この世の女は俺のママ!

危機綺羅

11.このママではいられない。その1(脚本)

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危機綺羅

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〇黒背景
シタラ「ううん・・・」

〇簡素な部屋
シタラ(そっか、宿に・・・アルは・・・?)
シタラ(珍しい! いつもは起きてるのに・・・)
シタラ「アル、もう朝だよ」
アルバス「もっと・・・ママっぽく・・・」
シタラ「・・・起きてるじゃん」
シタラ「先に朝ごはん食べてるよ?」
アルバス「──待ってくれママ、一緒に食べる!」

〇寂れた一室
シタラ「──美味しい! 朝食があるって素敵!」
アルバス「普段は保存食が多いもんな ママには不自由させちまって・・・」
シタラ「なに言ってるの! あれはあれで美味しいでしょ!」
アルバス「そ、そうか? それならいいが・・・」
シタラ「あ!? アル、動かないで──」
シタラ「はい、取れた! ごはん屑ついてたよ?」
アルバス「シタラママ・・・」
シタラ「どうしたの?」
アルバス「俺は、良いママを持ったなぁ・・・!」
シタラ「いや、なに・・・?」

〇草原の道
シタラ「──宿があるし、道もあるし、 ここ最近は快適だね!」
アルバス「今向かってるのは、降物都市だからな」
シタラ「降物都市・・・?」
アルバス「降物で発展した町のことさ 夜も明るいし、珍しい物も多いんだぜ!」
シタラ(降物で発展・・・ もしかしたら、私のこともなにか・・・)
シタラ「──でも、お父さんもいるんだよね」
アルバス「なんだよ、不安なのか?」
シタラ「だって、アルのお父さんだし・・・ アルと同じでヤバそうっていうか・・・」
アルバス「おいおいママ、なに言ってるんだよ」
シタラ「ご、ごめん!  そうだよね、失礼だったよね──」
アルバス「ヤバそうじゃなくて、ヤバいんだ」
シタラ「え? そっち!?」
シタラ「あ、あれ?  お父さんのこと、嫌いなの?」
アルバス「いや、大好きだし尊敬もしてる」
アルバス「ただパパはなぁ・・・ ちょっと親バカというか・・・」
シタラ(アルが引くほどの親バカ・・・!)
アルバス「なにか失礼なことあっても、 あんまり怒らないでやってくれよ」
シタラ(ふ、不安だ・・・)

〇ヨーロッパの街並み
アルバス「──大丈夫か、ママ? はぐれてないか?」
アルバス「俺が迷子にならないように、 しっかり見ててくれよ!」
シタラ「普通逆でしょ、それ・・・」
シタラ「まあ、はぐれたら嫌だし手を繋ごっか?」
アルバス「おお・・・! セリフと手からママを感じるぜ・・・!」
シタラ「変なこと言わないの! いっぱい人がいるんだから・・・」
シタラ「というか、本当賑わってるね・・・!」
シタラ「お父さん、ここに住んでるんでしょ? いったいなにしてる人なの?」
アルバス「仕立て屋だな 服屋って言うほうがわかりやすいか?」
アルバス「自慢じゃないが、パパの店は この町で一番目立つ店なんだぜ!」
シタラ「へー! そんな立派なお店を・・・!」
アルバス「──お、ほら、あそこだ!」
アルバス「ママ、俺たちは手を繋いでるんだぜ?」
シタラ(くっ・・・墓穴を掘ってた・・・!)
アルバス「気持ちはわかるが、逃げないでくれ」
シタラ「嫌だよ! なにあれ? 一番目立つって悪目立ちのこと!?」
アルバス「自慢じゃないって言っただろ?」
シタラ「本当に自慢じゃないとは思わないでしょ!」
シタラ「私、絶対入らないからね!」
アルバス「そう言わないでくれよ! 俺も一緒に入るんだからさ!」
シタラ「一緒なのが余計に嫌なの! 関係者だって思われるでしょ!?」
アルバス「関係者だろ、ママなんだから」
シタラ「それは──」
シタラ「そう、振る舞うとは言ったね・・・」
アルバス「よし、行こうぜママ!」
シタラ(うう・・・墓穴だらけ・・・)

〇ウェディングドレスショップ
アルバス「パパ、いるかー!?」
シタラ「おじゃまします──」
パパ「アル! どうしたんだ、急に!?」
パパ「ちゃんとご飯食べてるか? 少し痩せてるようにも見えるな・・・」
パパ「あっ! ジャケットが焦げてる!? ケガはないか? 今すぐ病院に──」
アルバス「パパ、大丈夫だって・・・」
パパ「本当か?  お前はいつも我慢するからな・・・」
アルバス「ほら、取って来た降物! 危ないのはないけど、気を付けてくれよ?」
パパ「おお、ありがとな! それじゃあ一緒に飯でも──」
アルバス「その前に、紹介したい人がいるんだ」
パパ「紹介? 紹介って・・・?」
アルバス「前に言ってただろ? もしいたら、まずパパに紹介しろって」
パパ「・・・ってことは、お前のママか?」
アルバス「そう、認知してくれたママがいるんだ」
パパ「そんな急に、心の準備が・・・」
アルバス「さあ、シタラママ──」
シタラ「う、うん・・・!」
シタラ「は、初めまして、シタラといいます」
パパ「うん? あー・・・お客さんかな?」
パパ「ごめんよ、ちょっと待っててくれる? 今、大事な話をしてて──」
アルバス「パパ、その子だよ! 俺のママ!」
パパ「なに!?」
パパ「・・・アル、前にも言っただろう?」
パパ「おままごとを本気にしちゃダメだ!」
アルバス「違うって! 今回はマジなんだよ!」
シタラ(前にもあったんだ・・・)

〇ウェディングドレスショップ
バイスプッチ「──さっきは悪かったね、シタラちゃん」
シタラ「いえいえ、 むしろ常識的な対応で安心しました」
バイスプッチ「きみは子供とは思えないくらい、 しっかりしてるね」
バイスプッチ「改めて、自己紹介しようか 俺はバイスプッチ・マントコート」
バイスプッチ「”仕立て屋マントコート”の店主で、 みんなからバスプッチって呼ばれてる」
シタラ「私はシタラです それ以外はまだわからなくて・・・」
バイスプッチ「記憶喪失なんだよね? それで、アルと故郷を探してると」
アルバス「そうなんだよ 俺もママの力になりたくて──」
バイスプッチ「アル、今はシタラちゃんと話してるんだ 少しの間、黙っていなさい」
アルバス「わ、わかったよ・・・パパ・・・」
バイスプッチ「うぉおおおお! ごめんよ、アルぅうううう!」
シタラ「あ、あの、バスプッチさん・・・?」
バイスプッチ「おっと、すまない 厳しく接するのに慣れてなくてね・・・」
バイスプッチ「よし、単刀直入に訊こうか」
バイスプッチ「きみは、いつまでママでいてくれるんだ?」
シタラ「いつまでって・・・」
バイスプッチ「故郷が見つかったり、 記憶が戻ってもママでいてくれる?」
シタラ「それは・・・わからないですけど・・・」
バイスプッチ「そうか、それなら悪いけど──」
バイスプッチ「ママとして振る舞うのを、 やめてほしいんだ」

次のエピソード:12.このママではいられない。その2

コメント

  • ママっぽくなったシタラちゃんとアルバスのやり取りがかわいかったです^^
    そして、またヤバイ奴が現れた!と思いましたが、ちょっとまともな人かと思ってきました。笑

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