エピソード1 私と彼とサイキック☆(脚本)
〇繁華な通り
???「『孔雀乱れ突き』!!」
寧音「グハアッ!?」
虎太郎「寧音(ねね)ちゃーん!!?」
虎太郎「お前、よくも寧音ちゃんに酷い事を── 許さないぞ!」
寧音「ダメ・・・虎太郎(とらたろう)くん 逃げ・・・て」
霞む視界、その中に映るのは寧音を庇う恋人、虎太郎の背中
薄れゆく意識の中、寧音の思考はほんの少し前の時間を想起する
彼女らの身に降りかかった
──全くの理不尽に
〇黒
─それは、さかのぼる事─
─たった1時間前─
〇繁華な通り
─時は2022年、9月4日─
今日は待ちに待った私の誕生日デート!!
寧音(ウオォォォッ!待っていたぜ! この日をよぉ!!)
寧音(何故なら今日は愛しの彼虎太郎くんが──)
寧音(私にプロポーズをするからだッッ!!)
寧音「たぶんそのハズ!!」
虎太郎(急に叫んでどうしたんだろう? 変なモノを食べさせた覚えは──無いなぁ)
寧音(最近の虎太郎くんの様子には、おかしな所が多々あった・・・)
寧音(私の結婚観や両親の話を聞いてきたり 夜中にコッソリ私の薬指を測ったり──)
寧音(そりゃあ、どう考えても・・・)
寧音(プロポーズ!! ・・・だよね♪)
寧音(29歳・・・ 夢だった二十代での結婚にも間に合う)
寧音(悪く無い、悪く無いぞぉ!!)
寧音「えへっ、うえっへへへへっ」
虎太郎「あ、寧音ちゃんまた口を開けて笑って── ヨダレでべしょべしょだよ?」
フキフキ
寧音「グフフッ、かたじけない」
虎太郎「お腹が空いてきたのかな? 少しだけ早いけど、ランチを予約した店に行こうか」
寧音「どんなお店なの?」
虎太郎「肉々しい店だよ」
寧音「──好きッ♥️」
〇繁華な通り
寧音「ふんふふーん♪ るんるるーん♪ にくにくにーくー♫」
虎太郎「・・・何だろう? ヘンだなぁ?」
寧音「どうしたの~虎太郎く~ん?」
虎太郎「この辺り妙に男が少なくない?」
寧音「うんー?」
寧音「言われてみれば」
確かに──虎太郎くんの様な若い男は見当たらない
それに皆うつ向き、暗い顔をしている
寧音「なんだろう? 下痢でも蔓延しているのかな?」
虎太郎「寧音ちゃん、ランチ前だぞ」
???「ヘぇーッ? なんだい? 良いオトコが居るじゃないか!」
派手な女が現れ、私達の行く先を塞ぐ様に立ちはだかった
鳥李子「アタシは鳥李子(トリコ)って言うんだ お兄さん、結構良い男だねぇ?」
──むむ、何だかイヤな感じの女
寧音「そーなんですー! 自慢の”彼氏”なんですー!!」
寧音(隣はもう私で埋まってまーす♥️)
鳥李子「そうかい、わざわざアタシの前まで連れて来てくれて、どうもありがとうね」
寧音「──へ?」
鳥李子「お前は邪魔だ──失せな」
鳥李子「『孔雀乱れ突き』!!」
寧音「グハアッ!?」
〇繁華な通り
──何が起きたのか、よく分からない
あの女の体が光った後・・・
私は? ・・・私が、殴られたの?
鼻やら、全身あちこちから──
寧音(私の・・・血?)
虎太郎「寧音ちゃーん!!?」
寧音(大丈夫だよ、このぐらいの血──)
寧音(いつもの居酒屋で、裏メニューのレバ刺を食べれば治るよ)
──身体が重く、普段の軽口が出て来ない
虎太郎「お前、よくも寧音ちゃんに酷い事を── 許さないぞ!」
虎太郎くんが私を背中に庇う
寧音「ダ、メ・・・虎太郎、くん 逃げ・・・て」
頭を打ったからか、思ったよりも血を流したからか、視界は霞み意識はボヤける
鳥李子「子猫の威嚇みたいだね、可愛いったらありゃしない」
虎太郎「これ以上、寧音を傷付けさせるかよ!!」
虎太郎「ウオオッ!!」
虎太郎くんの拳は──薄ら笑うトリコの手の平で容易く受け止められた
鳥李子「つ~かま~えた~♥️」
鳥李子「じゃれついて来て、可愛いじゃないか♥️」
虎太郎「ぐうっ、はなせ!?」
鳥李子「う~ん、身長が高いのは高ポイントだけど、ちょっと膝をついてもらって──」
虎太郎「あァッ!?」
腕を捻られ、虎太郎くんが地に膝をつく
鳥李子「それじゃあ、いただきま~す♥️」
〇カラフルな宇宙空間
〇繁華な通り
寧音「あ、あぁ──」
暴れる虎太郎くんをトリコが力ずくで押さえ付け、無理矢理キスをしている
寧音「うあぁ──」
その光景を目にした私は、頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜられた様な痛みを感じ──
〇黒
私の意識は、闇へと──
〇黒
〇廃ビルのフロア
寧音「うぅ・・・」
寧音「何、ここ・・・?」
寧音「アッ!? そうだ虎太郎くんは? 虎太郎くん、どこ!?」
???「あんたの彼氏ならここには居ないよ」
寧音「アンタは────」
寧音「だ・・・誰ですか?」
???「アタイかい?アタイの名前は──」
カメ子「そうだね、カメ子とお呼び」
寧音「はぁ、カメ子さんですか?」
寧音「それよりも、虎太郎くんはどこですか? 何か知っているんですか?」
カメ子「あんたの彼氏はトリコに──NTRにさらわれたんだよ」
寧音「さ、さらわれた!!?」
寧音「トリコとか、そのNTRってどこですか? 警察に連絡しないと!」
カメ子「無駄だよ、警察だろうと自衛隊だろうと、ヤツらにさらわれた男を助けちゃくれない」
寧音「え?何で? 警察は助けてくれないの?」
カメ子「NTR・・・奴らはこの街に巣食う不良集団 その恐ろしさにはギャングも裸足で逃げる」
カメ子「四十以下の若い女だけで構成される、奴らは恐ろしい──」
カメ子「超能力者集団なのさ!!」
寧音「ちょっ、超能力ぅ!?」
〇水中
──超能力とは、何か?
それは人類の新たなる進化
人類の出現から、およそ20万年──
寧音「あのー? その話、もしかして長いですか?」
カメ子「──手短にしてやるからチョイと黙ってな」
〇森の中
──人間の誕生から脳は20万年の時の中で、劇的な進化を遂げていた
しかし劇的な進化とはいえ、それは20万年もの時を要した代物
〇中東の街
文明が生まれてから現代までの1万年程度では、そう大きく変わるものではなく──
我々人類の脳は、未だ狩猟時代のそれと大差無い
それが通説だった──
〇研究所の中枢
だがしかし──そうでは無かった
人類の脳は、明らかな進化を遂げていた
〇廃ビルのフロア
カメ子「それが超能力、全ての人類が目覚めるには少しばかり早いんだが──」
カメ子「まれに、脳に強い刺激を受けた者が先んじてその力に辿り着ける程になったのさ」
カメ子「その刺激とは手術や投薬、あるいは──」
寧音「スイマセーン、話長くて覚えられそうに無いんで60字以内で──」
カメ子「チッ、アホめ」
寧音「うへッ、すんません」
カメ子「最近の人間は脳に強いストレスを受けるとまれに超能力が発現する様になって、アンタの彼氏をさらったのはその超能力を使う女だよ」
寧音「なんと、超能力なんてものが実在するとは」
寧音「でも、アイツ私を物理で殴ってきたよ? こう──オラオラッ!って」
カメ子「超能力ってのは何もない空間で力を使うより、その芯になる物がある方が強い」
カメ子「一番手っ取り早いのが自分の行動の強化──つまり殴るのが一番強い使い方なのさ」
寧音「超能力(レベル)を上げて物理で殴るのか」
寧音「でもその──超能力って警察のピストルで何とかできないんですか?」
寧音「僕らのニューナ○ブの出番だと思うんだけれど」
カメ子「けっこう物騒な子だねぇ」
カメ子「弱い超能力者には有効だけれども、奴らNTRの上級サイキッカーには効かないね」
カメ子「幹部連中にはロケットランチャーも効かないし──」
カメ子「奴らのボスにはミサイルすら効かない」
寧音「ウソ、だろ?」
カメ子「そして奴らを制圧しようと攻め込んだ自衛隊の特殊部隊も──」
寧音「まさか、皆殺しに──」
カメ子「──全員、お持ち帰りされちまったよ」
寧音「お、お持ち帰り?」
〇ラブホテルの部屋
カメ子「それはもう、レイティングの低い子の前では話せないようなコトを・・・」
寧音「な、なんてこった」
〇廃ビルのフロア
寧音「それじゃ急がないと」
「グギャ!?」
カメ子「その傷で何をしようってんだい?」
寧音「だって!! だって早く助けに行かないと──彼が、彼の──」
寧音「虎太郎くんの貞操が危ない!!」
カメ子「アンタ、今度はトリコに殺されるかも知れないよ?」
寧音「結婚が──今日のデートは結婚の臭いがプンプンしていたの!!」
寧音「花婿盗られてだまっていられるかよ!!」
カメ子「────奴らがお持ち帰りした男達は多い」
寧音「糞ビ○チどもがッ!!」
カメ子「アンタの彼氏が食べられるまで、まだ幾らかの時間があるハズさ」
寧音「これは、トリコと同じ光!?」
寧音「なんだーッ!?」
寧音「き、傷が、治った!?」
カメ子「アンタには才能がある──だから、1ヶ月アタイがアンタを鍛える」
カメ子「アンタは、サイキック戦士になるんだよ!!」
寧音「さ、サイキック戦士~~!!?」
カメ子「明日からみっちりねっちり仕込んでやるよ 今日は歯を磨いて早く寝な」
寧音「────」
寧音「とんでもない事になったけど──待っていてね、虎太郎くん」
寧音「私が必ず助けに行くから!!」
〇黒
〇廃ビルのフロア
─そして翌朝─
「・・・か、髪が」
〇空
寧々「無いなってる~~!!」
続くッ!
アラサー恋愛のリアルな導入からのまさかの展開。めっちゃ笑いました(^▽^
面白かったです🤣
こっそり薬指の測定をされるのは、憧れますね!
1ヶ月の修行を終えたら、主人公はどんな戦士になるのでしょうか……!
居酒屋の裏メニューのレバ刺しが食べたくなりました。
めっちゃ展開が熱くて好きです🔥
NTRを殲滅する瞬間が来るのか...!?楽しみです🤗