エピソード2ニカ(脚本)
〇病室のベッド
目覚めると、病院にいた────
すごくリアルな悪夢をみた
イヤな映画見たあとみたいだな
もやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもや
〇壁
・・・・・・そもそもなんで、病院に、いるんだっけ、
──────頭が痛い、思い出そうとしてもぼんやりとしてしまう。
自分の腕は、傷ひとつない。
夢の中で見た女の腕とは別物。
しかし、全く血の気がなくて、健康と逆位置にいることがわかった。
おもいだした。
薬を沢山のんでしまったんだった。
不健康な体に疲れてしまった。
毎日のむように処方されている薬の残り四日分をまとめてのんだんだ。
それでも生きている?
不思議
「また、失敗したんだ」
〇パールグレー
思い出さなければ良かった。
今までの苦しかった日々がまた襲ってくる。
山田ニカ「苦しい」
薬を探しても見つからない、ナースコールを押しても誰も来ない誰も助けてくれないはやく助けて苦しいいやだ
助けてだれか
〇ステンドグラス
救世主があらわれた!!
世界は、一変した。
魔法がかかった。
ラジオから流れる音楽に心を奪われた。
苦しかった息ができなかったさっきまでが嘘のように呼吸がうまくできる体が軽くなる。ての震えもおさまった。薬より効く。
〇病室のベッド
音楽にのって、耳に、頭に、心に、語りかけてくるその声は、甘くてあたたかくて、私は、これを感じるために何度も失敗した。
そして、あんな悪夢をみたのも、このラブソングなのか、失恋songなのかわからないこのメロディーに共鳴するために
────必要だったんだ。
そう確信した。
〇病室のベッド
世界が私を歓迎してくれている。
そう感じるのは、はじめてだ。
私は、はじめて私を肯定した。
私は、生きていて良いんだと思えた。
私は、生きているべきだとはじめて思った。
確信した。
確信できた。
確信した。
山田ニカ「ハッピーハッピーハッピーふんふふんふふんるんるんるんるらんらららんららららんらんらん」
山田ニカ「うふふふ」
〇病室のベッド
山田ニカ「はやく、ここからでて あいにいかなくちゃ」
頭のなかをぐるぐるとながれる音楽に私は、操られているおどらされている。素敵な未来に誘われている。ただ身を任せている。
私は、私の人生に責任をとるのをやめた。
私は、彼の声に、この声に従うだけだ。そのために私は、目をあけたりとじたりする。
お金を稼いで、お金を払って、お金を稼いで、お金を払って、お金を稼いで、お金を払って、お金を稼いで、お金を払って、
素敵な未来をそうぞうした。
胸が踊った。
彼の隣にいる私をそうぞうした。
幸福に包まれた。