老いらくのアヴェンジャー

富士鷹 扇

第二話 百足女(脚本)

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〇黒

〇教室の教壇
草壁 若葉「今日も美味しそう」
長谷川 カレン「おい、草壁ぇ」
草壁 若葉「いたっ」
草壁 若葉「は、長谷川さん」
長谷川 カレン「お前今日もババアのしょぼい弁当だろ?」
長谷川 カレン「そんなんじゃ栄養偏るからさあ」
長谷川 カレン「私がオカズ用意したげたよ」
長谷川 カレン「ほら、ムカデぇ」
草壁 若葉「うっ」
長谷川 カレン「昆虫は栄養豊富らしいぞぉ」
長谷川 カレン「・・・」
長谷川 カレン「口あけろ」
草壁 若葉「い、いやっ」
長谷川 カレン「あ?」
草壁 若葉「ひっ」
長谷川 カレン「なに? 逆らうの?」
草壁 若葉「い、生きたムカデなんか、食べれないよ」
草壁 若葉「うあ!?」
長谷川 カレン「ノリ悪ぃなぁ!」
草壁 若葉「ご、ごめん、なさい」
長谷川 カレン「・・・」
長谷川 カレン「そ じゃあ、もういい」
長谷川 カレン「彼氏にお前のババア」
長谷川 カレン「ぶん殴ってもらうから」
草壁 若葉「え!? な、なんで!?」
長谷川 カレン「お前のノリが悪いからだろー」
長谷川 カレン「老人って鼻のあたりぶん殴ったらどうなるんだろ」
長谷川 カレン「楽しみー」
草壁 若葉「やめて!」
長谷川 カレン「ああ?」
草壁 若葉「おばあちゃんは関係ないでしょ!? 何もしないで!」
長谷川 カレン「いや知らん知らん」
草壁 若葉「お、お願いします! 私になら何してもいいから!」
長谷川 カレン「じゃあ、これ食えよ」
草壁 若葉「・・・ひっ」
草壁 若葉「ゆる、して、ください」
長谷川 カレン「は?」
草壁 若葉「おねがいします・・・ 許して・・・ 他の事なら・・・」
長谷川 カレン「ふざけんな!」
草壁 若葉「いっ」
長谷川 カレン「食えよ!」
長谷川 カレン「ババア殺すぞ!」
草壁 若葉「・・・は、い」

〇黄色(ディープ)
長谷川 カレン(あの後、ほんとにムカデ食って)
長谷川 カレン(バタバタ暴れながらゲロ吐いてたの、面白かったなー)

〇地下の避難所
長谷川 カレン「・・・ん」
長谷川 カレン「ん?」
長谷川 カレン「はあ!? え、なにここ!?」
  長谷川 カレンは目を覚ますと、見知らぬ倉庫の一角に閉じ込められておりました。
  目の前に出口らしい扉は見えますが
  頑丈な鉄格子によって阻まれています。
石田「あ、やっと目を覚ましたんだね」
  鉄格子の向こう側、倉庫にある唯一の扉から姿を現したのは
  カレンをさらった石田でございました。
長谷川 カレン「私をさらったのお前か! こっから出せよ!」
「あはは 元気いいなあ」
「でも、出してあげない」
長谷川 カレン「ああ!?」
「言ったでしょ? 君には食レポをしてもらうって」
「勿論、撮影もするよ」
「よいしょっと」

〇地下の避難所
「うん」
「ばっちりだね」
長谷川 カレン「ふざけんな! こんな事して許されないだろ!」
「許されない?」
「許されないって、誰に許されないの?」
長谷川 カレン「は、あ? そ、そりゃ ケーサツとかだろ!」
「あはは そっかそっか」
「でも大丈夫だよ 君は家出したことになったから」
長谷川 カレン「したことになった、って どういう意味だよ」
「君の彼氏君ね ウチのシマで好き勝手してたから」
「ちょっと事務所でお話してさ」
「そのついでに 君が家出したって証拠を色々とでっち上げるのに協力してもらったんだ」
長谷川 カレン「え?」
「君は彼氏と一緒に東京に行ったことになってるよ」
長谷川 カレン「嘘でしょ」
長谷川 カレン(この石田って奴 絶対ヤバい奴だ)
「まあ、そんな事はどうでもいいんだ」
「お仕事の話をしよう」
長谷川 カレン「し、仕事ってなに」
「言ったでしょ?」
長谷川 カレン「しょ、食レポ」
長谷川 カレン「ちゃんと、食レポしたら、帰してくれるの?」
「勿論!」
長谷川 カレン(よかった・・・ そもそもなんで私がさらわれたのか意味わかんないけど)
長谷川 カレン(とにかくこいつの言う事聞いて ここから出よう)
長谷川 カレン(そしたら、仲間集めてこいつをぶっ殺す!)
長谷川 カレン「・・・何を食べればいいんだよ」
「壁際にでっかいビンが1つあるでしょ?」
長谷川 カレン「は?」
  倉庫の壁際に置いてあったのは、カレンの顔よりも大きなビンでございます。
  そして、それらのビンの中には
「あはは」
長谷川 カレン「嘘でしょ!?」

〇CDの散乱した部屋
草壁 みどり「まったく」
草壁 みどり「散らかしすぎですよ、モンちゃん」
モンちゃん「いやはや、面目ねえ」
  遊園地デートから開けて翌日
  みどりはデートのお礼もかねて
  紋吉郎の住処である天楽荘の一室を、パタパタと掃除しておりました。
モンちゃん「みどりちゃんがこうして俺の世話を焼いてくれるのは」
モンちゃん「非常に嬉しいんだが」
モンちゃん「店の方はいいのかい?」
  みどりは街の商店街で
  小さな和菓子屋を切り盛りしております。
  ちなみに、店舗の裏側が住居スペースでございます。
草壁 みどり「ええ 孫の事もありますし、しばらくは休業としました」
草壁 みどり「今は復讐で手一杯です」
モンちゃん「・・・」
モンちゃん「復讐が落ち着いたら、また店を開けりゃいい」
モンちゃん「みどりちゃんの客は、ちょっとやそっとじゃ逃げねえよ」
草壁 みどり「そう、でしょうか」
草壁 みどり「今はまだ、先の事を考えることができませんが」
モンちゃん「そんじゃあ 俺が代わりに考えといてやるよ」
草壁 みどり「あら、頼もしい」

〇古いアパートの一室
草壁 みどり「よし、すっかり片付きましたね」
モンちゃん「すげえ、久しぶり床見たな」
草壁 みどり「普段からもう少し、整理整頓してくださいね」
モンちゃん「いや、整理整頓とか苦手なんだわ」
草壁 みどり「まったく」
モンちゃん「よ、よし 飯食いにいこうぜ!」
モンちゃん「片づけてくれたお礼に美味いすき焼き食わせてやるよ」
草壁 みどり「まあ、それは楽しみです」

〇地下の避難所
長谷川 カレン「ムカデなんか食べられる訳ないでしょ!?」
「いや君 草壁 若葉ちゃんに無理やり食べさせたよね?」
長谷川 カレン「はあ!? なんで草壁の名前がっ」
長谷川 カレン「・・・あんた、草壁の関係者?」
「まあ、そうとも言えるかな」
長谷川 カレン「あいつは勝手に自殺したんだよ! 私は関係ない!」
長谷川 カレン「だからこっから出せよ!」
「・・・僕さ、結構おばあちゃんっこだから」
「今回の仕事、そこそこ気合入ってんだよね」
長谷川 カレン「はあ?」
「だから色々と頑張って調べたよ」
「長谷川 カレン 君が生きていくには」
「1日に最低でも900kcalは必要」
長谷川 カレン「あ?」
「ムカデ1匹のカロリーは約5kcal」
「つまり君は、1日に180匹のムカデを食べれば、生きていける」
「そのビンには1000匹以上入ってるから」
「カロリー的には余裕で生きられるよ」
「良かったね!」
長谷川 カレン「ふざけんなあ!!」

〇居酒屋の座敷席
草壁 みどり「まあ、美味しそう」
モンちゃん「実際美味えのよ 俺のお墨付きだ」
草壁 みどり「それは楽しみですね」
モンちゃん「おうよ さっさと食おうぜ」
草壁 みどり「はい」

〇地下の避難所
「ちなみに、飲料水は一切渡さないから」
「多分君、5日後には死ぬよ」
「死んじゃうまでに、食べきってね」
長谷川 カレン「うそでしょ!?」
長谷川 カレン「なんで!? 私なにも悪くないじゃん!!」
「いや凄いね君」
「多分なにかの素質あるよ」
長谷川 カレン「お願い! なんでもするから許して!」
「草壁 若葉ちゃんが『許して』と言った時」
「君は許したの?」
長谷川 カレン「はあ!?」
長谷川 カレン「今、草壁関係ないじゃん!!」
「・・・」

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コメント

  • みどりさん、なかなかキてますね。
    憎しみとか復讐を楽しむような彼女はモンちゃんの好きだった彼女なのか。向かう先は地獄になりそうで、今から空恐ろしいです。復讐相手も、彼女も。

  • すごいすごい!どうやってこんなすごい展開思いつくのやら!😳
    拉致描写に楽しげなデートを挟んだ対比が鮮烈で、かけはなれていた恐怖とほのぼのが狂気へと交わって行く。鮮やかでした!✨️

  • 私、ムカデは食べたことはありませんが、ゲテモノ店で蠍は食べた事がありまして、海老の殻の中に空豆の潰した物を入れた様な味でございました。

    口調が移ってしまいました。
    次回、どの様な展開になりますのか、楽しみにしております。

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