エピソード3〜私の居場所〜(脚本)
〇地下の部屋
アオバレイコ「アアアアアアアアッ!! ヒラギノカオルゥゥゥ!!」
「・・・ふぁ〜 どうしたんですか、夜中の2時に・・・」
ヒラギノカオル「・・・って、あなたでしたか」
ヒラギノカオル「なるほど どうやらついに、人を手にかけてしまったようですね」
ヒラギノカオル「どうです? 殺人鬼になった感想は?」
アオバレイコ「うがあああああああッ!!」
ヒラギノカオル「・・・あらあら 随分取り乱していますね」
アオバレイコ「だって、だって・・・」
アオバレイコ「私、人としての一線を 越えてしまったのよ・・・」
アオバレイコ「どうしよう、私、 このままじゃ警察に・・・!」
ヒラギノカオル「まあまあ、落ち着いてください」
ヒラギノカオル「スマートウォッチ、着けてるんですよね?」
アオバレイコ「ええ、でも、 バッテリーが切れちゃったのよ・・・!」
ヒラギノカオル「あちゃ〜 だから気をつけて、って言ったのに・・・」
ヒラギノカオル「警察も優秀ですから」
ヒラギノカオル「いずれは、あなた、 牢獄行きかもしれませんねえ?」
アオバレイコ「ぐっ・・・ぐぐぐッ・・・」
アオバレイコ「そ、そもそも、 バッテリーが短いのが悪いのよッ!!」
アオバレイコ「あんた天才なんでしょ!? もっと実用性のあるもの作りなさいよッ!」
ヒラギノカオル「いくら天才でも、限界がありますから」
ヒラギノカオル「それに、私はあなたに前もって ちゃんと忠告していましたよね?」
ヒラギノカオル「だからこれは、あなたのミスです」
ヒラギノカオル「泣きつかれても どうすることもできませんよ」
ヒラギノカオル「・・・残念ながら、ね」
アオバレイコ「・・・くそッ・・・」
アオバレイコ「あんたに会ったばっかりに・・・ 私はこんな不幸な目にッ・・・!!」
ヒラギノカオル「・・・フフッ」
アオバレイコ「・・・何笑ってるのよ、ヤブ医者が・・・」
ヒラギノカオル「いやあ、あなたは警察に 捕まることを警戒してますけど」
ヒラギノカオル「これ以上あなたがヘマをしなければ、 きっと捕まることはないですよ」
アオバレイコ「・・・どういうこと?」
ヒラギノカオル「ここ、御野町0丁目は、 普通の人はやって来れません」
ヒラギノカオル「警察も含めて・・・ね」
ヒラギノカオル「ですから、あなたが普段はここにいて」
ヒラギノカオル「復讐する3時間だけ、 スマートウォッチを着けて外に出れば、」
ヒラギノカオル「あなたが警察のお世話になることは ないでしょう」
ヒラギノカオル「だから、心配しなくて大丈夫ですよ」
ヒラギノカオル「あなたがここに居る限り ──あなたの身の安全は、保障されます」
アオバレイコ「・・・そう、なの、ね」
ヒラギノカオル「まあ、「外」の世界に未練があるなら 話は別ですけど」
アオバレイコ「・・・未練なんて、ないわ」
アオバレイコ「憎悪しかないわ ・・・だから私は構わない」
ヒラギノカオル「そうですか、それは良かった」
ヒラギノカオル「では、ここが今日から あなたの住む場所です」
アオバレイコ「・・・ふん ちょっとボロいけど、まあ良いわ」
ヒラギノカオル「そうそう、 ここに住むことを許可する代わりに」
ヒラギノカオル「是非、あなたに 協力してもらいたいことがあるんです」
ヒラギノカオル「あなたももう気づいているかもしれませんが、」
ヒラギノカオル「私は、普通の医者ではありません」
ヒラギノカオル「人を「治す」ことよりも、 「改造する」ことに興味があるのでね」
ヒラギノカオル「ですので、あなたには 私の被験者になってほしいんですよ」
アオバレイコ「・・・人体実験ってこと?」
ヒラギノカオル「そうです でも、あなたを傷めつけることはしません」
ヒラギノカオル「むしろ、あなたに素敵な 「ギフト」を授けたいんですよ」
ヒラギノカオル「復讐に役立つチカラを、ね」
ヒラギノカオル「これは、あなたにとっても 有益なことだと思うんです」
ヒラギノカオル「だから── 今後、あなたの賛否問わず、」
ヒラギノカオル「私の好きに”整形”させてもらえないでしょうか?」
アオバレイコ「・・・あなた・・・ 本当に頭トチ狂ってるわね」
アオバレイコ「それで私がOKと言うとでも?」
ヒラギノカオル「別にNOと言っても良いんですよ」
ヒラギノカオル「豚箱に入りたいなら、どうぞご自由に」
アオバレイコ「・・・ふん 豚箱行きか、あなたのオモチャになるか、ってことね」
ヒラギノカオル「別に私は、 あなたをオモチャ扱いする気はないですよ」
ヒラギノカオル「ただ、あなたが思い思いに 復讐するために、助力させていただきたい」
ヒラギノカオル「・・・それだけですから」
アオバレイコ(そんなの嘘に決まってるわ ・・・でも)
アオバレイコ(私には、復讐したい相手が まだいる)
アオバレイコ(しばらく、こいつの思うようにさせて──)
アオバレイコ(途中で裏切る、なんてこともアリよね)
アオバレイコ(何せ、私が改造されれば)
アオバレイコ(このヤブ医者の 息の根を止めることも容易いでしょうし)
アオバレイコ「・・・わかった あなたの言う通りにするわ」
アオバレイコ「その代わり、衣住食はしっかり 保証してもらうわよ」
アオバレイコ「私、仕事に行くこともできなくなる訳だし」
ヒラギノカオル「ひひひ、お安い御用です」
ヒラギノカオル「では、交渉成立、ということで」
ヒラギノカオル「・・・話もまとまったことですし、 今日はこの辺にしておきましょうか」
アオバレイコ「そうね また明日、ゆっくり話しましょう」
アオバレイコ「あなたには、 聞きたいことがまだあるから、ね」
ヒラギノカオル「はいはい、了解しましたよ ではおやすみなさい」
ヒラギノカオル「・・・ふふふ・・・ 全て私の計画通り、ですね」
ヒラギノカオル「アオバレイコ ・・・お望み通り、あなたの人生、」
ヒラギノカオル「180度ひっくり返しちゃいますよォ 私の技術で、ね♡」
〇暖炉のある小屋
──次の日──
アオバレイコ「ふああ〜、よく寝たわ」
「あら、おはようございます アオバレイコ様」
アタラシミサコ「朝食の用意は、もうできておりますので」
アタラシミサコ「どうぞ、 ゆっくりお召し上がりくださいませ」
アオバレイコ「・・・ッ!!」
アオバレイコ(・・・誰、こいつ こんなやつ、昨日はいなかった・・・)
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ」
ヒラギノカオル「彼女は、私の助手です」
アオバレイコ「じ、助手ですって?」
ヒラギノカオル「ええ、昨日はたまたま出かけていたんで」
ヒラギノカオル「ささ、こっちのテーブルに座って 一緒に朝食を食べましょう」
アオバレイコ「わ、わかったわ」
アオバレイコ(あら・・・ 結構ちゃんとした朝食じゃない)
ヒラギノカオル「・・・」
ヒラギノカオル「アタラシミサコさん、 ちょっとよろしいでしょうか」
アタラシミサコ「はっ、はい ・・・何でしょうか?」
ヒラギノカオル「私、朝食はパン派だって、 何度も何度も言ってますよね?」
ヒラギノカオル「なのに、白飯を出すなんて ・・・これは、私への嫌がらせですか?」
アタラシミサコ「・・・いっ、いいえ、 決してそういう訳ではッ・・・!」
ヒラギノカオル「なら、今すぐ朝食を作り直しなさい」
ヒラギノカオル「・・・良いですね?」
アタラシミサコ「ハイッ ・・・申し訳ございません」
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御野町0丁目での新生活という新たな展開と謎の手術、面白いことになりましたね。そして新キャラも登場。どんどんと本作に惹きつけられてます。