エピソード4〜Target2 クロコウチマサタカ〜(脚本)
〇オフィスビル前の道
19:30 オフィス街
アオバレイコ「よし・・・ スマートウォッチの充電はバッチリね」
アオバレイコ「あとは、復讐相手が 私の目の前に現れるのを待つだけ」
アオバレイコ「さっさと片付けて、 御野町0丁目に帰らないと・・・」
アオバレイコ「──!! あ、あれは」
アオバレイコ「か・・・カチョウ・・・ッ!!」
カチョウ「んっんー、どうだいマリアくん、 これから僕と一緒にホテルにでも・・・」
「えー♡ ダメですよォ、カチョウ♡」
「ごめんですけど、私もう帰らないとなので〜 それではッ☆」
カチョウ「ああッ マリアくん、待って・・・」
カチョウ「・・・くそ、逃げられた」
カチョウ「高い飯奢ってやったってのによォ・・・ まるで食い逃げだぜ、ったく・・・」
カチョウ「・・・ん?」
カチョウ(ほォ・・・、ありゃ上物だな)
カチョウ(ふふ、今日の相手は、 あの女にするか・・・)
カチョウ「やあやあ、君、 こんなところで何してるんだい?」
カチョウ「仕事帰りかな? どう、僕とこれから食事にでも・・・」
アオバレイコ(ふん、誰がこんなクズと ・・・と言いたいところだけど)
アオバレイコ(復讐の機会を得るために、 ここは素直に彼の言う通りにしましょう)
アオバレイコ「ええ、良いわ」
カチョウ「ありがとう 最高級のフレンチをご馳走するよ」
カチョウ(そしてその後、 最高級のアンタをいただくからな♡)
〇レストランの個室
カチョウ「ヘェ、 ヒラギノカオルちゃんて言うんだ」
カチョウ「僕はクロコウチマサタカ ・・・課長だよ☆」
アオバレイコ「へえ・・・それはすごいですね 私もカチョウって呼んで良いですか?」
カチョウ「ああ良いとも ・・・ところで」
カチョウ「どうして食事中もマスクを付けてるんだい?」
アオバレイコ「これは・・・その・・・」
アオバレイコ「今、口周りに出来物ができてて・・・ 人にあまり見られたくないんです」
カチョウ「そうだったのか そりゃ大変だねえ」
カチョウ「はあ〜 ・・・カオルちゃん、僕の悩みを聞いてくれるかい」
アオバレイコ「何でしょう?」
カチョウ「実は、最近とある部下が行方不明に なってしまってね」
カチョウ「しかも、殺人の容疑がかかっているんだ」
アオバレイコ(・・・!! それって、まさか、私・・・?)
カチョウ「まさか、ウチの会社に 犯罪者が出てしまうとはねェ・・・」
カチョウ「まあ、あんな陰気臭い女、 いつか何かやらかすとは思っていたけどね」
アオバレイコ「・・・ッ!!」
カチョウ「でも、僕として非常に残念なのは」
カチョウ「彼女が、僕のお気に入りだったってことさ」
アオバレイコ「!!」
カチョウ「確かにあの横に裂けた口、 気味悪い雰囲気はマイナスポイントだがね」
カチョウ「とても素直で、いい子ではあったんだ」
カチョウ「はああ、どこに行っちゃんだろう ・・・何なら僕が匿ってあげるのになあ」
アオバレイコ(・・・もしかして、カチョウは)
アオバレイコ(私のことを、本気で愛していた・・・?)
アオバレイコ(・・・やだ、どうしよう 私、こんな男にときめいちゃってる・・・)
アオバレイコ「で、でもカチョウには、 奥さんがいるんですよね?」
カチョウ「ああ ・・・でも、あんなのただの置物さ」
カチョウ「僕は、行方不明の部下 ──アオバレイコくんが居れば、それで良いんだよ」
アオバレイコ「・・・ッ!!」
カチョウ「ああ、彼女にもう一度だけ、 会いたいなァ」
カチョウ「そしたら、僕は彼女と結婚したい」
カチョウ「そう、思ってるよ」
アオバレイコ「けっ・・・ケッコン・・・」
カチョウ「・・・ああ、すまないね」
カチョウ「初対面の君に、 急にこんな話をしてしまって」
カチョウ「ただ、君が僕の想い人、 アオバレイコくんと似てるから──」
カチョウ「──あ! 決して、気味が悪いとかそういう訳じゃなくてね!?」
アオバレイコ「・・・この人になら・・・」
アオバレイコ「この人になら・・・ 私の全てを捧げても良いかもしれない・・・」
カチョウ「・・・え? それってどういう・・・」
アオバレイコ「カチョウ、ごめんなさい、 実は私・・・」
アオバレイコ「アオバレイコ・・・本人です」
カチョウ「・・・れ、れれれレイコくんッ 本当かい!?」
カチョウ「あれ? さっきまでそこにいたカオルちゃんは?」
アオバレイコ「カオルと私は同一人物なんです ・・・詳細は省きますけど」
アオバレイコ「それよりも、カチョウ・・・」
アオバレイコ「さっき言ったことって、 本当ですか・・・?」
アオバレイコ「私と、け、けけ結婚してくれるって・・・」
カチョウ「・・・あ、ああ」
カチョウ「もちろんだとも! 君は僕のものだよ、レイコ!!」
アオバレイコ「・・・!!」
・・・嬉しい・・・
こんな私を・・・
愛してくれる人がいたなんて・・・
〇おしゃれな居間
23:40 カチョウの部屋
カチョウ「さあ、入って」
カチョウ「良かったよ、 ここまで誰にも気づかれずに来れて」
カチョウ「今の君には、 殺人の容疑がかかっているからね」
カチョウ「中々思うように出歩けないだろう?」
アオバレイコ「ええ・・・そうですね」
カチョウ「なら、ずっとここに居ると良い」
カチョウ「今日からここが、君の居場所さ ここなら誰にも見つからないよ」
アオバレイコ(あのヤブ医者の所より、 ずっと良い場所・・・)
アオバレイコ「ここが、私の・・・」
カチョウ「さささ、スーツじゃ堅苦しいし 部屋着にでも着替えるかい?」
アオバレイコ「ありがとう では洋服をお借りするわ」
アオバレイコ「これは・・・奥さんの洋服かしら?」
カチョウ「そうだね でも、今日からは君のものさ」
カチョウ「他に欲しいものがあるなら言ってね 何でも買ってあげるから」
アオバレイコ(ああ・・・私を 大切にしようとしてくれるのね)
アオバレイコ「別に何もいらないわ 私にはあなたさえいれば十分よ」
カチョウ「れ・・・レイコくん・・・」
アオバレイコ「カチョウ・・・」
オクサマ「あなたー? もう帰ってるのー?」
オクサマ「もう〜 帰ったなら声くらいかけなさいよ〜」
オクサマ「・・・ってあら?」
オクサマ「ち、ちょっと! 何なのよこの薄気味悪い女は!!」
アオバレイコ(この人はまさか・・・ カチョウの奥さん・・・!!)
オクサマ「ちょっとあんた、 これは一体どういうこと?」
オクサマ「私に内緒で、 一体何やってんのよ!!」
カチョウ「そそそそそれはッ・・・」
アオバレイコ「・・・ふん、あなたこそ何よ、偉そうに」
オクサマ「何ですって?」
アオバレイコ「邪魔者はアンタだって言ってんのよ」
オクサマ「はあ!? 何言ってるの!? ここは私たちの家なのよ!?」
アオバレイコ「違うわ、ここは 私とカチョウの家よ」
アオバレイコ「アンタはカチョウに捨てられたの」
アオバレイコ「・・・そうよね、カチョウ?」
カチョウ「・・・う、あ、あああ・・・」
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カチョウ最低……
でも、そんなカチョウに「結婚」と言われて舞い上がったレイコさんのチョロさったらw
それ以前に「陰気臭い」「気味が悪い」などと言われていたのにもかかわらず。彼女の心の寂しさが垣間見えましたね。
都合よく利用されているだけなのに、孤独を恐れて拒絶できない人間の悲しみ……。なんだかよくわかる気がします。誰にも相手にされないくらいなら、悪い男の方に行ってしまいますよね。
課長があまりにクズだったので、最後はスッキリしました!