのバーーーカ!!!」
遥太(ようた)(いいんだ・・・これで)
遥太(ようた)「・・・」
遥太(ようた)「あとは・・・!」

〇開けた交差点
チャラい男子「ん・・・? 騒がしいな」

〇街中の公園

〇開けた交差点
チャラい男子「あれ、鳴海さんと・・・等々力?」
チャラい男子「ほほう・・・ケンカ別れか? ざまーみろ」
チャラい男子「ってことは 俺にもついにチャンス到来か!?」
チャラい男子「もともとオタクくんと釣り合うような 女じゃねーんだよ」
チャラい男子「いやー・・・しかし」

〇空
  フラれた腹いせに・・・
  『変なこと』、やらかさないといいけどな

〇住宅地の坂道
鳴海 イオ(なるみ イオ)「あー、気分悪い!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「何なんだよ、よったんのヤツ・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「何か・・・あったんだよね?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「なんで私に話してくれないのかな・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「え!?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「閃光と・・・爆発音!?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「昨日のあの子が 現れたときと似てる・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「あっちからだ!」

〇ビルの裏
???「ウエェェ・・・!! ゲホッ、ゲホッ・・・!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)(人!?)
ノイマン所長「ゲホッ・・・ やはり慣れんな、これは」
ノイマン所長「このひどい『転移酔い』は 重大な技術的課題だな・・・」
ノイマン所長「こればかりはキミを恨むぞ Mr.トキトウ・・・」
ノイマン所長「まあ、人体を原子レベルから 一瞬で再構築してるんだ」
ノイマン所長「転移先の環境に一瞬で 順応できるはずもなく」
ノイマン所長「無理もないが・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)(何か一人でブツブツ言ってる・・・)
鳴海 イオ(なるみ イオ)「あの、大丈夫・・・」
ノイマン所長「・・・!!!」
ノイマン所長「誰・・・」
ノイマン所長「マ・・・『マザー・イオ』!!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「え・・・!!?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)(またそれ!?)
ノイマン所長「まさかこんなに早く お会いできるとは・・・!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「あなた一体・・・」
ノイマン所長「うぐっ・・・ゲホッ!!」
ノイマン所長「ガハッ!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「ちょ・・・!!? 血が!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「い、いま救急車呼びますね!!」
ノイマン所長「いや、いいんだ」
ノイマン所長「もう・・・時間がないな」
ノイマン所長「マザー・イオ」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「は、はい?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)(あんたのマザーじゃねーけど)
ノイマン所長「あなたに・・・大事な話があるんだ」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「『大事な話』・・・?」

次のエピソード:第9話 『マザー』

コメント

  • アヤトは2010年にしか飛べなかったのに、
    ノイマンはなぜ2020年に飛ぶことができたのか…?
    アヤトが2010年に飛んだ後、ノイマンが研究を続けていたのでしょうか?
    ワクワクとドキドキが止まりません〜〜😆

  • ついに運命の日!ノイマンの目的が気になります。
    体調の方も不穏ですね。病を抱えた身で無茶してらっしゃる?
    イオは生命力に溢れてて全然死にそうに見えませんね。
    遥太が距離を取ったことでチャラ男が近づきそうなのが、歴史修正力ってことなのかな……

  • ノイマン所長いったい何をしにきたんでしょうか?
    イオは死ぬの死なないの?あーっ!気になるー!
    タイムマシンに乗って未来を見たいです😅

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