ネクタイリング

サトJun(サトウ純子)

同士・同志(脚本)

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〇モヤモヤ
  『実は、お腹にあなたの子供がいるの』
  この言葉で涼太が動いたと、
  彼女は言った。
  だから、『私がそう仕向けた』と。
  ・・・いや、それは違う。
  その前に、涼太は私から
  逃げ出していた。

〇病室のベッド
  その時、私は既に
  捨てられていたのよ。
岩本玲菜「・・・」
岩本玲菜「大丈夫? 妊娠悪阻だって?」
河村杏奈「うん。ごめん。心配かけて」
河村杏奈「まー、いろいろあったから、仕方ないよね」
岩本玲菜「まさか、部長が駆け落ちするとは・・・」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「まぁ、そもそも、私が横から奪い取ったようなものだったからね」
岩本玲菜「そうなの!?」
河村杏奈「仕事が楽しくて結婚とか考えられない彼女の態度に、旦那さんが不安を感じていた時だったのよ」
河村杏奈「お義母さんからも「早く結婚してお子さんを」って急かされていたみたいだし」
河村杏奈「そこに『部長と結婚して子供が欲しいです〜』って言う、若くて可愛い私が登場!」
岩本玲菜「そこ、自分で言う?」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「いいの。 これで、旦那さんの両親や旦那さんに、更に貸しができたわけだし」
河村杏奈「私は「健気な嫁」で居座るわ」
河村杏奈「絶対に離婚はしない」
岩本玲菜「それで本当に良いの? 杏奈だったら、すぐに素敵な人が見つけられるって」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「大丈夫。旦那さんは必ず戻ってくるから」
河村杏奈「焼けぼっくいに火がついただけだから」
河村杏奈「私は、今は母親として、子供たちをしっかり育てることに集中するわ」
岩本玲菜「・・・」
岩本玲菜「杏奈は本当に強いね」
河村杏奈「そう?見直した?」
岩本玲菜「それだけ部長の事が好きなのね」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「それは違うかも」
岩本玲菜「違う?」
河村杏奈「私は家族を創っているの。 私と旦那さんの二人の感情問題なんて、大したことないわ」
岩本玲菜「家族を・・・創る・・・?」
河村杏奈「そそ。人生ゲーム。 『私もその駒のひとつ』ってこと」
岩本玲菜「・・・」
  『家族を創る』・・・か・・・

〇ホテルのレストラン
  私は、どんな結婚生活を
  望んでいるのだろう──
古城文彦「そうか。 杏奈ちゃん、大事に至らなくて良かった!」
岩本玲菜「ええ。明後日には退院できるみたい」
古城文彦「力になれる事があったら、いつでも言ってね。杏奈ちゃんもすっごく良い子だから」
古城文彦「旦那さんが戻ってきたら、俺がきっちりと説教してやる!」
岩本玲菜「いつも、いろいろ気にかけてくれてありがとう」
岩本玲菜「・・・」
岩本玲菜「そういえば、この間。涼太に 「結婚式、奥さまと一緒に出席しない?」って言ってみたんだけど、難しいかも」
古城文彦「そうかー。奥さまの顔、見てみたかったんだけどなー」
岩本玲菜「実は私、この間、奥さまと会ったの」
古城文彦「えーっ!ずるいー!」
岩本玲菜「可愛らしい方だったけど。 完全に涼太が押さえつけている感じだったわ」
古城文彦「うわぁ。それは可哀想に・・・」
岩本玲菜「相変わらず、夜、電話をかけてくる人に、電話を掛け直させているみたいよ」
古城文彦「あー。あれだろ? 自分が被害者になりきって、良い人アピールするゲーム」
古城文彦「まだやってんのかー」
岩本玲菜「・・・」
岩本玲菜「本当にもう大丈夫なの?」
古城文彦「うん。玲菜と幸せになるって決めたから!」
古城文彦「玲菜こそ、大丈夫?」
岩本玲菜「うん。私も、文彦さんと一緒にいる方が楽しい!」
岩本玲菜「だって私たち、同志だもんね!」
古城文彦「うん!一番分かり合える同志!」
  そう。あの時出会っていなければ
  どうなっていたかわからない──

〇玄関の外
  ──6年前
  私は、去った理由を問いただそうと
  涼太のマンションまで足を運んだ。
  そこで、インターフォンを
  押そうとしている人影を見つけた
岩本玲菜「誰っ?」
岩本玲菜「な、なに、それ!」
???「・・・涼太の彼女さんですか?」
岩本玲菜「はぁ?今、それを聞く?」
岩本玲菜「こっちが聞きたいわよ!」
岩本玲菜「・・・」
岩本玲菜「今、私は最高に」
岩本玲菜「機嫌が悪いのよっ!」
岩本玲菜「何なのよ。全く」
岩本玲菜「いったい、何なの? いきなり人に刃物を向けるなんて!」
岩本玲菜「涼太はいきなり消えるし!」
岩本玲菜「あー、イライラする」
岩本玲菜「説明しなさいよ!」
???「・・・」
???「す・・・すみません・・・ 彼女さんかと・・・」
???「私は涼太の同僚・・・ いや、元同僚です」
  それが
  文彦だった。
  話によると、一緒に創り上げてきた企画を、涼太が、さも、自分一人でやったように上司に報告したという。
古城文彦「それでも、涼太が喜ぶならそれで良かった」
古城文彦「なのに・・・ そのプロジェクトから、私を外したんです」
岩本玲菜「涼太なら、やりかねない。 仕事の恨みね」
岩本玲菜「でも、ナイフを持ち出さなくても・・・」
古城文彦「・・・」
古城文彦「「結婚したい人がいる」って言ったんです」
岩本玲菜「えっ?本当に?」
古城文彦「はい。上司に報告していたので・・・」
岩本玲菜「・・・そっちに逃げたか」
岩本玲菜「・・・でも、それ、あなたに関係ある?」
古城文彦「実は私・・・」
古城文彦「ずっとずっと涼太が大好きだったんです!」
岩本玲菜「はぁ?」
古城文彦「でも、今の関係性が崩れるのが怖くて、ずっと「このままでいい」と思っていました」
古城文彦「でも、結婚って言葉を聞いたら、黙っていられなくなって。思わず言っちゃったんです」
古城文彦「「恋愛対象として見ている」って」
古城文彦「そしたら、「冗談だろ?気持ち悪りぃ」って、笑いながら・・・」
岩本玲菜「なに、それ! その言い方は酷すぎるわ!」
古城文彦「もう、涼太の顔を見るのが辛くて耐えられなくて。会社を辞めて来ました」
  これが、文彦との出会いだった。

〇ホテルのレストラン
古城文彦「あの時、玲菜が止めてくれなかったら、今の俺はいない。本当に感謝してる」
岩本玲菜「感謝しているのは私の方よ。 あの時、文彦さんがいなかったら、きっと私が涼太をどうにかしていた」
古城文彦「・・・素手で?」
岩本玲菜「あー、もう。 あの時の事は忘れてよー」
  涼太にフラれたモノ同士
  一番醜いところを見せ合っている間柄
岩本玲菜「最初は、涼太への当て付けのつもりで 結婚話を進めていた」
岩本玲菜「でも今は・・・」
  文彦さんにネクタイリングはいらない
  そう、思える

〇カラオケボックス(マイク等無し)
  あの時──
足立美桜「あのネクタイリングは 「仕方がなくお前のところに戻って来てやったんだ」の合図です」
足立美桜「『お前は、ひとりの女性を不幸にしたんだ』と、いつも言っていました」
足立美桜「『相思相愛の仲を引き裂いた』とも」
足立美桜「『いつでもあっちにら行く事ができるんだぞ?』という脅かし」
足立美桜「私に罪悪感を与えるためのものなんです」
足立美桜「だから、結婚の話を聞いて、本当にホッとしました」
  『どうぞ、末永くお幸せに』
  美桜さんはそう言った。

〇モヤモヤ
  ・・・ん?
  なんか、おかしくない?
  涼太は私から『逃げ出した』のよ?
  なのに、どうして美桜さんにそんな事を・・・
  ・・・

次のエピソード:真と偽

コメント

  • 少しづつ、全容が分かりそうです。友達も旦那も、皆豊富な経験を持ってますねー。

  • 涼太に振り回されコンビの結婚。
    そんなことで一緒になっても同じ敵が居なくなったら別れてしまいそうです。彼の周囲は皆不幸ですね。子供は大丈夫なのか気になります。

  • 旦那様とはまさか過ぎる出会いだったんですね😂
    同じ男に振り回された者同士で幸せに…?と、その前に涼太は一体どういうつもりだったのか、何を考えてるのか…直接対決不可避ですね😆

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