美少女特攻隊(脚本)
〇宇宙空間
「過渡期の星系では、
大概長寿命の種属と短命の種属に分離し、別々な文化圏を形成するようになる」
これはどこかの短命の種族の物語。
この短命の種族にとっての
最高の快楽は死である
死ぬときが一番楽しいと学校でも家庭でも
教えるし
葬式はサンバカーニバルの様相をしている
一番派手な死に方をしたヤツが
一番すごいので
派手な死に方プランナーなどの
職業もある
この短命の種族にとって
生きてる間はクソつまらない
いや
いつ派手に死んでやろうか
ワクワクしているので
実は充実しているかも
〇島国の部屋
母「人は死んだら すっごいパラダイスに行けるのよ♪」
エース「じゃあなんで 私を生んだ パラダイスにいたままがよかった」
母「さあ なんでかしらね〜 ママもわからないわ〜」
母「なんか 生まれちゃってたから〜」
エース「ママはいつ パラダイスに行くの」
母「そうね〜 パパが帰ってきたら 一緒に花火にでもなろうかしら」
〇砂漠の滑走路
エース「我ら18才になる前に 死ぬ同盟!」
エース「その名も美少女特攻隊!」
ダイヤ「自分で美少女言っちゃう」
スペード「いいんじゃない べつに しぬし」
エース「そーそ べつに誰も 覚えやしない」
クラブ「そういや ちょっと昔は死なないために 過労死してたらしいぜ」
ハート「それよりもっと昔は 遺族年金のために兵隊として 死んでたらしい」
エース「変なのー!」
エース「自分の快楽を追い求めないなんて ナンセンスさ!」
クラブ「あたしらにとっては 死はアトラクション」
ハート「シャブ♪」
エース「このまま旧世界の習慣が残った 大人どもみたいに ふにゃふにゃ生きてても仕方ない」
スペード「作戦実行、だね」
エース「この世界は水の泡の中」
ダイヤ「飛びだそうか泡の外」
スペード「泡の外も突っ切って」
エース「美しい虚無へ飛び込もう」
ハート「パラダイスには 戻らない」
クラブ「あたしたちは だまされない」
エース「仮想の夢の 疑似感動」
スペード「偽物の 感情と思考」
ダイヤ「切り裂け 十字を 円環を」
エース「二度と交差しないよう 二度と巡り合わぬよう」
エース「子宮を消滅させた骨盤の中は いついかなるときでも安らぎである」
ハート「この世という子宮も消える」
クラブ「機首が泡を突っ切って 大洪水を起こすから」
〇戦闘機の操縦席(滑走路)
エース「作戦通り この世の泡を安定させる装置を 体当たりで破界する」
エース「5人5箇所 同時に突撃して 泡の外へ抜ける」
エース「いざ出撃ー!」
〇山並み
エース「目標確認。 あの山の天辺にある岩が 私が破壊する装置」
〇コックピット
エース「みんなは目標に着いた?」
「♡着いたよ ◇着いた ♧OK ♤準備万端」
エース「了解! ワクワクするね!」
エース「じゃあ行くよ 3、2、1」
〇地球
〇宇宙空間
〇水の中
〇水の中
〇仮想空間
〇黒
今作も作者さんならではの死生観が炸裂してましたね。メンバーそれぞれの「渡り台詞」を読んでいたらお芝居を見ている気分になりました。美少女特攻隊のコンセプトとビジュアルはアングラ演劇の香りもしつつ、2.5次元の芝居にも嵌まるような気がします。
たまに死後の世界ってどうなってるんだろう、と考えはじめ眠れなくなることがあります。
動物は不思議なもので、生まれた時から防衛本能を持っているのはなぜでしょうかね…。
死こそ快楽、短命こそ最高という設定が長寿社会のアンチテーゼとして効いていてとても面白かったです。長く生きると言うことを考えさせられました。