ストレンジャー・ダディ 〜メビウスの絆〜

松田エルナ

第7話 『シンギュラリティ』(脚本)

ストレンジャー・ダディ 〜メビウスの絆〜

松田エルナ

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〇街中の公園
謎の少女「あなたは・・・イオ」
謎の少女「『マザー・イオ』・・・」
「・・・マ、『マザー・イオ』!!!??」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「な、なにそれ・・・?」
謎の少女「・・・」
遥太(ようた)「キミ、なんで僕たちの名前を・・・」
謎の少女「・・・」
遥太(ようた)「ねえ、答えてよ!!」
謎の少女「・・・・・・」
謎の少女「う・・・」
遥太(ようた)「う?」
謎の少女「うおろろろろろろろ」
遥太(ようた)「う・・・うわーーー!!!?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「おおおおぉぉ!!?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「よ、よったんがゲロまみれに!!」
遥太(ようた)(な、生暖かい・・・)
謎の少女「ご、ごめんばさ・・・い」
遥太(ようた)「え・・・ちょ、ちょっと!?」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「・・・すごい熱!!」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「よったん、どうしよう!!?」
遥太(ようた)「・・・」

〇寂れた雑居ビル

〇古書店
「・・・」
絢斗「・・・」
絢斗「とりあえず、大したことはなさそうだ」
絢斗「おそらく風邪か何かだろう」
絢斗「もしくは過労・・・」
絢斗「極度に身体に負担のかかる何かを・・・」
遥太(ようた)「・・・」
絢斗「ところで、この子はいったい誰だ?」
絢斗「遥太とイオさんの友達か?」
遥太(ようた)「・・・」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「そ、そんなところです! ね、よったん!?」
遥太(ようた)「・・・」
絢斗「・・・そうか」
鳴海 イオ(なるみ イオ)(も~!!? 最近なんなのこの親子は!?)
大山 さち「おっす~ 等々力、今日はもう店じまいしようぜ」
絢斗「ああ、そうだな」
大山 さち「お、ヨウちゃん と、今日はイオちゃんも来てたか」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「お邪魔してます、さっちゃん」
大山 さち「おす~」
大山 さち「・・・あれ、もう一人」
謎の少女「す~・・・す~・・・」
大山 さち「・・・?」
大山 さち「・・・・・・」
大山 さち「ああああぁぁ!!!??」
絢斗「な、なんだいきなり大声で!?」
大山 さち「こいつ、『あのとき』のゲロ女!!?」
謎の少女「ぱちっ」
鳴海 イオ(なるみ イオ)「あ、さっちゃんの大声で目が覚めた!!」
謎の少女「あ・・・先ほどはどうも」
謎の少女「お店汚して・・・ごめんなさい」
大山 さち「は、はあ!?」
絢斗「し、知り合いなのか?」

〇古書店
  『先ほど』って・・・
  あれ、ヨウちゃんがまだ
  小っちゃかったころだよな?
  たしか9年くらい前
  変な機械をヨウちゃんに渡せって・・・

〇古書店
  でも、この子は今もヨウちゃんたち
  と同じ年ごろにしか見えない・・・
大山 さち(まさか・・・)
絢斗「どうした?」
大山 さち「相当高級なコスメ使ってんだろ!!?」
絢斗「お前、さっきからどうした・・・?」
謎の少女「・・・」

〇古いアパートの部屋
絢斗「よし・・・ うまみ成分と塩分のバランスが絶妙だ」
遥太(ようた)「・・・」
絢斗「お、おう、遥太」
絢斗「あの子はどこ行った?」
絢斗「夕飯でも一緒にどうかと思ってな」
遥太(ようた)「・・・外の空気が吸いたいって 屋上に行ったよ」
絢斗「そ、そうか・・・ ちょっと呼んでこよう」
遥太(ようた)「・・・」

〇低層ビルの屋上
絢斗「こんなところにいたら冷えるぞ」
絢斗「えっと・・・」
エーファ「エーファです」
絢斗(エーファ・・・ドイツ系か?)
絢斗「エーファさん、温かい味噌汁ができた 暖まるぞ」
絢斗「こんな季節にあんな薄着でいたから 風邪でも引いたんじゃないか?」
絢斗「もしかして 真夏の南半球からでも来たのか?」
エーファ「いえ・・・もっと、ずっと遠いところ」
絢斗「え・・・?」
エーファ「アヤトさんとヨータさんは いい親子なんですね」
絢斗「そ、そうか?」
絢斗「まあ、最近はちょっと反抗期気味だがな」
エーファ「反抗したとしても、変わらず 自分を愛していてくれる・・・」
エーファ「最後には、きっと自分を 受け入れてくれる・・・」
エーファ「そう信じていなければ 親へ反抗もできないものですよ」
絢斗「そ・・・そういうものか?」
エーファ「・・・」
絢斗「キミの親も心配してるだろう うちで夕飯を食べたら送っていくよ」
エーファ「アヤトさん・・・」
絢斗「ん?」
エーファ「ノイマン・・・という 科学者を知っていますね?」

〇豪華な社長室

〇低層ビルの屋上
絢斗「・・・!!」
絢斗「なぜその名を?」
エーファ「知っていますよね?」
絢斗「あ、ああ・・・ 論文で何度も見かけてる」
絢斗「素粒子物理学会では高名な先生だからな」
エーファ「いえ、あなたは面識があるはずです」
絢斗「・・・!!」
絢斗「何が・・・言いたいんだ?」
エーファ「聞いてください」
エーファ「彼のチームが明らかにした ある研究報告があります」
絢斗「??」

〇歴史
エーファ「『祖父殺しのパラドックス』 を知っていますか?」
絢斗「ああ・・・? 知ってはいるが、何の話だ?」
  あるタイムトラベラーが
  過去にさかのぼり・・・
  自分自身の祖父に接触し──
  祖父の子ども──すなわち彼自身の親が
  生まれる前に、祖父を殺したとします
  すると、過去にやって来た彼自身が
  この世に生まれないことになり・・・
  そもそも祖父が殺されることもなくなる
  すると、やはり祖父に子が生まれ・・・
  やはりタイムトラベラーも生まれ・・・
  やはり過去の祖父を
  殺害することになり・・・
  彼の存在自体に論理的矛盾が
  生じることになる

〇低層ビルの屋上
エーファ「それが『祖父殺しのパラドックス』です」
絢斗「なあ、いったい何の話を・・・」
エーファ「続けます」
絢斗「・・・」

〇研究所の中枢
  Dr.ノイマン・・・
  彼のチームは『検証』を繰り返して
  ついにこの議論に終止符を打ちました
  もっとも・・・それは彼が
  『ある理由』で退いたあとの話でしたが

〇低層ビルの屋上
絢斗「タ、タイムトラベルなんて 荒唐無稽な・・・」
絢斗(ノイマン所長は俺の研究に 興味を示してなかったし・・・)
絢斗(2040年時点でも彼がそんな研究を していたなんて聞いたこともない)
絢斗「大体、『検証』なんてどうやって・・・」
エーファ「・・・」
絢斗「おい・・・まさか」

〇数字
  彼らは・・・
  タイムトラベルによって
  過去に干渉する実験を繰り返した

〇低層ビルの屋上
絢斗「ちょ、ちょっと待て!!」
絢斗「さっきから一体何の話をしてる!? まだ熱があるんじゃないのか!?」
エーファ「しかし・・・」
エーファ「過去への干渉によって 現在を変えることは叶いませんでした」
エーファ「先ほどの例になぞらえれば・・・」
エーファ「タイムトラベラーは決して 祖父を殺すことはできない」
絢斗「・・・!!!!」
エーファ「なぜなら、彼が祖父に殺意を抱いて 過去にさかのぼることもすべて・・・」
エーファ「この世の理によって確定された 『歴史』だからです」
エーファ「『私たち』は・・・ それを時間軸の単一性──」
エーファ「『シンギュラリティ』と呼んでいます」
絢斗「・・・」
絢斗「『シンギュラリティ』・・・」
絢斗「時間軸は・・・単一・・・?」
エーファ「2049年に──」
エーファ「私が書いたレポートです」
絢斗「ちょっと待て・・・」
絢斗「2049年・・・だと?」
エーファ「アヤトさん・・・」
エーファ「いえ、『Dr.トキトウ』」
絢斗「なぜその名を・・・!?」
エーファ「落ち着いて聞いてください」
エーファ「お気の毒ですが──」

〇炎
  イオさんを救うことはできません

〇血しぶき
  ヨータさんは、『明日』・・・
  イオさんを殺します──

次のエピソード:第8話 さらにもう1人のストレンジャー

コメント

  • タイムパラドクスが出てきましたね!
    面白くなってきましたああ!
    恋人が死んでタイムマシンで過去に行く映画を思い出しました。

  • 新しくなった表紙、めちゃめちゃカッコイイですね✨
    歴史は変えられない……全て最初から決まっていて、動かない。決定論的世界観を思い出しました。
    本当に遥太がイオを殺してしまうのなら、きっとどうしようもない理由があるんですよね。そしてきっとイオは生き続けるはず(そうであって欲しいです)
    余談ですが、さっちゃんの「高級コスメ〜」がツボでした😆9年前と変わらぬ肌艶だったら私もそんなコスメ使いたい!

  • 読むのが遅れてしまって😱

    例のパラドクスは有名な話ですが、それを解決する為に生まれたのがアレな訳で…… つまりシンギュラリティ、特異点になっているのが…… ん? 合ってるかな? 野暮かな? 大人しく待つとします。

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