第4話「こちらカスタマーサポート部MKC運営班です」(脚本)
〇オフィスのフロア
結婚式の翌日も、
オレは普段どおり職場へと出勤した。
これがリアルの結婚式なら、
結婚休暇制度を満喫するんだけど・・・
当然のことながら、
ネトゲ婚には適用されない。
仕事が嫌いなわけじゃないけど、
今日くらいは有給休暇を
申請すればよかったなぁ。
昨日、夜更かししすぎたせいで
眠いんだよ・・・
ちなみにオレの仕事は
カスタマーサポート業だ。
コールされるたびに現場へ急行し、
トラブルを解決している。
そして、その現場は「MKC」の
全エリアに及ぶ。
どういうことかって?
つまりオレは「オルテア」に雇われた
GM(ゲームマスター)の一人なんだ。
まぁ、契約社員だけどね。
〇オフィスのフロア
オレのログインを
待っていたかのようなタイミングで、
すぐに1件の【GMコール】があった。
早速現場に急行し、状況を確認する。
〇ヨーロッパの街並み
GMゆう「どうなさいました?」
プレイヤー「GMさーん、助けて~! 倉庫から荷物が取り出せないの。 何とかして~!」
GMゆう「分かりました。 状況を確認しますので少々お待ち下さい」
定型文で返答し、
ユーザーのサービス利用状況を確認する。
倉庫が利用不可能になる、っていうのは
よくある問い合わせだ。
そしてほとんどの場合が、
単なる追加倉庫サービスの
課金切れだったりする。
・・・うん、間違いない。
昨日で課金が切れてるな。
GMゆう「どうやら追加倉庫サービスの 課金切れのようです」
GMゆう「課金を再開していただければ、 再び使えるようになりますよ」
プレイヤー「あっ・・・!? し、しまった! 課金するのを忘れてた!」
プレイヤー「え、えと・・・ご迷惑をお掛けしました。 早速、課金してきます!」
GMゆう「いえいえ。それでは失礼致します」
〇オフィスのフロア
柊「悠ちゃん、おはよー。 昨日の結婚式、面白かったわ」
柊「おれ、ずっと笑いをこらえるのに 必死だったんだぜ?」
一仕事終えたところで、
上司の柊さんに話しかけられた。
彼は昨日の結婚式を執り行ったGMで、
オレの直接の上司だ。
悠「オレだって、まさかあんなことに なるとは思いませんでしたよ!」
柊「認識が甘いって。 君んとこのギルドは有名なんだからさ」
悠「むむ・・・」
柊「じゃあ、おれは帰って寝るから。 悠ちゃん、後はよろしくな」
悠「はい、分かりました」
柊さんは大あくびをしながら、
オフィスを出て行った。
夜勤明けでかなり眠そうだ。
正社員のチーフGMは3交代勤務で
大変みたいだけど、
契約社員のオレは昼専門だ。
昼間はコール数も少ないし、
夜に比べれば楽チンだ。
まぁ、その分、
常駐スタッフも少ないんだけどね。
同僚「なあ、柏木。柊チーフに聞いたんだが、 お前、MK婚したんだって?」
悠「うん。・・・まぁ、特典目当ての 結婚だけどね」
悠「相手とは長い付き合いだけど、 別に恋愛感情はないよ」
ちなみにオレの本名は「柏木悠一郎」だ。
同僚には「柏木」と呼ばれることが
多いが、何故か柊チーフには
「悠ちゃん」と呼ばれている。
同僚「相手の中身は男なんだろ? よく結婚する気になったな」
同僚「まぁ、柏木は可愛いから、 そっちの趣味のある男にはモテそうだが」
悠「何の話だよ! 特典目当てだと言ってるだろ!」
悠「大体、本当にMK婚したかった人には フラれたんだから」
同僚「そんなに怒るなよ」
同僚「そういや、去年の忘年会の柏木は 可愛かったなぁ。 あれ、アイドルのコスプレだっけ?」
〇居酒屋の座敷席
〇オフィスのフロア
悠「黒歴史を思い出させんなっ!」
悠「オレだって、好きであんな格好した わけじゃない」
悠「柊チーフの命令で 仕方なく従っただけだからなっ!?」
オレたちのやり取りを聞いていたのか、
周囲は笑いの渦に包まれていた。
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GMエピソードにリアリティがあったので、てっきり実体験ベースかと思ってしまいました!
それにしても、BL結婚式、、、ヒキが強すぎるタイトルですね!良からぬ方々も湧いてきそうな感じでww