Ep1 天使の様な赤ちゃん。 @便利屋来訪赤子-コンビニ来る天才赤ちゃん(脚本)
〇コンビニのレジ
主人公「有難うございましたーっ」
あれから半月が経とうとしていた。
もう仕事を初めて1年半、いつになったら僕は夢を叶えられるのだろう?
夢は作家になって、漫画喫茶の経営者になり大好きな本に囲まれながら執筆
創作に気がのらない時は、自分の仕事を全うする。
少し変な店のオーナーかもしれないけどやってみたいなと思っている。
そりゃ、四六時中執筆というわけにはいかないので、まったり経営したいなぁ・・・・・・。なんてのが自分の夢だったりする。
そんな作家を目指しつつ、汗水たらして働いた給料の使い道についてだが半分は、奨学金の返済や、保険税の支払い。
残りの半分の半分は、家に入れる家賃兼食費、そしてその残り、つまり給料の四分の一が僕のお小遣いのようなものだ。
そのお金の使い道の六割は、本を買い、残りの四割は、パソコン機器を買ったり、パソコンの作業環境への投資に使っている。
少なくとも、作業のモチベーションは、前より上げやすい環境だと思う。
物凄く迷って買った、高級キーボード約一万八千円。
パソコンもマルチタスクで動きやすく、メモリを増設し、24型の大きいモニターを新調した。
生活に少し不満があるとしたら、九州の端に住んでいるので、都会の大型イベントには未だ一度も参加してないということだ。
とはいえ、大型イベント参加のために3ヶ月前後の買い物(本、食べ物、pc周辺機器積立金、作業環境への投資)
を我慢するほど行きたい訳ではない。
なんというか こー、お金に困ってなく大手を振って行きたいのだ。
過去に専門学校の研修で他の県に行った時のことだ、ネットの友達との楽しい時間、お金に少しだけ余裕がなく、
セコさがにじみ出てしまった事があり、思い出すと赤面してしまう、無理してイベントに行っても恐らく後悔するだろうと思う。
因みに、初めてのスタバに行って、どうせ飲むなら・・・とビックサイズの注文をしたことだ。
勿論、美味しかったけどね?
そして、今日も仕事をしている。
やや田舎にあるコンビニのため、酔っぱらいが来たりなどは殆ど無い。
一つ下の同じ学校だった人に『君』付けで呼ばれる屈辱に耐えながら、今日も一日頑張らないといけない。
平凡な一日の気がしたのもつかの間、変わったお客さんが来店した。
時刻は1時半過ぎ、ちょうど引き継ぎが終わってまったりしようとしていた時だった。
仲良さそうな若い夫婦が来店し、女性の方が赤ちゃんを抱えていた。
ふと赤ちゃんと目があった。
「いらっしゃいませ~」
2度めの挨拶をした、すると気のせいか、言葉を理解したみたいに
コクリと小さな会釈をした。
ん!? 気のせいだよね?
それにしても、恐らく1歳前後の赤ちゃんがコクリと会釈をしたのだ、可愛いったらありゃしない。
僕はすぐさま、お客に背中を見せ、赤ちゃんが偶然か必然かの会釈をした様子を何度か脳内再生し萌えに浸った。
それと同時に、『家庭っていいなぁ』と現実に戻った。
僕はもう26歳、この年齢となると結婚している人は結婚している。
以前働いていたスーパーで2つ年下の上司が居たのだが、しっかりとした家庭を築けて、しっかりと稼げているようだった。
いつまで夢を追いながら、その片手間でアルバイトする生活が続くのだろう。
「はぁ」
仕事中なのに大きいため息が漏れた。
そんな中、レジの近くでその夫婦の声が聞こえた。
赤ちゃんのパパ「明日残業確定だからなぁ・・・栄養ドリンクは・・・おっ、ボーナスポイント付くしこれにしようかな」
赤ちゃんのママ「え? そうなの? じゃ、早く帰って寝ないと・・・・・・」
心配そうに声をかける女性
赤ちゃんのパパ「嗚呼? 大丈夫だぞ? ・・・・・・・・・んまぁ、そうだな、早めに寝るか」
『大丈夫』と言っていた声のトーンが急に下がった。
心配そうな表情でもされたのだろうか?
ふと、未来の奥さんに自分もそういう風にされているところを想像する。
〇豪華な部屋
妄想嫁「『貴方、無理はだめよ、今日は仕事休んで私と・・・・・・』」
主人公「『そ、そうだな、毒抜きもしないとな、有給使わないとだし、休んじゃうか』」
妄想嫁「『や、休むの?休めるの?』」
主人公「『プロジェクトもひと段落だし、大丈夫だ!』」
妄想嫁「『そうと決まれば、は・や・く』」
主人公「『いただきまぁー-すっ!』」
なんて
はぁ・・・・・・。恋人ほしい、嫁さん欲しい、リア充したい。
〇コンビニのレジ
小さい溜息を漏らし、タバコの棚が目に入ったのでタバコの補充をすることにした。
そして、数分後
赤ちゃんのママ「お願いしまーす」
主人公「はい、ありがとうございます」
お客が挨拶と同時に買い物かごをレジに置いた。
ちらりとお客さんをみると、可愛い赤ちゃんの顔を見てしまう。
・・・。
・・・。
・・・。キュンッ
心を奪われた瞬間だった。
ん? あれ? また目があったような?
再び赤ちゃんに視線泳がせると
そこには、楽しそうにキャッキャ騒ぐ赤ちゃんとそれを優しく見守る両親の姿があった。
それから、ハッと我に返り、急ぎながらも丁寧に、商品をスキャンする。
主人公「二点、三点、四点、こちら温めますか?」
赤ちゃんのママ「いえ、大丈夫です」
主人公「かしこまりました」
そして、袋詰が終わり、お金をもらい、お釣りをレシートと一緒に渡すと
予想通りレシートを捨てようとするお母さんだったのだが
赤ちゃん(代理画像)「ァッ、ァッ!!」
捨てようとするレシートに何故か興味を示す赤ちゃん
赤ちゃんのママ「ん? 何? これ欲しいの?」
そう言われ、赤ちゃんは、お母さんからレシートを渡され、キャッキャッと喜ぶ。
主人公((・・・良いなぁ))
家庭持ちたい。そう思える場面だった。
気のせいか、赤ちゃんは、一瞬だけレシートの文字を真剣に見ていた気がした。
まさか?と思い目をこすると、
案の定レシートは赤ちゃんの手のひらでくちゃくちゃに丸められた。
その場しのぎの玩具代わりなのだろうか?
何はともあれ、眼福でした。
可愛い赤ちゃんのおかげで楽しく仕事ができました。
こんな風に楽しい気持ちで仕事ができるときもあれば、理不尽なクレームで凹むときもある、それがコンビニ勤務です。
赤ちゃんのキャラクタービジュアルが、、、でも何だが不思議と納得ですw 接客業あるあると、アルバイトあるあるが一杯で懐かしくなります