御野町0丁目に御案内

萩野 須郷

エピソード9〜Target5 ????〜(脚本)

御野町0丁目に御案内

萩野 須郷

今すぐ読む

御野町0丁目に御案内
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇廃工場
  20:30 御野町6丁目 形成外科前
アオバレイコ「着いたわ ここが、私を施術した形成外科よ」
ヒラギノカオル「へえ 随分オンボロなんですねえ」
ヒラギノカオル「やっぱり、今は誰も 出入りしていないんでしょうか」
アオバレイコ「そうだとは思うわ」
アオバレイコ「私もたまにここを通るけど」
アオバレイコ「施術した日以来、 人の気配も、明かりが灯っていたことも無いわね」
アオバレイコ「・・・ところで」
アオバレイコ「どうして助手もついて来てるのかしら?」
ヒラギノカオル「ふふ、言ったでしょう 社会科見学ですよ」
ヒラギノカオル「他の形成外科を知ることも 立派な勉強の一つですからね」
ヒラギノカオル「ねえ、アタラシミサコさん?」
アタラシミサコ「ええ、ええ、その通りです」
アタラシミサコ「安心してください、アオバレイコ様 あなたの復讐の邪魔はいたしませんので」
アオバレイコ「・・・はあ まあ、別に一人増えようが良いんだけどね」
アオバレイコ「では早速、中に入りましょうか」

〇廃墟の廊下
アオバレイコ「・・・やっぱり、誰もいないわ・・・」
ヒラギノカオル「まあ、居たら居たで 軽いホラーですけどね」
ヒラギノカオル「家具も当時からずっとそのままなのか、 埃も溜まっていましたし」
アオバレイコ「ええ、まさに空き家みたいな感じね」
ヒラギノカオル「機器や設備も古いのばっか ・・・はあ、ガッカリですよ」
アオバレイコ「はいはい、あんたのオタトークなんて 1ミリも興味ないわ」
ヒラギノカオル「・・・いやいや、これはあなたにとっても 重要なことですよ?」
アオバレイコ「・・・どういうこと?」
ヒラギノカオル「あなたが施術されたのって、 せいぜいここ数年のことでしょう?」
ヒラギノカオル「それを踏まえても、 ここの設備は古いって言ってるんです」
ヒラギノカオル「・・・つまり、お金がなかった 満足な施術ができないのも当然です」
アオバレイコ「・・・!!」
ヒラギノカオル「だからなるべく施術代を安くして、 人がたくさん来るようにしたんでしょうが──」
ヒラギノカオル「実力がなかったんでしょう 人がすぐに離れて行ったんですね」
ヒラギノカオル「そして、経営が立ち行かなくなって、 あなたからいただいた施術代で逃亡した」
ヒラギノカオル「・・・そんなところですかね やれやれ、とんだヤブ医者ですよ」
アオバレイコ「・・・そう、だったのね」
ヒラギノカオル「まあ、今更過去のことを悔やんでも 仕方ありません」
ヒラギノカオル「では最後に、あの一番奥の部屋に 入りましょうか」
アオバレイコ「ええ、そうね 確かあそこは、施術部屋だったはずだから」
アオバレイコ「あのヤブ医者の手がかりが、 何かしら残っているかもしれないわ」

〇病院の診察室
ヒラギノカオル「・・・へえ ここは意外と綺麗ですねえ」
ヒラギノカオル「この部屋だけ、ちゃっかり今も 使用し続けているのかもしれませんね」
ヒラギノカオル「・・・おやおや、どうしたんですか?」
ヒラギノカオル「そんな険しい顔をして」
アオバレイコ「・・・当然、でしょ」
アオバレイコ「ここは、全ての始まりの場所なのよ・・・」
アオバレイコ「私をこんな醜い顔にした・・・ まさにここで、このベットの上で・・・」
アオバレイコ「うがあああああああッ!!」
ヒラギノカオル「ちょ、落ち着いてください」
ヒラギノカオル「そんな騒いでいる暇があるんなら、 一刻も早く探すんです」
ヒラギノカオル「あのヤブ医者の手がかりを、ね」
アオバレイコ「・・・はあ、はあ、はあ、それもそうね」
アオバレイコ「ごめんなさい、少し取り乱したわ では早速机の引き出しから漁ってみましょう」
アオバレイコ「あのヤブ医者の正体がわかるもの・・・ それなら何でも良いわ」
アオバレイコ「何とか見つけ出して、 アイツの居場所を突き止めてやる・・・」
ヒラギノカオル「・・・おっ 問診票やら色んな書類があるじゃないですか」
ヒラギノカオル「おやおや、患者の名前、住所も バッチリ残っていますね」
ヒラギノカオル「おっ、医者のサインはっけーん」
ヒラギノカオル「あらあら、残念 インクが滲んで解読できませんね」
ヒラギノカオル「おっ、机の隅に野菜チップスが これ、私の大好物なんですよねー」
ヒラギノカオル「おや、動物の写真まで! はは、動物好きの医者だったんですかねー」
アオバレイコ「・・・ちょっと、アンタ 真面目にやってる?」
ヒラギノカオル「ちゃんとやってますよー 失礼しちゃうなあ」
ヒラギノカオル「・・・いやあしっかし、 ここは本当に古いのばっかりですねえ」
ヒラギノカオル「パソコンも、いつの年代の? ってシロモノですし」
ヒラギノカオル「椅子の座り心地も 絶妙に硬いですし」
ヒラギノカオル「このベッドも、ただ布を敷きました! 感が満載ですねえ」
ヒラギノカオル「いやあ懐かしい ・・・本当に、懐かしいですよ」
アオバレイコ「・・・懐かしい?」
ヒラギノカオル「ええ、そうです」
ヒラギノカオル「私も若い頃は、お金が無くてね」
ヒラギノカオル「アリモノで揃えて、 必死に患者の呼び込みとかやってたんですよ」
ヒラギノカオル「何だかその時のことを 思い出しちゃいましてね」
アオバレイコ「・・・ふうん・・・ アンタも昔は苦労したのね」
ヒラギノカオル「ええ、随分苦労しました」
ヒラギノカオル「毎日毎日遅くまで働いても、」
ヒラギノカオル「自分の手元には、 雀の涙ほどしかお金が残らなかった」
ヒラギノカオル「・・・本当、よくやってたと思いますよ」
ヒラギノカオル「たまに変な患者が来て、 その対応に四苦八苦したりしてね」
ヒラギノカオル「あまりにも自分勝手な奴だったから、 こいつの人生もっと狂わせたいと思って、」
ヒラギノカオル「わざと施術失敗したり ・・・とか」
ヒラギノカオル「・・・誰のことかわかりますよね?」
ヒラギノカオル「アオバレイコさん?」

〇病院の診察室
外科医「・・・はい、終わりましたよ」
ヒラギノカオル「おめでとうございます とっても素敵な顔になりました」

〇病院の診察室
「・・・う、そ・・・でしょ・・・」
アオバレイコ「そんな、まさか・・・ まさかアンタ・・・!!」
ヒラギノカオル「ハイこれ、 あなたの当時のカルテです」
ヒラギノカオル「そこに書いてある医者のサイン ・・・読めますか?」
ヒラギノカオル「さっきは「インクが滲んでる」 なんて、私言いましたけど」
ヒラギノカオル「それは嘘です ・・・その医者の名前、読んでみてください」
アオバレイコ「・・・あ、あ、ああああああ・・・」
アオバレイコ「ヒラギノ、カオル・・・!!」
アオバレイコ「じゃあ、やっぱりあなた、 当時私の顔を・・・」
アオバレイコ「整形失敗して逃げやがった、 ヤブ医者張本人!!」
ヒラギノカオル「・・・ふふっ、あはっ、 ひっははははは!!」
ヒラギノカオル「ようやく! よォやく、 気づいたんですねェ!!」
ヒラギノカオル「あんたの復讐相手は こんなにも身近に居たのに!!」
ヒラギノカオル「あんたはそれに全く気づかなかった!! っひひ、ひっヒャヒャヒャ!!」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:エピソード10〜シンジツ ガ クチ ヲ ヒラク〜

コメント

  • いやー驚きです!まさかの展開にビックリしました!アオバレイコさんとヒラギノカオルさん、ベクトルの異なる狂気が交わった今話ですね。レイコさんの復讐がなされるのか、次話がドキドキです。

  • 何か怪しいとは思っていましたが、まさかでした😱
    アオバレイコも狂っていますが、ヒラギノカオルはさらに狂っていますね……!
    復讐の行方、楽しみです!

成分キーワード

ページTOPへ